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チマ・コッピの下りでクルイスウエイクが転倒! 大波乱のジロ第19ステージはニーバリが優勝、チャベスがマリア・ローザ!

レース
 
第99回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月27日にピネローロからフランスのリスルまでの162kmで頂上ゴールの第19ステージを競い、地元イタリアのビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)が独走で区間優勝した。

この日、中盤に越えたチマ・コッピ(今年の最高峰)のアニェッロ峠からの下り坂で、マリア・ローザを着たスティーブン・クルイスウエイク(チームロトNL・ユンボ)が雪壁にぶつかって転倒。幸いひどいケガはなくレースに復帰したが、メイングループから遅れてしまった。

クルイスウエイクは結局、区間優勝したニーバリよりも4分54秒遅れてゴール。53秒遅れの区間2位でゴールしたコロンビアのエステバン・チャベス(オリカ・グリーンエッジ)が総合首位に立った。しかし、総合2位のニーバリとのタイム差はたった44秒だ。

アニェッロ峠の下り坂では、クルイスウエイクだけでなく総合5位だったロシアのイルヌール・ザカリン(カチューシャ)も落車し、病院へ搬送されてレースをリタイアした。検査の結果、彼は左の鎖骨と肩甲骨を骨折していたことがわかった。

ジロに初出場中の山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)は、36分31秒遅れのグルペットでゴール。目標とする完走に一歩近づいた。
 
 
 
第19ステージは中盤のアニェッロ峠の登坂ですでに総合争いの闘いが始まっていた。チャベスのアタックでマリア・ローザの集団からはすでにアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)やラファウ・マイカ(ティンコフ)が脱落していた。

106.4km地点のアニェッロ峠山頂は、逃げていたイタリアのミケーレ・スカルポーニ(アスタナ)が単独で通過。ニーバリ、チャベス、クルイスウエイクは4分57秒遅れ、バルベルデは5分55秒遅れだった。

山頂を越えた直後、雪の壁が両側にそびえ立つ坂を下っている時に、ニーバリ、チャベスの後ろを走っていたマリア・ローザのクルイスウエイクがゆるやかなカーブで壁にぶつかって転倒してしまった。彼は自転車を交換してレースに復帰したが、後続のバルベルデやマイカに抜かされてしまった。

先頭では、ゴールまで残り40kmでマクシム・モンフォール(ロット・ソウダル)がスカルポーニを抜いて先頭に立った。しかし、ゴールへと続くカテゴリー1のリスル山の登坂が始まると失速し、スカルポーニが合流したニーバリのグループに捕まってしまった。

ゴールまで残り10kmで、ニーバリとチャベスの先頭グループはバルベルデのグループに1分差、マリア・ローザのクルイスウエイクに2分26秒差を付けていた。先頭ではニーバリが攻撃を開始し、チャベスとミケル・ニエベ(チームスカイ)だけが付いて行くことができた。

しかし、イタリアチャンピオンのニーバリが残り5.5kmでアタックしたとき、チャベスも付いて行くことはできなかった。ニーバリはそのまま独走を続け、チャベスに53秒差を付けてフィニッシュラインを通過し、両手で天を指差した。

「今日は怒りで勝った。この数日間に起きたことをすべて処理するのは簡単ではなかった。この勝利はロザリオに捧げる。とてもうれしいよ。とても手強いステージだった。ボクは地に足を付けたままでいたい。明日は競わなければならないまた別のステージがあるからだ」と、ニーバリはゴール後に語った。

シチリアのクラブチーム『Asdニーバリ』に所属し、ニーバリの教え子だった14歳のロザリオ・コスタは、2週間前に事故で他界していた。

マリア・ローザに初めてソデを通した26歳のチャベスは「難しかった。マリア・ローザを取れて、ジロの優勝が間近でうれしいけど、まだ明日は厳しいステージが残っている。クルイスウエイクのことは気の毒に思う。彼はダウンヒルで小さなミスをしたが、とても勇敢に守った。ボクはニーバリと一緒にいようと努力したが、今日の彼はボクには強すぎたよ」と、語っている。

1分5秒遅れの総合3位に後退したクルイスウエイクはこう語っている。「ボクは馬鹿げたミスをした。まちがった動きをして、雪の壁にぶつかってしまった。自転車はボロボロで、ボクはすぐに続けられなかった。走り始めた後は、どこもかしこも痛かった。背中と肋骨に痛みを感じ、やる気を失ってしまった。タイムを失ったことはわかっていて、走り続けようと努力したが、もう終わりだった。今日、ボクはジロを失ってしまった…」

クルイスウエイクはゴール直後、X線検査を受けるために病院へ向かった。
 
 
 
 
■第19ステージ結果[5月27日/ピネローロ~リスル(フランス)/162km]

1 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)4時間19分54秒
2 ミケル・ニエベ(チームスカイ/スペイン)+51秒
3 エステバン・チャベス(オリカ・グリーンエッジ/コロンビア)+53秒
4 ディエゴ・ウリッシ(ランプレ・メリダ/イタリア)+1分02秒
5 ラファウ・マイカ(ティンコフ/ポーランド)+2分14秒
6 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+2分14秒
7 リゴベルト・ウラン(キャノンデール/コロンビア)+2分14秒
8 ゲオルグ・プライドラー(ジャイアント・アルペシン/オーストリア)+2分43秒
9 ニコラス・ローチ(チームスカイ/アイルランド)+2分51秒
10 ユベール・デュポン(AG2R・ラモンディアル/フランス)+2分51秒
14 ボブ・ユンゲルス(エティックス・クイックステップ/ルクセンブルク)+3分45秒
16 スティーブン・クルイスウエイク(チームロトNL・ユンボ/オランダ)+4分54秒
24 ドメニコ・ポッゾビーボ(AG2R・ラモンディアル/イタリア)+7分55秒
136 山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/日本)+36分31秒
■第19ステージまでの総合成績
1 エステバン・チャベス(オリカ・グリーンエッジ/コロンビア)78時間14分20秒
2 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+44秒
3 スティーブン・クルイスウエイク(チームロトNL・ユンボ/オランダ)+1分05秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+1分48秒
5 ラファウ・マイカ(ティンコフ/ポーランド)+3分59秒
6 ボブ・ユンゲルス(エティックス・クイックステップ/ルクセンブルク)+7分53秒
7 アンドレイ・アマドール(モビスター/コスタリカ)+9分34秒
8 リゴベルト・ウラン(キャノンデール/コロンビア)+12分18秒
9 カンスタンティン・シウツオウ(ディメンションデータ/ベラルーシ)+13分19秒
10 ドメニコ・ポッゾビーボ(AG2R・ラモンディアル/イタリア)+14分11秒
152 山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/日本)+4時間11分27秒
[各賞]
■ポイント賞(マリア・ロッサ):ジャコモ・ニッゾロ(トレック・セガフレード/イタリア)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):ダミアーノ・クネゴ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ/イタリア)
■新人賞(マリア・ビアンカ):ボブ・ユンゲルス(エティックス・クイックステップ/ルクセンブルク)
(http://www.giroditalia.it/it/)
 
 
今年のジロの総合を決する最後の山岳ステージとなる5月28日の第20ステージは、134kmと長くはないが、スタートからカテゴリー1の上り坂が始まる厳しいレイアウトだ。

フランスのギレストルをスタートし、標高2108メートルのバール峠、標高2715メートルのボネット峠、標高2350メートルのロンバルダ峠を越えてイタリアへ戻り、カテゴリー3のサンタンナ・ディ・ビナーディオの頂上にゴールする。上りも厳しいが、下りも長く難しいコースだ。