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未舗装路のチマ・コッピでアタック! ジロ・デ・イタリア第19ステージはフルームが独走で逃げ切り、マリア・ローザを獲得
レース
2018.05.26
第101回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月25日にベナリア・レアレからバルドネッキアのヤッフェラウ頂上までの184kmで、チマ・コッピ(今大会最高峰)のフィネストレ峠を越えるクイーンステージの第19ステージを競った。
なんと英国のクリストファー・フルーム(チームスカイ)がフィネストレ峠の未舗装路区間でアタック。ゴールまで残り81kmを独走で逃げ切り、今大会2勝目を上げた。この日、マリア・ローザを着ていた英国のサイモン・イエーツ(ミッチェルトン・スコット)は、フィネストレ峠の序盤に集団から脱落。38分51秒遅れでゴールし、総合争いからあっさり姿を消した。
総合2位でディフェンディングチャンピオンのトム・ドゥムラン(チームサンウェプ)は、孤軍奮闘してフルームを追ったが、3分以上遅れてゴール。マリア・ローザは前日まで総合4位だったフルームの手中に落ちた。
チマ・コッピとゴールのヤッフェラウで大量の山岳ポイントを稼いだフルームは、イエーツから山岳賞のマリア・アッズーラまで奪い取ってしまった。
今年のジロはサプライズな逆転劇を演じてマリア・ローザを獲得したフルームが、ドゥムランに40秒差を付けて土曜日の山岳最終決戦を迎えることになった。
アフリカ育ちのフルームが砂利道のフィネストレ峠でアタック!
第19ステージは158選手がスタート。序盤に越えたカテゴリー2のリス峠で、地元イタリアのファビオ・アルー(UAEチーム・エミレーツ)がリタイアした。彼は総合成績ですでに45分以上遅れていた。
リス峠で14人が集団から先行し、下りでさらに他の選手たちが合流。フィネストレ峠のふもとで先頭の逃げは9人になり、ミッチェルトン・スコットがコントロールする集団に1分10秒差を付けていた。18.5km続くフィネストレ峠の登坂が始まり、スペインのルイスレオン・サンチェス(アスタナプロチーム)が単独で先頭に立った。
フィネストレ峠が始まるとメイン集団の先頭は、チームスカイが引き始め、山頂まで15kmを残してマリア・ローザのイエーツが集団から遅れ始めた。先頭を逃げていたサンチェスは、20人ほどに絞られたメイングループに98km地点で捕まってしまった。
上りの中盤から未舗装路がスタートし、ゴールまで残り81kmでフルームがアタック。ドゥムラン、ティボ・ピノーとセバスチャン・ライヘンバッハ(グルパマ・FDJ)、リチャルド・カラパス(モビスターチーム)、ミゲルアンヘル・ロペス(アスタナプロチーム)は追走したが、総合3位のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(バーレーン・メリダ)は遅れを取ってしまった。
山頂まで残り3kmで、フルームはドゥムランたちのグループに40秒差、ポッツォヴィーヴォのグループに1分45秒差を付けて逃げ続けた。総合2位のドゥムランと総合4位のフルームのタイム差は2分54秒だった。マリア・ローザのイエーツは、すでに7分以上後方を走っていた。
フルームはフィネストレ山頂をトップで通過し、チマ・コッピ賞を獲得。ドゥムランたちに49秒差を付けて下り坂を駆け下りた。上りで遅れていたライへンバッハがドゥムランのグループに追いつき、ピノーのために引き始めたが、フルームとのタイム差は広がる一方だった。
つづくカテゴリー3のセストリエーレ山頂でフルームは、ドゥムランのグループに2分42秒差を付けていた。そして遂に、ゴールまで残り32kmで、彼はドゥムランに2分58秒差を付け、バーチャル・マリア・ローザになった。
それを取り戻そうと、ドゥムランはライへンバッハとともに先頭を引いたが、新人賞のマリア・ビアンカ争いにしか興味のないロペスとカラパスの協力は得られず、タイム差はさらに広がっていった。そして最後のヤッフェラウの上り坂が始まった残り7.2kmで、タイム差は3分21秒になっていた。
ゴールへと続くヤッフェラウの登坂が始まると、ライヘンバッハは仕事を終え、追走グループはドゥムラン、ピノー、ロペス、カラパスの4人になった。ドゥムラン以外の選手たちは総合順位争いとマリア・ビアンカ争いでアタックを繰り返したが、ドゥムランは自分のペースを守ってゴールを目指した。それでも先頭のフルームとのタイム差を埋めることはできなかった。
フルームは81kmの大逃げを成功させ、ガッツポーズでフィニッシュラインに飛び込んだ。その後方では、先頭を引き続けたドゥムランを尻目にカラパスがゴール前でアタックし、区間2位に入ってわずかなボーナスタイムを獲得した。それでも彼は総合でロペスを逆転することはできず、マリア・ビアンカは奪えなかった。
区間3位にはピノーが入り、ドゥムランはボーナスタイムも獲得できず、フルームより3分23秒遅れてレースを終えた。ポッツォヴィーヴォは8分半近く遅れてゴールし、総合3位の座をピノーに奪われてしまった。
33歳のフルームは、この日マリア・ローザに初めて袖を通した。彼はマリア・ローザを着用した5人目の英国人になり、3大ツアー全てでリーダージャージを着た24人目の選手になった。
■サプライズな大逃げを成功させて総合首位に立ったフルームのコメント
「これまでの自分の競技人生で、ゴールから80kmでアタックして、自分だけで走ってゴールまで行ったことはないと思う。それをお膳立てするために、チームは素晴らしい仕事をしてくれた。まずボクたちはイエーツを振り落とし、それからドゥムランを引き離さなければならなかった。
総合4位から1位に行くことを、ボクは最後の上りでやるつもりはなかった。フィネストレ峠はそれをやるのに最適な場所だった。砂利道はアフリカを思い出させるよ。明日はまた別の厳しい一日だが、レースが進むに連れて、脚の調子はより良くなっていると感じている」
■第19ステージ結果[5月25日/ベナリア・レアレ~バルドネッキア/184km]
1. FROOME Chris (TEAM SKY / GBR) 5h 12’ 26”
2. CARAPAZ Richard (MOVISTAR TEAM / ECU) 03’ 00”
3. PINOT Thibaut (GROUPAMA - FDJ / FRA) 03’ 07”
4. LOPEZ Miguel Angel (ASTANA PRO TEAM / COL) 03’ 12”
5. DUMOULIN Tom (TEAM SUNWEB / NED) 03’ 23”
6. REICHENBACH Sebastien (GROUPAMA - FDJ / SUI) 06’ 13”
7. FORMOLO Davide (BORA - HANSGROHE / ITA) 08’ 22”
8. OOMEN Sam (TEAM SUNWEB / NED) 08’ 23”
9. KONRAD Patrick (BORA - HANSGROHE / AUT) 08’ 23”
10. BILBAO Pello (ASTANA PRO TEAM / ESP) 08’ 23”
11. POZZOVIVO Domenico (BAHRAIN - MERIDA / ITA) 08’ 29”
12. BENNETT George (TEAM LOTTO NL - JUMBO / NZL) 08’ 38”
18. DENNIS Rohan (BMC RACING TEAM / AUS) 14’ 38”
79. YATES Simon (MITCHELTON - SCOTT / GBR) 38’ 51”
■第19ステージまでの総合成績(マリア・ローザ)
1. FROOME Chris (TEAM SKY / GBR) 80h 21’ 59”
2. DUMOULIN Tom (TEAM SUNWEB / NED) 0’ 40”
3. PINOT Thibaut (GROUPAMA - FDJ / FRA) 04’ 17”
4. LOPEZ Miguel Angel (ASTANA PRO TEAM / COL) 04’ 57”
5. CARAPAZ Richard (MOVISTAR TEAM / ECU) 05’ 44”
6. POZZOVIVO Domenico (BAHRAIN - MERIDA / ITA) 08’ 03”
7. BILBAO Pello (ASTANA PRO TEAM / ESP) 11’ 08”
8. KONRAD Patrick (BORA - HANSGROHE / AUT) 12’ 19”
9. BENNETT George (TEAM LOTTO NL - JUMBO / NZL) 12’ 35”
10. OOMEN Sam (TEAM SUNWEB / NED) 14’ 18”
13. DENNIS Rohan (BMC RACING TEAM / AUS) 16’ 38”
18. YATES Simon (MITCHELTON - SCOTT / GBR) 35’ 42”
[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):Elia Viviani (Quick-Step Floors)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):Chris Froome (Team Sky)
■新人賞(マリア・ビアンカ):Miguel Angel Lopez (Astana Pro Team)
山岳最終決戦は標高2001メートルのチェルビニア頂上ゴール!
今年最後の登坂となるチェルビニアは全長18.2km、平均勾配は5.3%で、中盤に最大12%の難所がある。最後の逆転劇が待ち受けているのか、それともフルームがこのままマリア・ローザを持ち帰るのか、チェルビニアのゴールが待ち遠しい。
(レース公式サイト)