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ブエルタ最終山岳ステージはグランツール初出場のラトゥールが区間初優勝

レース
 
第71回ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は、9月10日にベニドルムからカテゴリー超級のアルト・アイタナ(エスクゥアドロン・エイエルシト・デル・アイレ)までの193.2kmで最後の山岳区間となる第20ステージを競い、フランスのピエールロジェ・ラトゥール(AG2R・ラモンディアル)が逃げ切り、初出場したグランツールで区間初優勝を果たした。

総合争いは最後の登坂でクリストファー・フルーム(チームスカイ)の攻撃をしのいだコロンヒアのナイロ・キンタナ(モビスター)がリーダージャージのマイヨ・ロホを守り、マドリードにゴールする最終ステージを迎えることになった。
 

前日の個人タイムトライアルで落車して負傷したスペインのサムエル・サンチェス(BMC)が出走せず、第20ステージは160人がスタートした。

最初のカテゴリー2のラテス峠は、地元スペインのオマール・フライレ(ディメンションデータ)が先頭で通過。山岳賞ジャージのマイヨ・デ・ルナレスを着たケニー・エリソンド(FDJ)より2ポイント上回り、ここでフライレが山岳賞総合首位に立った。

ラテス峠で集団から抜け出した選手の大半は下りで吸収されたが、ルイスレオン・サンチェス(アスタナ)、ルディ・モラール(コフィディス)、マティアス・フランク(IAM)を含めた7人がそのまま逃げ続けた。

次の峠越えで逃げからサンチェスとモラールがアタックし、15選手が追走した。この追走グループには、ダーウィン・アタプマ(BMC)、ロベルト・ヘーシンク(チームロトNL・ユンボ)、ファビオ・フェッリーネ(トレック・セガフレード)、そしてラトゥールが加わっていた。

ゴールまで残り100kmで、2人は追走グループに2分半、集団に6分差を付けていた。

3つ目の峠の下り坂で、追走グループにいたホセホアキン・ロハス(モビスター)が落車し、レースを棄権した。集団から単独で飛び出し、追走グループに合流したエリソンドは、4つ目に越えたカテゴリー2のトゥドンス峠を3位で通過して1ポイント獲得したが、山岳賞の総合首位を奪還するにはまだ1ポイント足りなかった。

メイン集団ではトゥドンス峠の上り坂でエステバン・チャベス(オリカ・バイクエクスチェンジ)がアタック。総合3位の座を脅かされるアルベルト・コンタドール(ティンコフ)が20人ほどに減った集団を引いたが、チャベスは山頂で16秒差を付けていた。

チャベスは下りで前を逃げていたチームメートのダミアン・ハウソン(オリカ・バイクエクスチェンジ)と合流し、2人で集団とのタイム差を広げていった。最後のアルト・アイタナのふもとにサンチェスとモラールが到着したとき、追走グループは1分45秒差、5分半後方のチャベスたちは集団に1分45秒差を付けていた。

21kmつづくアルト・アイタナの中間地点で先頭はサンチェス1人になったが、ゴールまで残り4.6kmでアタプマに追いつかれ、ラトゥールとフランクも合流した。最後はアタプマとラトゥールの闘いになり、22歳でプロ2年目のラトゥールが競り勝った。

メイン集団では、フルームがアルト・アイタナで最後の攻撃を開始し、何度もアタックを試みたが、マイヨ・ロホを着たキンタナは難攻不落のレースリーダーだった。彼はずっとフルームの後方を走り続け、最後は先行してゴールし、タイム差を2秒広げて最後の闘いを終えた。フルームはキンタナの闘いぶりを称えるように、拍手をしながらフィニッシュラインを通過した。

表彰台奪還を目指して独走を続けたチャベスは、コンタドールに1分24秒差を付けてゴールし、逆転に成功。総合3位の座を取り戻すことができた。しかし、これでスペインはマドリードの表彰台で母国の選手を祝福することができなくなってしまった。

エリソンドはアルト・アイタナで1ポイントも獲得できず、山岳賞のマイヨ・デ・ルナレスはフライレが獲得した。ポイント賞はこの日区間3位に入ったフェッリーネがアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)を抜いて総合首位に立ち、マイヨ・ベルデを獲得した。これで最終日前日に、2つの賞の受賞者が変わってしまった。
 
 
■第20ステージ結果[9月10日/ベニドルム~アルト・アイタナ(エスクゥアドロン・エイエルシト・デル・アイレ)/193.2km]

1 ピエールロジェ・ラトゥール(AG2R・ラモンディアル/フランス)5時間19分41秒
2 ダーウィン・アタプマ(BMC/コロンビア)+2秒
3 ファビオ・フェッリーネ(トレック・セガフレード/イタリア)+17秒
4 マティアス・フランク(IAM/スイス)+40秒
5 ロベルト・ヘーシンク(チームロトNL・ユンボ/オランダ)+1分03秒
6 バルト・ドクレルク(ロット・ソウダル/ベルギー)+1分28秒
7 ルディ・モラール(コフィディス/フランス)+2分02秒
8 リリアン・カルメジャーヌ(ディレクトエネルジー/フランス)+3分01秒
9 エステバン・チャベス(オリカ・バイクエクスチェンジ/コロンビア)+3分17秒
10 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)+4分03秒
11 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)+4分05秒
12 アンドリュー・タランスキー(キャノンデール・ドラパック/米国)+4分34秒
13 アルベルト・コンタドール(ティンコフ/スペイン)+4分41秒
30 ミケーレ・スカルポーニ(アスタナ/イタリア)+9分35秒
67 別府史之(トレック・セガフレード/日本)+27分51秒
112 新城幸也(ランプレ・メリダ/日本)+27分51秒
■第20ステージまでの総合成績
1 ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)80時間42分36秒
2 クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)+1分23秒
3 エステバン・チャベス(オリカ・バイクエクスチェンジ/コロンビア)+4分08秒
4 アルベルト・コンタドール(ティンコフ/スペイン)+4分21秒
5 アンドリュー・タランスキー(キャノンデール・ドラパック/米国)+7分43秒
6 サイモン・イエーツ(オリカ・バイクエクスチェンジ/英国)+8分33秒
7 ダビド・デラクルス(エティックス・クイックステップ/スペイン)+11分18秒
8 ダニエル・モレノ(スペイン)+13分04秒
9 ダビデ・フォルモロ(キャノンデール・ドラパック/イタリア)+13分17秒
10 ジョーシ・ベネット(チームロトNL・ユンボ/ニュージーランド)+14分07秒
11 ミケーレ・スカルポーニ(アスタナ/イタリア)+15分33秒
106 新城幸也(ランプレ・メリダ/日本)+3時間34分56秒
120 別府史之(トレック・セガフレード/日本)+3時間56分12秒
[各賞]
■マイヨ・ベルデ:ファビオ・フェッリーネ(トレック・セガフレード/イタリア)
■マイヨ・デ・ルナレス:オマール・フライレ(ディメンションデータ/スペイン)
■マイヨ・ブランコ:ナイロ・キンタナ(モビスター/コロンビア)
(第21ステージはクリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)が着用)
■チーム成績:BMCレーシングチーム(米国)
■敢闘賞:クリストファー・フルーム(チームスカイ/英国)
*マイヨ・ロホ(個人総合リーダージャージ)...真紅/マイヨ・ベルデ(ポイント賞ジャージ)...緑/マイヨ・デ・ルナレス(山岳賞ジャージ)...白地に青い水玉/マイヨ・ブランコ(コンビネーション賞)...白(※ブエルタには新人賞の設定はない)
(http://www.lavuelta.com/)
 

第20ステージのハイライト映像


Summary - Stage 20 (Benidorm / Alto Aitana... 投稿者 la_vuelta