ニュース

DOWNHILL SERIES #5 菖蒲谷森林公園・特設コース レースレポート

イベント

11月 23、24日、DOWNHILL SERIES #5は菖蒲谷森林公園・特設コースにおいて開催された。晴天のなか、赤や黄色に染まる色とりどりの木々に囲まれた第5戦会場は、兵庫県たつの市にある菖蒲谷森林公園。常時オープンではない会場ではあるが、何本ものダウンヒルコースやライダーからの評価の高いクロスカ ントリーコースも整備された関西では有名な会場である。

100人の参加者を集めた今大会で使用されたのは、全長 545m、標高差 79m と短いながらも、テクニカルで、漕ぎ区間・キャンバー・舗装路・ジャンプなどさまざまな要素が詰まっている。DOWNHILL SERIES 全6会場のなかで唯一搬送はなく、スタートまでは 10分少々の距離を選手個人がバイクを押し上げることになるが、仲間たちと話をしながら、息をあげながら上る、 それもまた一興。菖蒲谷の醍醐味なのだ。メイン会場からも見渡せるコース終盤にはジャンプが設置され、トップラ イダーたちのビッグジャンプに歓声があがった。

 

菖蒲谷森林公園に用意された特設コースが第5戦の舞台となった

初日のタイムドセッションのエリート男子では安達靖 (DIERTFREAK/SARACEN)が 1 分 7 秒 127 というタイムで1位。2 位には 0.05 秒差で清水一輝(Madison Saracen)がつけ、3 位には 1 分 8 秒 407 で加 藤将来(LOVEBIKES/ACCEL)。4 位には阿藤寛(COMMENCAL/Topknot)、5 位には増田直樹(DTP)と続いた。

 

本戦で2位となった安達靖。「得意なコースです」と貪欲に勝利を狙ったが 一歩届かなかった

本戦当日も11月半ばにしては気温も高く、青い空が広がる。バイクの押し上げで汗だくになり、爽快に下る。ゴール後、ブースの立ち並ぶメイン会場を通るライダーたちはみな REDBULL に手を伸ばし、コース攻略やバイ クの話題で盛り上がる。

今回のレースには、菖蒲谷でのレースを得意とするリジッドバイクの名手、 増田や、2009 年の全日本チャンピオン向原健司(MAGURA/RR/FK170)など も参戦。レースの第一戦からは退いていながら現役に劣らない走りをする 彼らは、現役ライダーにとっても脅威である。

本戦では土曜日のタイムドセッションには参加しなかった向原が早々に 1 分 5 秒 584 というタイムドセッション 1 位の安達を 2 秒近く上回るタイム をたたき出した。スタート地点までも届く MC の声がそのタイムを読み上げた瞬間、残されたトップライダー達の目の色が変わった。「ワンミスが 命取りですね」とスタート前に井本はじめ(Lovebikes)が語った通り、 短いコースだけあってたったひとつのミスさえ取り戻すことは不可能に等しい。

しかし、現役ライダーの意地がある。残り 6 人を残したところで、井本が 1 分 5 秒 287 というタイムで向原を上回る。さらに、残り 2 人となったところで清水が 1 分 3 秒 480 という驚異的なタイムを出し、最終走者の安達は「今日の朝までは勝ったと思っていましたが、本番ではミスしてしまい ました」と話し、タイムは 1 分 4 秒台。 清水の DOWNHILL SERIES での 2 勝目が決まった。


優勝した清水一輝、アグレッシブな走りが観客を魅了した

レース後、清水は、「内容の濃いコースでした。いつも失敗していたコーナ ーでうまく決まったのが勝因ですね!他にもたくさんのコースがあると聞いたので、また走りに来たいです」と語った。

エリート女子では末政実緒(DIRTFREAK/SARACEN) が安定の走りで優勝を 飾り、ホームコースとも言える菖蒲谷のことを「ここをみんなに走ってもらえてうれしい!」と話した。

 

併催されたクロカン部門、菖蒲谷 CUP にも登場した末政実緒。地元開催とあって、リラックスした表情を見せた

チャレンジ男子クラスの闘いも熱かった。この春 DH 競技を始めたばか りながら DOWNHILL SERIES チャレンジクラス 2 連覇中でポイントランキングもトップを突っ走る 19 歳の藤村飛丸(BlankyDog/MUDDY CHOCOLATE)と、 TeamIKUZAWA のメカニックなどを勤めてきた、若手に負けるわけにはいかない ProShopYRS 店長・山本明(TeamYRS)。若者の勢いと、オジサンの経験値。注目の集まったこの闘いは、タイムドセッションでは 0.871 秒差で 山本が競り勝ち、本戦でも周囲からの「若手に負けるな!」「チャレンジクラスで2位はないよね?」という暖かいプレッシャーがかかるなか、 渾身の走りで山本が勝利。これが大人の意地であり、気持ちの差か。0.016 秒という僅差で藤村の 3 連覇を阻止した。(山本店長のブログレポートはこちら

 

チャレンジクラスを面白くした地元のショップ YRS の山本店長。執念でコンマ差の激戦を制した

DOWNHILL SERIES も残るはあと1戦。 熊本県吉無田高原での第6戦は、12月13、14日に行なわれる。12/8までエントリー受付中 http://dhseries.jp

Photo: ©DOWNHILL SERIES / Hiroyuki Nakagawa