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自転車旅人・西川昌徳「中南米縦断自転車旅レポート」教室と世界をつなぐLIVE授業

その他
世界を自転車で旅し、学校講師の経歴を生かし、途中で授業も行う独自のスタイルで旅を続けている自転車旅人・西川昌徳さんからレポートが届いた。

現在は自転車で中南米縦断中で、2017年8月12日から約3週間の予定でキューバを訪問する。今回の旅の始まりからメキシコ・ユカタン州カンクンまでの自転車旅および講師を務める学校との授業についてのレポートとなる。


 
メキシコ・チャパス州・サンクリストバルデラスカサスから三重県の小学生をつないだ授業
メキシコ・チャパス州・サンクリストバルデラスカサスから三重県の小学生をつないだ授業

旅の概要

前回の旅を区切ったメキシコより、約6カ月かけて中南米大陸を縦断する自転車旅。 各地で起こる出来事や生まれる物語、その国の現実を共有するプログラムを西川さんが講師を務める小中学校で行う。LIVE でつなぐテレビ電話だけでなく、メッセージアプリを利用した生徒との直接的な会話やりとりや、動画のやりとりなどをすることで、よりリアルに近いかたちでその国の実情や旅を伝えることを目的とする。 
 

自転車旅のコンセプト

テント、調理道具などアウトドアで使用するキャンプ装備を持ちながら、最低限のパッキングサイズで旅をするための可能性を探る。具体的には、バイクパッキングと呼ばれる自転車に荷台を取り付 けず、フレームやハンドルにバッグを直接取り付けるパッキングスタイルを選ぶことにより、シンプルで軽く、走る場所を選ばない自転車旅の可能性を広げるスタイルでの長期ツーリングを確立する。 バイクは悪路での走破性もあり、オンロードでもしっかり走るKONA社のグラベルロード「ROVE ST」を使用する。 
 

学校授業のコンセプト

これまで実施してきた「世界を伝える」というコンセプトだけでなく、子どもたちの知らない世界への興味関心を生み出すきっかけづくりや、自分の思いや考えを表現するという部分をしっかりと育んでいけるよう、授業の枠にとらわれない関わり方を目指す。具体的には、子どもたちが自由に使える iPad のメッセージ機能を利用し教室と旅先の西川をつなぐ、直接的なコミュニケーション環境を作ったり、メッセージのやりとりだけでなく写真や動画のやりとりをすることでより分かりやすく伝えられる環境づくりを行う。インターネットテレビ電話での交流には状況に応じて、iPad、iPhoneを使い分けて実施。インターネット環境は現地キャリアSIMやWi-Fiを利用。 
 

旅の進捗状況



2017年6月26日よりメキシコシティから自転車旅をスタートし、8月11日現在はメキシコ・ユカタン半島カンクンに滞在中。総走行距離は2540km。8月12日にキューバへ飛び、約3週間の予定でキューバを走行予定。その後カンクンに戻り、ベイリーズ、グアテマラと旅を続けていく予定。 
 

学校授業レポート

講師を務める各学校と、テレビ電話機能を使ったLIVE授業を実施した。

ロケーションはメキシコ人宅、市街地を歩きながらレポート、現地の市場から中継など。iPadを用いて、現地の方とのコミュニケーションを作りやすい環境としたため、授業実施中も多くの方が集まり挨拶や質問などコミュニケーションが生まれた。また、生徒と直接メッセージや動画のやり取りをし、それを新聞にまとめて発表したり、給食時間の放送でレポートするなど授業だけではない関わりをいくつかの学校で実施。間隔が空く授業だけでない日常的なコミュニケーションを作ることで、子どもたちの好奇心をうまく引き出したい。 
 

旅のこれまでとこれからへの思い

前回の強盗被害のこともあり、今回の旅は宿を使いながら、キャンプも実施するスタイルで旅をはじめている。1日の走行距離はだいたい120km平均。パンク5回。メキシコ以南はキャンプ場など公共でキャンプできる場所がほぼ無いので、キャンプの際には24時間営業の食堂、ガソリンスタンド、民家の庭などでのキャンプが多い。

治安のリスクがある国々ではあるが、日中に治安が悪いと感じるようなことはなく、人もとても人情味があって、毎日地元の人との関わりが楽しい。ルートに関しては、大きな国道はなるべく避けて小さな町をつなぐルートを中心 に組んでいる。メキシコは路肩は狭いところが多いが、自動車は気を使って運転してくれていることを感じる。

日本との授業に関しては、今回は公用語がスペイン語、また時差により日本の朝一番とこちらの夕方をつなぐことが多いが、それでも何かの共通点を見つけてコミュニケーションのきっかけにしたり、言葉のやりとりだけに限らず歌を歌ったり、踊りを披露したりと子どもたちの交流にも工夫が見られる。

どうしても、こういう国同士をつなぐ交流となると「文化」「歴史」のようなしっかりしたものを作ろうとしがちだが、子どもたちの関心が生まれるのはもっともっと身近なところが多く、着ているものや、食べもの、相手が質問した好きなポケモンやゲームの話題で急に場がゆるんで良い空気感が生まれたり、やはり子どもたちにとって世界は違う、から何か同じところという共通項を見い出すお手伝いをしてあげることが、これから授業をよりよくしていく上で大切だと思う。

またキューバは社会主義国でありインターネット環境がほとんどないので、学校の夏休みに合わせて3週間ほど旅する予定としている。アメリカの経済制裁や社会主義国としての背景から、現代においても独特の文化や暮らしを残した国となっている。 医療や教育をしっかり保証された国でありながら、社会主義によりいくら働いても収入があがらないなかで生きる人たちとの出会い、自転車で都市部農村部をまわりながら、何か自分なりにキューバの国としての像を捉えられたらいいなと思う。 


自転車旅人・西川昌徳「中南米大陸縦断自転車旅レポート」
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