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落車が多発したブエルタ第8ステージはストゥイヴェンが区間初優勝

レース

スペインで開催中の第70回ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は、8月29日にプエブラ・デ・ドン・ファドリケからムルシアまでの182.5kmで中級山岳区間の第8ステージを競い、終盤の峠越えで50人程度に減った集団のゴールスプリントをベルギーのジャスパー・ストゥイヴェン(トレック)が制し、グランツール区間初優勝を果たした。

リーダージャージのマイヨ・ロホは、コロンビアのエステバン・チャベス(オリカ・グリーンエッジ)が守った。

第8ステージは落車が多発した。ゴールまで残り50km地点の集団で発生した大落車では、総合3位に付けていたアイルランドのダニエル・マーティン(キャノンデール・ガーミン)、米国のティージェイ・バンガーデレン(BMC)、ベルギーのクリス・ブークマンス(ロット・ソウダル)、フランスのナセル・ブアニ(コフィディス)の4人が病院へ搬送され、レースをリタイアした。

さらにゴールまで残り8km地点では、逃げを捕まえようと集団を引いていたスロバキアのペーテル・サガン(ティンコフ・サクソ)が、主催者のバイクに接触されて転倒する事故もあった。

幸いサガンはレースに復帰して完走したが、区間優勝のチャンスを失っただけでなく、落車した際に怒りのあまり他の主催者車両を蹴ってしまい、自転車競技のイメージを損ねたなどの理由で合計300スイスフランの罰金をくらってしまった。サガンを転倒させたバイクのドライバーはブエルタを追放された。
 
主催者のバイクに接触されて転倒したサガン
主催者のバイクに接触されて転倒したサガン
落車で負傷したサガン
落車で負傷したサガン
第8ステージは終盤に2回越えた標高375メートルでカテゴリー3のアルト・デ・ラ・クレスタ・デル・ガリョがキーポイントになった。全長4.2kmの上り坂で、平均勾配7.5%の坂は道幅が狭く、下りはカーブがつづいて非常に危険だった。

ゴールまで残り36kmで、最初にアルト・デ・ラ・クレスタ・デル・ガリョを越えた時、先頭にはまだこの日の序盤から逃げ続けていたアレックス・ハウス(キャノンデール・ガーミン)が生き残っていた。彼は下りのカーブで転倒し、結局ゴールまで残り27kmで集団に捕まってしまった。

2度目のアルト・デ・ラ・クレスタ・デル・ガリョ越えが始まった時、集団からジャンルーカ・ブランビッラ(エティックス・クイックステップ)がアタックし、ティモ・ローセン(ロトNL・ユンボ)、クリスティヤン・ドゥラセク(ランプレ・メリダ)が合流したが、彼らはそのまま逃げ出すことはできなかった。

ゴールまで残り17.3kmの山頂はホセホアキン・ロハス(モビスター)が先頭で通過した。ところが彼は下りで落車し、鎖骨を痛めてしまった。厳しい峠越えで先頭は一時20人ほどに減ったが、最後の峠を下り終えて次第に選手が合流していった。

先頭グループからケニー・エリソンド(FDJ)がアタックし、ジョゼ・ゴンサルベス(カハルラル)とアルベルト・ロサダ(カチューシャ)が合流し、数10秒先行した。サガンは自ら集団を引いてこの逃げを鎮圧しようとしたのだが、落車でその好機を失ってしまった。

3人の逃げは残り3.5kmで吸収され、アダム・ハンセン(ロット・ソウダル)も飛び出したがゴール手前で捕まり、最後はゴールスプリントで23歳のストゥイヴェンがプロ初優勝をグランツールで果たす大金星を上げた。

「今日は本当にハードになるだろうとわかっていた。チームで一緒にいい位置取りをしていたら大きな落車があり、僕も巻き込まれて両手首をとてもひどく打ち付けてしまった。すごく痛かったけれど、みんなにやってみると言ったんだ」と、ゴール後にストゥイヴェンは彼も落車に巻き込まれて負傷していたことを明かした。

「最初の上りはすごく苦しんだから、2回目はダメなんじゃないかと恐れていた。でも、デモル監督が戦い続けろと励ましてくれたんだ。それでボクは最後の坂のふもとでいい位置にいて、ちょっと遅れただけで済んだんだ。ボクは先頭グループで最後に山頂を通過したと思うよ」と、語っていたスタイブンだったが、ゴール後の検査で手首の舟状骨を骨折していたことが判明している。


レース終了後、落車でリタイアしたバンガーデレンはX線検査で右肩を骨折していたことが判明した。ブークマンスは顔面を負傷し、脳震盪を起こし、肋骨を3本骨折して肺が出血。彼は手術を受けなければならない。

ロシアのティンコフ・サクソは、高速で走行中のサガンの後輪にぶつかって転倒させたのは、集団に入り込んだシマノのニュートラルバイクだったとチームリリースで公表した。チームはこの事故で訴訟も考えていると発表している。

サガンは激しく転倒した際に、左臀部から下肢にかけて熱傷を負い、左上腕にも打撲症を負ってしまった。レースを続けるかどうかは、翌朝の状態で決められる。



■第8ステージ結果[8月29日/プエブラ・デ・ドン・ファドリケ〜ムルシア/182.5km]
1 ジャスパー・ストゥイヴェン(トレック/ベルギー)4時間06分05秒
2 ペリョ・ビルバオ(カハルラル/スペイン)
3 ケビン・レザ(FDJ/フランス)
4 ジョバンニ・ビスコンティ(モビスター/イタリア)
5 クリスティアン・スバラリ(MTN・クベカ/イタリア)
6 トシュ・バンデルサンド(ロット・ソウダル/ベルギー)
7 ジュリアン・シモン(コフィディス/フランス)
8 ピーテル・セリー(エティックス・クイックステップ/ベルギー)
9 ホセホアキン・ロハス(モビスター/スペイン)
10 ニコラ・ロッシュ(チームスカイ/アイルランド)
64 ペーテル・サガン(ティンコフ・サクソ/スロバキア)+5分27秒
65 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+8分01秒

■第8ステージまでの総合成績(マイヨ・ロホ)
1 エステバン・チャベス(オリカ・グリーンエッジ/コロンビア)31時間12分18秒
2 トム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン/オランダ)+10秒
3 ニコラ・ロッシュ(チームスカイ/アイルランド)+36秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+49秒
5 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+56秒
6 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+57秒
7 ファビオ・アルー(アスタナ/イタリア)+57秒
8 ダニエル・モレノ(カチューシャ/スペイン)+1分18秒
9 ドメニコ・ポッゾビーボ(AG2R/イタリア)+1分19秒
10 ミケル・ニエベ(チームスカイ/スペイン)+1分21秒
11 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)+1分22秒
12 ラファウ・マイカ(ティンコフ・サクソ/ポーランド)+1分29秒
62 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+35分33秒

[各賞]
■マイヨ・ベルデ:エステバン・チャベス(オリカ・グリーンエッジ/コロンビア)
■マイヨ・デ・ルナレス:オマール・フライレ(カハルラル/スペイン)
■マイヨ・ブランコ:エステバン・チャベス(オリカ・グリーンエッジ/コロンビア)
■チーム成績:チームスカイ(英国)
■敢闘賞:アンヘル・マドラソ(カハルラル/スペイン)
*マイヨ・ロホ(個人総合リーダージャージ)...真紅/マイヨ・ベルデ(ポイント賞ジャージ)...緑/マイヨ・デ・ルナレス(山岳賞ジャージ)...白地に青い水玉/マイヨ・ブランコ(コンビネーション賞)...白(※ブエルタには新人賞の設定はない)
 
第9ステージのコースプロフィール(MAP:Unipublic)
第9ステージのコースプロフィール(MAP:Unipublic)
第9ステージのゴールのプロフィール(MAP:Unipublic)
第9ステージのゴールのプロフィール(MAP:Unipublic)
 
8月30日はトレビエハからクンブレ・デル・ソル(ベニタチェル)までの168.3kmで中級山岳区間の第9ステージが行われる。頂上ゴールが設定された4.1kmのアルト・デ・プイグ・リョレンサは標高365メートルしかないが、平均勾配は8.9%で登坂の中盤に19%という難所がある。(http://www.lavuelta.com/)


Summary - Stage 8 (Puebla de Don Fadrique... 投稿者 la_vuelta