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ツール・ド・ラヴニール第2ステージ 日本U23は落車多発の荒れたステージもサバイバル成功

レース
U23版ツール・ド・フランス「ツール・ド・ラヴニール」(未来へのツール)は、8月19日からはいよいよフランス東部に向けて都市間を大移動する第2ステージに突入。

自転車文化が根づいているブルターニュ地方でのレースは沿道の観客数も老若男女(特におばあちゃん!)にわたって多く、さながらツール・ド・フランスかと見間違うほど。ブルターニュが長年に渡って世界的選手を輩出出来る理由は、自転車ロードレースへの長年に渡る愛と情熱によるものであると再確認した。

U23ジャパンナショナルチームも、そのような地で戦えることに幸せを感じつつ、さらに上のレベルへとのし上がり、この地で羨望の眼差しを浴びる事に夢を馳せる。

 
ユーモアを交えた受け答えで観衆の笑いを取る余裕も見せる日本U23(photo:CyclismeJapon)
ユーモアを交えた受け答えで観衆の笑いを取る余裕も見せる日本U23(photo:CyclismeJapon)

第2ステージ アンザンナック-ロクリスト〜ビニャン 132.9km

フランスの自転車首都、ブルターニュ地方はアンザンザック-ロクリストをスタートした、U23版国別対抗ツール・ド・フランスである「ツール・ド・ラヴニール」第2ステージ。スタート地点にはブルターニュの英雄、いや神!?であるベルナール・イノー氏も駆けつけ、否が応にも会場は盛り上がる。

レースは各国の代表チームを出し抜いて、フランス地方選抜のアドリアン・ガレル(ブルターニュ地方選抜)とロジェ・マクシム(ローヌアルプ地方選抜)がスタート直後にアタック。タイム差はみるみるうちに3分以上に。しかし集団からあまり警戒されていない2人に対し、デンマーク=リーダーチーム、イギリス、ノルウェイらスプリント狙いのチームがゆっくりと冷静に集団を牽引し、計算尽くで捉えに行く展開。

そんななか、U23日本は山本大喜が他選手のクラッシュに巻き込まれて落車。ハンドルを破損するほどの衝撃で右手首も痛めたが、幸い大事には至らず。しかし集団復帰に全精力を使い切る。

レース終盤。逃げを容認したプロトンの計画通り、混沌が予想されるビニャン最終周回コース突入前に逃げは吸収され、勝負はスプリントで決することに。ここまで比較的穏やかに進んでいたレースせいか、全チーム共に周回コースでは即フルスロットルモードに突入。集団での位置取りは熾烈を極め、日本チームは後方に追いやられる。スプリントの役目を担った小野寺も、パンクに見舞われ脱落。

ゴールまで300mの最終コーナーでは先頭の選手が落車。昨日ステージ優勝しリーダージャージを着るキャスパー・アスグリーン(デンマーク)も巻き込まれ、壊れた自転車を引きずりながらゴールまで歩く羽目に。

最後は落車を生き延びた5人程度による上りスプリントとなり、U23オランダチャンピオンのファビオ・ヤコブセン(オランダ)が制す。最終コーナーでの落車は、ゴール手前3km以内で発生したことでタイム差は付かず。よってキャスパー・アスグリーン(デンマーク)はマイヨジョーヌをキープ。U23日本も落車した山本大喜以外は全員マイヨジョーヌから4秒差につけている。

 
序盤からアタックしたフランス地方選抜の2人(photo:Le Tour de l'Avenir)
序盤からアタックしたフランス地方選抜の2人(photo:Le Tour de l'Avenir)
オランダのU23王者ヤコブセンが混沌のスプリントを制す(photo:Le Tour de l'Avenir)
オランダのU23王者ヤコブセンが混沌のスプリントを制す(photo:Le Tour de l'Avenir)

ツール・ド・ラヴニール第2ステージ(アンザンナック-ロクリスト〜ビニャン 132.9km、獲得標高1634m)結果
1位:ファビオ・ヤコブセン JAKOBSEN Fabio(オランダ)3時間5分28秒(平均時速42,994 km/h)
2位:アルヴァロ・ホセ・ホデグ・チャグィHODEG CHAGUI Alvaro Jose(コロンビア)トップと同タイム
3位:クリストファー・ハルフォルセン HALVORSEN Kristoffer(ノルウェイ) トップと同タイム

27位:岡本 隼(日本大学/愛三工業レーシング)トップと同タイム
40位:岡 篤志(宇都宮ブリッツェン)トップと同タイム
66位:小野寺 玲(宇都宮ブリッツェン)トップと同タイム
81位:石上優大(EQADS/Amical Vélo Club Aix en Provence) トップと同タイム
100位:雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)トップと同タイム
140位:山本大喜(鹿屋体育大学)トップから+9分53秒


ツール・ド・ラヴニール第2ステージ後の総合成績
1位:キャスパー・アスグリーン(デンマーク)6時間9分22秒 (平均時速43,631 km/h)
2位:クリストファー・ハルフォルセン(ノルウェイ)トップから+4秒
3位:アルヴァロ・ホセ・ホデグ・チャグィ(コロンビア)トップから+4秒

22位:岡 篤志(宇都宮ブリッツェン)トップから+4秒
23位:岡本 隼(日本大学/愛三工業レーシング)トップから+4秒
36位:小野寺 玲(宇都宮ブリッツェン)トップから+4秒
105位:石上優大(EQADS/Amical Vélo Club Aix en Provence) トップから+4秒
112位:雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)トップから+4秒
137位:山本大喜(鹿屋体育大学)トップから+10分37秒

*フルリザルトへのリンク:
https://dataride.uci.ch/iframe/CompetitionResults/32489/10/

・総合1位:キャスパー・アスグリーン(デンマーク)のコメント:
「スタート直後に2名の逃げが発生した後は、僕らデンマークとノルウェーが協調してレースをコントロールし、追走アタックが生まれないようにしたんだ。最終コーナーで落車に巻き込まれたが、幸い自転車が壊れただけで済んだので問題ないよ。正直言うと、僕は総合系ライダーではないので、これからずっとマイヨジョーヌを守れるとは思っていない。もちろんマイヨジョーヌの事はリスペクトしているし、できるだけ長い間着たいけど、脚質的に山岳で失うのは間違いない。だからチームにもマイヨジョーヌを守るという責務を負わせまくるつもりはないんだ。」

 
ツール・ド・ラヴニール第2ステージ スタートシーン(photo:CyclismeJapon)
ツール・ド・ラヴニール第2ステージ スタートシーン(photo:CyclismeJapon)
山本大喜の落車に対応する高橋優平メカ(photo:CyclismeJapon)
山本大喜の落車に対応する高橋優平メカ(photo:CyclismeJapon)
レース後にくつろぐ岡本隼(photo:CyclismeJapon)
レース後にくつろぐ岡本隼(photo:CyclismeJapon)


・第2ステージ27位となった岡本 隼(日本U23/日本大学/愛三工業レーシング)のコメント:
「終盤までは比較的おとなしくレースは進んだんですが、ゴール地点の街に入ってからの3周回は脚や技術というよりも”気持ちの思い切り”がものを言う展開。各国とも位置取り合戦のナーバスさは半端なかったです。海外で対等に戦うには、気持ちで恐れていては駄目ですね」
 


岡 篤志(日本U23/宇都宮ブリッツェン)第2ステージ40位(総合でトップから+4秒):
「終盤の周回コースはクレイジーなほど混沌としていましたね。これぞ海外のトップレースという感じです。最終周回では結構前方に位置取り出来た場面もありましたが、位置取り合戦に負けてすぐに後ろに追いやられてしまった。運がよければスプリントする、何となく上位を目指す、と言う気持ちでは良くても20位前後にしかなれないと思い知らされた。やるなら本気で狙わないといけませんね。」

小野寺 玲(日本U23/宇都宮ブリッツェン)第2ステージ66位(総合でトップから+4秒):
「今日は僕のスプリントで勝負する段取りでチームでは動いていましたが、ゴールの街ビニャンの周回でパンクに見舞われ勝負に絡めなかったのは無念ですね。しかしこのレベルでの選手によるスプリントでは”上位入賞する”程度の目標で臨むとスプリントでの位置取りに負ける。”強い心”を持って本気で優勝を狙わないと行けないと感じました」

石上優大(日本U23/EQADS/Amical Vélo Club Aix en Provence) 第2ステージ81位:
「最初のフランス人2名の逃げが決まった後、道が狭い関係もあり各国ともに中々追走アタックが形成されなかった。自らアタックも仕掛けたが、デンマーク&ノルウェーの集団コントロールも盤石で思い通りにはなりませんでした。最後の周回は幸い前方で展開できたので比較的に楽に走れ、岡選手との連携も出来たため、勝利は出来ないにしても良い結果を出すことが出来ると思っていた。しかし、最後の勝負どころ直前でルクセンブルク人に弾かれ集団後方に下げられてしまった。気持ち的に本気で勝つ!という覚悟を持たないと位置取りは難しいということを強く認識しました。とはいえ、この混沌としたステージにて無傷で済んでホッとしている。まだまだ先は長い。」

雨澤毅明(日本U23/宇都宮ブリッツェン)第2ステージ100位:
「スタート後にフランス人選手2名の逃げが発生し、それを見ながら集団がコントロール。主にデンマーク、イギリス、ノルウェイがイニシアティブを持って追いかけるという展開でした。前半は比較的おとなしいステージだったかと思います。しかし、ゴールの街ビニャンの周回コースでのスプリンターチームによる位置取り合戦は恐ろしかった。危険は冒さずに安全策を取って無事にゴールを目指しました。早く山岳地帯に入って暴れたいですね。」

山本大喜(日本U23/鹿屋体育大学)第2ステージ140位(総合でトップから+9分53秒):
「序盤でのアタックを狙っていたが、フランス人2名が逃げた後は強豪チームが集団前方に蓋をしてしまったため、残念ながら今日も逃げる事ができなかった。中盤の補給地点でイタリアチームの選手がサコッシュを取り損なって、それに巻き込まれ落車。ハンドルを破損するほどの衝撃で左手首が少々痛いままメイン集団を追いかけました。幸いスピードが格段に上がる終盤の周回コースに入る前に集団復帰。最後は再度メイン集団からちぎれましたが、無事にゴールできて良かったです。相変わらず逃げるモチベーションは高いので、明日からのステージでもあくまでも逃げる事を念頭に臨みます。」

 
得意な山岳での勝負を楽しみにする雨澤毅明(photo:CyclismeJapon)
得意な山岳での勝負を楽しみにする雨澤毅明(photo:CyclismeJapon)
ゴール直後に最終盤の混沌ぶりを振り返る岡と石上(photo:CyclismeJapon)
ゴール直後に最終盤の混沌ぶりを振り返る岡と石上(photo:CyclismeJapon)


U23日本ナショナルチーム浅田顕監督のコメント
「今日はとくに終盤スプリントに向けての位置取りに緊張感が凝縮されたレース展開となった。そんななか、終盤に抜け出して入賞も狙えた山本大喜の落車は残念。しかし大事に至らずホッとしている。

チームとしては小野寺のスプリントで狙う計画だったが、最終局面で痛恨のパンク。残念だったが、同じタイプのステージはまだ何個か続くので、そこで今日できなかった事を成就してほしい。選手には“このレースがU23活動の頂点である”ことを常に言い続けており、彼らも重々承知している。結果、彼らのこのレースに賭ける集中力の高さには並々ならぬものを感じており、結果を出してくれると信じている。」


第54回ツール・ド・ラヴニール
Le Tour de l'Avenir(未来のツール)
https://www.tourdelavenir.com/
-カテゴリー:UCI Europe Tour (2.Ncup)
-期間:2017年8月18日(金)-27日(日)
-距離:全9ステージ=総走行距離1,201km、総獲得標高=16,673m

-U23日本ナショナルチームメンバー(監督:浅田顕)
雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)
石上優大(EQADS/Amical Vélo Club Aix en Provence)
岡 篤志(宇都宮ブリッツェン)
岡本 隼(日本大学/愛三工業レーシング)
小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
山本大喜(鹿屋体育大学)

-出場国(各チーム6名、24チーム=計144人):
ドイツ/オーストラリア/オーストリア/ローヌアルプ・オーヴェルニュ地方選抜(開催国特別枠)/ベラルーシ/ベルギー/ブルターニュ地方選抜(開催国特別枠)/コロンビア/デンマーク/アメリカ合衆国/イギリス/アイルランド/イタリア/日本/ルクセンブルグ/モロッコ/ノルウェイ/オランダ/ポーランド/ポルトガル/チェコ/ロシア/スイス

U23日本ナショナルチーム 全ステージの概要
http://www.cyclisme-japon.net/modules/race/details.php?bid=819
 

チームカーからのレース中補給の様子(U23ジャパンナショナルチーム撮影)