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大阪の下町にサイクリストウエルカムな銭湯! 自転車乗りの店主が始めた千鳥温泉(自転車湯)でひとっ風呂いかが?

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先日紹介した東京の「昭島 富士見湯」だけじゃない! 日本中を探せばあるんです、我々自転車乗りに優しい銭湯が。今回はディープ大阪の銭湯、通称「自転車湯」こと「千鳥温泉」へ。サイクリストである店主の想いがつまったくつろぎ空間でリフレッシュなんていかが?
「銭湯サイクリスト」の編集部員がゆく。大阪編。

(text&photo:江里口恭平)

裏屋号は「自転車湯」!? 銭湯と自転車を愛する店主が受け継ぐ大阪の銭湯

浴場内観。大阪らしく洗い場も兼ねる御影石の腰掛けがポイント
浴場内観。大阪らしく洗い場も兼ねる御影石の腰掛けがポイント
休憩スペース奥に設置された自転車ラック。交互にかければ最大6台を駐輪できる
休憩スペース奥に設置された自転車ラック。交互にかければ最大6台を駐輪できる

大阪屈指の観光地であるユニバ(USJ)へ向かう乗り換え駅であり、大阪・環状線のターミナル駅のひとつである西九条駅。それは関西の有名サイクリングロードである「淀川サイクリングロード」や、実業団レースが開催される「舞洲」にもほど近いというサイクリストにとっても馴染みがある場所だ。

その駅から”少しディープ”な方へ自転車を進ませていくと現れる煙突。見つけました、今回の目的地だ。

というわけで今回、銭湯好き編集部員である私がおじゃましたのが此花区梅香にある「千鳥温泉」。

先日弊サイトにて紹介し「銭湯サイクリスト※」の間で反響を呼んだ「サイクリスト向け駐輪サービス」を始めた町の銭湯。その「元祖」にあたるとされるのが、この千鳥温泉だ。

※銭湯サイクリスト=銭湯をこよなく愛する自転車乗りの総称として、サイスポ.jp編集部が提言。銭湯を目的地またはゴール地点とする「銭湯ライド」など、銭湯サイクリストの楽しみ方は千差万別。

この千鳥温泉は創業66年の町の銭湯ではあるが、2017年の9月に新たな店主の桂秀明さんに変わった。その際に、新たな試みとしてロードバイク駐輪サービスを開始した。

それは銭湯サイクリストの最も大きな悩みである、風呂に入っている間にロードバイクを外で置きっぱなしにしてしまう、という不安を解消してくれるものだ。長湯も安心。
 
夏のライドで火照った体を冷やすには、水風呂がうってつけ
夏のライドで火照った体を冷やすには、水風呂がうってつけ
乾式のサウナは無料で(手持ちのバスタオルが必要)はいることができる
乾式のサウナは無料で(手持ちのバスタオルが必要)はいることができる
休憩室の番台前スペースには、折りたたみ小径車の収納スペースがあり、最大10台を並べられる
休憩室の番台前スペースには、折りたたみ小径車の収納スペースがあり、最大10台を並べられる
店主の桂秀明さんと、奥さんの育美さん。お二人とも趣味でツーリング旅を楽しまれている。奥さんは学生時代、サイクリング部に所属し日本各地を旅した
店主の桂秀明さんと、奥さんの育美さん。お二人とも趣味でツーリング旅を楽しまれている。奥さんは学生時代、サイクリング部に所属し日本各地を旅した

関西の銭湯でおなじみ「牛乳石鹸」の暖簾をくぐって店内に入ると、番台で桂さんご夫婦が迎えてくれる。そして休憩室の奥のスペースに目をやると、我々サイクリストおなじみのサイクルラックが!

これは店主がご自身で作り上げ、竹など味のある素材を使いながら最大6台のスポーツバイクを駐輪しておくことができる。番台から見通しのある位置にあることもあり、常に人の目が行き届くスペースなので安心して脱衣所への暖簾をくぐろう。

もし折りたたみ小径車であれば、折りたたんで番台前のスペースに最大10台並べることも可能。困ったら店主に相談してみてもいいかもしれない。

さあお楽しみの浴室。まず風呂のラインナップとしては、熱めの湯が浅い浴槽(バブルあり)と深い浴槽に、ぬるめの湯、電気風呂、水風呂、サウナ(無料)というラインナップ。銭湯絵には堂々と富士が描かれてる。くー、たまらない。

注目したいのは、大阪銭湯らしい広い洗い場。兵庫の御影石を使った腰掛けが左右対称の形で浴槽を囲み、ニューヨーカー(入浴者)たちの洗い場兼くつろぎスペースとして機能している。これ、関西の銭湯のスタンダード装備。

かけ湯からはじめて熱湯、水風呂と、のんびりと銭湯を楽しもうではないか。湯は温泉ではないものの関西らしい肌触りの水。いやはや、ここまでのサイクリングでかいた汗と疲労を湯に流しつつ、ついつい長風呂してしまうほどに大満足!

2017年の9月よりこの千鳥温泉を経営する桂秀明さんと、奥さんの育美さん。二人とも学生時代から自転車で旅するのが好きで、結婚してからもよく二人で自転車を楽しまれていたそう。銭湯好きだった桂さんが、それまで勤めていた会社を辞めてこの千鳥温泉を継ぐということを相談すると、奥さんは背中を押してくれたそうだ。

「でも本当は私が継ぐ際に、この銭湯の名称を『自転車湯』に改めたいと思っていたんです。けれど奥さんに、”その名前に変えるなら絶対に手伝わない”ときっぱり断られてしまって。そんなことになると絶対にやっていけません。結果的にはこの千鳥温泉のままで、この名称でよかったと思っていますが。そんなこともあり今のうちの裏屋号は『自転車湯』なんです」と笑う。

「今後は既存の地元のお客さんも大切にしつつ、ゆくゆくはうちの銭湯が、自転車乗りが集まって、サイクリングの起点・終点になってもらえるような銭湯にしたいと考えています。」そのために桂さんは日々様々な新しい案を考え中だという。

銭湯を出て適度に緩んだ体が初夏の風に吹かれる。自転車を漕ぎだすと、どこからともなくたこ焼きを焼くソースの匂いが漂ってくる。その店をのぞくと張り紙のメニューには「たこ焼き15個 100円」。これよこれ。タコが入っているんだかないんだかよくわからない熱々のそれをほおばりながら、ディープ大阪サイクリングを再開しよう。
 

店舗詳細

店舗外観。周囲には歩行者&自転車専用河底トンネル「安治川隧道」など。大阪のディープな魅力がつまったポタリングスポットが満載だ
店舗外観。周囲には歩行者&自転車専用河底トンネル「安治川隧道」など。大阪のディープな魅力がつまったポタリングスポットが満載だ
「千鳥温泉(自転車湯)」

住所:大阪市此花区梅香2-12-20
営業時間:14:30〜23:30
定休日:毎週火曜日
料金:440円(大人)、300円(中学生)、150円(小学生)、60円(幼児)
貸しタオル20円、貸しバスタオル50円、石けん30円〜
乾式サウナ無料
定休日:毎週火曜日
☎06-6463-3888

http://jitenshayu.jp

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