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ブエルタ最難関の第11ステージでランダが優勝、アルーが総合首位/フルームはケガで総合争いから脱落
レース
2015.09.03
スペインで開催中の第70回ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は、休養日明けの9月2日にアンドラのピレネー山脈で最難関区間の第11ステージを競い、地元スペインのミケル・ランダ(アスタナ)が序盤から逃げ切って区間初優勝した。2位にはチームメートのファビオ・アルー(アスタナ)が入り、リーダージャージのマイヨ・ロホを獲得した。
第11ステージはスタートしてすぐの下り坂で英国のクリストファー・フルーム(チームスカイ)が落車し、ヒザを負傷してしまった。彼はカテゴリー超級のコリャダ・デ・ラ・ガリナ峠を上っていた残り43km地点でメイン集団から脱落し、最終的に8分41秒遅れでゴールした。
フルームはゴール後、精密検査を受けるために病院へ行った。検査結果や、彼がこの後もレースを続けるかについてはまだ発表されていない。
オフィシャルスタートとともに、山岳賞のマイヨ・デ・ルナレスを着たオマール・フライレ(カハルラル)がアタックし、この日の逃げが形成された。そこに区間優勝したランダも加わっていた。最初のカテゴリー1の山頂はフライレが先頭で通過し、集団とのタイム差は30秒だった。
集団では6km地点でフルームが落車して遅れたが、チームメートの助けを借りて、最初の峠を越えた後の下り坂で集団に合流することができた。下りで先頭の逃げ集団は19人になり、メイン集団のタイム差を次第に広げていった。
カテゴリー1の峠を3つ越え、ゴールまで残り50kmでカテゴリー超級のコリャダ・デ・ラ・ガリナ峠登坂が始まったとき、逃げる19人とスカイがコントロールする集団とのタイム差は4分半にまで開いていた。コリャダ・デ・ラ・ガリナ峠は小雨が降っていた。
ゴールまで残り44kの坂の途中で、逃げ集団からランダがアタックし、ダーウィン・アタプマ(BMC)、イアン・ボズウェル(チームスカイ)、パベウ・ポリャンスキー(ティンコフ・サクソ)、ロマン・シカール(ヨーロッパカー)が加わって先頭に立った。5分遅れのメイン集団では、落車で右ヒザを負傷していたフルームが脱落してしまった。
先頭には山岳賞ジャージのフライレが合流し、カテゴリー超級の山頂をトップで通過してさらにポイントを稼いだ。逃げグループは山頂で20人ほどに絞られたメイン集団にまだ4分差を付けていた。チームメートたちに引かれたフルームは、ここでメイン集団からすでに2分遅れていた。
メイン集団からは、コリャダ・デ・ラ・ガリナ峠のテクニカルな下り坂でアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)とホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)がアタックした。この攻撃により、ふもとでメイン集団は2つに分かれてしまった。
マイヨ・ロホを着ていたトム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン)は、エステバン・チャベス(オリカ・グリーンエッジ)とともに後ろのグルーブに取り残されていたが、ゴールまで残り20kmでバルベルデたちのグループに追い付くことができた。
ゴールまで残り8.7kmで、最後のコルタルス・デンカンプの登坂が始まると、逃げグループからランダがアタックして独走を始めた。2分後にメイングループからはアルーがアタックしたが、付いて行けたのはロドリゲスとダニエル・モレノのカチューシャ勢だけだった。第9ステージの落車で肩を痛めていたバルベルデはここで脱落してしまった。
残り5.3kmで、アルーがもう一度アタック。しかし、ロドリゲスは反応するどころか、モレノの後ろに付いていくのが精一杯だった。その後方では、マイヨ・ロホのドゥムランが後退することなく自分のペースでゴールを目指していた。
ランダはそのまま逃げ切り、地元のブエルタで初めて区間優勝した。彼は今年のジロ・デ・イタリアでも区間2勝し、総合3位になっている。そのとき総合2位だったアルーは、1分22秒遅れの区間2位でゴールし、ボーナスタイムを6秒獲得した。
ドゥムランは2分59秒遅れでゴールし、総合首位の座をアルーに明け渡さなければならなかった。しかし、この最難関ステージを耐え抜いて走ることができたおかげで、たった30秒遅れの総合3位に留まることができた。
「ものすごく苦しんだが、今日の自分のパフォーマンスには満足できた。4つ目の峠でアスタナが加速したときに、僕は限界に達していたけれど、山頂でまだそこに留まっていた。そこでジャケットを着るのに手間取って、いい位置取りを失ってしまい、結局下りで集団が分断したときにその代償を払わなければならなかった。それが失敗だった」と、ドゥムランはこの日のレースをふり返っている。
「総合3位でギブアップするのは早すぎる。まだいくつか難しいステージが残っていて、もっとタイムを失うだろう。でも僕はまだ闘い続けたい」と、言うドゥムランの今大会で最大の目標は、第17ステージの個人タイムトライアルで優勝することだ。
今大会最難関ステージで総合首位に立ったアルーは「まだ10ステージあることを考えると、このマイヨ・ロホを守ることが今や我々の主要な目的になる」と、語っている。
9月3日はアンドラのエスカルデス・エンゴルダニからスペインのリェイダまでの173kmで第12ステージが行なわれる。平坦区間だが、序盤にカテゴリー2の峠を越えなければならない。
■第11ステージ結果[9月2日/アンドラ・ラ・ベリャ(アンドラ)〜コルタルス・デンカンプ(アンドラ)/138km]
1 ミケル・ランダ(アスタナ/スペイン)4時間34分54秒
2 ファビオ・アルー(アスタナ/イタリア)+1分22秒
3 イアン・ボズウェル(チームスカイ/米国)+1分40秒
4 ダニエル・モレノ(カチューシャ/スペイン)+1分57秒
5 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+1分59秒
6 ラファウ・マイカ(ティンコフ・サクソ/ポーランド)+2分10秒
7 ミケル・ニエベ(チームスカイ/スペイン)+2分10秒
8 エステバン・チャベス(オリカ・グリーンエッジ/コロンビア)+2分59秒
9 トム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン/オランダ)+2分59秒
10 ディエゴ・ローザ(アスタナ/イタリア)+3分02秒
12 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+3分04秒
14 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+4分19秒
17 ルイ・メインティス(MTN・クベカ/南アフリカ)+4分19秒
32 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)+8分41秒
52 ニコラ・ロッシュ(チームスカイ/アイルランド)+14分25秒
60 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+18分00秒
■第11ステージまでの総合成績(マイヨ・ロホ)
1 ファビオ・アルー(アスタナ/イタリア)43時間12分19秒
2 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+27秒
3 トム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン/オランダ)+30秒
4 ラファウ・マイカ(ティンコフ・サクソ/ポーランド)+1分28秒
5 エステバン・チャベス(オリカ・グリーンエッジ/コロンビア)+1分29秒
6 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+1分52秒
7 ダニエル・モレノ(カチューシャ/スペイン)+1分54秒
8 ミケル・ニエベ(チームスカイ/スペイン)+1分58秒
9 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+3分7秒
10 ルイ・メインティス(MTN・クベカ/南アフリカ)+4分15秒
11 ドメニコ・ポッゾビーボ(AG2R/イタリア)+5分19秒
15 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)+7分30秒
22 ニコラ・ロッシュ(チームスカイ/アイルランド)+13分03秒
75 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+1時間18分49秒
[各賞]
■マイヨ・ベルデ:エステバン・チャベス(オリカ・グリーンエッジ/コロンビア)
■マイヨ・デ・ルナレス:オマール・フライレ(カハルラル/スペイン)
■マイヨ・ブランコ:トム・ドゥムラン(ジャイアント・アルペシン/オランダ)
■チーム成績:チームスカイ(英国)
■敢闘賞:ミケル・ランダ(アスタナ/スペイン)
*マイヨ・ロホ(個人総合リーダージャージ)...真紅/マイヨ・ベルデ(ポイント賞ジャージ)...緑/マイヨ・デ・ルナレス(山岳賞ジャージ)...白地に青い水玉/マイヨ・ブランコ(コンビネーション賞)...白(※ブエルタには新人賞の設定はない)
(http://www.lavuelta.com/)