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アルゴン18のミッドレンジモデル クリプトン

3Dヘッドチューブに代表されるように、独自の機構や設計コンセプトを持つカナダのブランド「アルゴン18」。ラインナップ中ミッドレンジにあたる「クリプトン」は、3Dヘッドチューブをいちばん手軽に手に入れることができるモデルだ。
text:中島丈博 photo:山内潤也

3Dヘッドチューブをもっと手軽に

カナダ・モントリオールに本社を置くアルゴン18。以前試乗した「ガリウムプロ」は3Dヘッドチューブや低めのBBがアイデンティティーで、ちょっとクセのあるバイクかと思いきや、さすがフラッグシップモデル。軽く、硬くという現代のロードバイク設計におけるトレンドを押さえた堅実な乗り味に仕上げられていた。「クリプトン」はその2つ下のグレードとなる。 ガリウムプロとの違いは、フレームの素材がグレードダウンされ、大径BB、リバーシブルシートポスト、ワイヤの内蔵処理を捨てている点。だが、もっとも特徴的な部分である3Dヘッドチューブは、上位グレードと同じく採用されている。フレーム価格で20万円を切るわけだが、いちばん手軽にこの規格を体験できるモデルになっている。 ホビーライダーはサドル高を優先してフレームサイズを選ぶとヘッドチューブが短めになり、コラムスペーサーの量が多くなる傾向にある。それにより発生するフォークコラムのねじれを防ぐ構造がこの3Dヘッドチューブなのだ。どんなにヘッドチューブの剛性を上げたところで、コラムが長ければその部分にねじれが発生してしまう。実際にどれくらい効果があるかというと、15mmコラムを入れた場合よりも5%、25mmでは11%剛性がアップするという。 そのほかの設計としては、HDS(ホリゾンタル デュアルシステム)、AFS(アルゴン フィットシステム)の2つが特徴的だ。HDSはフレームの機能を上半分と下半分に分けて考え、上側には快適性を追求するフレーム形状、下側には駆動力を伝えるための剛性を重視したフレーム形状やカーボンレイアップを施すというコンセプト。AFSはサイズが違っても同じ走行感や、ハンドリングが得られるようジオメトリー各部が最適化されている。
■写真下・左:ストレートフォークの形状はガリウムプロよりも細身のブレードで、振動吸収性を持たせるべく設計されている。ヘッドのベアリング径は1-1/4インチを採用。 ■写真下・中:アルゴン18ご自慢の3Dヘッドチューブは、コラムスペーサーではなくヘッドチューブ自体にシムを追加してステムの高さを調整するという独創的な構造。最大で25mmまで延長可能。 ■写真下・右:ホリゾンタル デュアルシステムという、フレームの上半分に快適性、下半分にパワー伝達効率に重きを置いた形状を伝えている。各チューブがBB幅いっぱいに接合されている。
■写真下・左:BBのドロップ量は70mm。これにより下りでの安定性を高め、スポイルされる踏みだしの鋭さをフレームのボリュームを増すことで解決している。 ■写真下・右:チェーンステーは縦方向にリヤに近づくにつれて細くなり、パワーを受け止めつつシートステーの振動吸収性を犠牲にしないよう考えられた形状だ。
■大きく湾曲したシートステーは、快適性と剛性のバランスを考えたもの。形状としてはガリウムプロとほぼ同じだが、リヤブレーキの上に穴が開けられているのが異なる部分だ。

アルゴンエイティーン・クリプトン

フレーム価格:19万8000円 フレーム:5650HMカーボン フォーク:Kr36カーボンフォーク コンポーネント:スラム・ライバル ホイール:エドコ・フルーカ タイヤ:ヴィットリア・ザフィーロプロ 700×23C ハンドルバー:FSA・ウィングプロコンパクト ステム:FSA・OS150 サドル:セライタリア・SL XC シートポスト:オリジナル 試乗車実測重量:7.86kg(Sサイズ、ペダルなし) サイズ:XXS、XS、S、M、L、XL

CYCLE SPORTS.jp編集長・ナカジのインプレッション

ガリウムプロを試乗して4ヶ月、ミドルクラスのクリプトンを試乗した。もし購入するならどちらを買うのか?という視点で書いていこうと思う。結論から言わせてもらえば、クリプトンを選びたい。 まずはフレームの剛性感。ガリウムプロよりも控えめになっているそれは、ペダルを踏み込んでいったときの明快な反応こそトップモデルに一歩謙るが、加速の後半ではそん色ないレベルに感じた。ライドの後半で疲労が溜まってきたときにはむしろクリプトンの硬さのほうが、フレームからはじき返される力が少ない分、踏み負けない。ただ、自分よりも脚力がある人ならば、むしろ上位グレードの踏みごたえが好みになるのではないかと感じた。 ハンドリングについては、細い峠道の下りでタイトな切り返しが続くような場面では、もっときびきびしているほうが好みの人もいるかもしれないが、レースではない一般公道でそこまでのハイスピードで下っていく機会もなかなかないだろう。むしろ挙動がシビアすぎなくていい。 見た目の部分は、カラー展開は非常に潔い。ブラックかホワイトの2色で、ブランドロゴの数も控えめにされている。カラーパーツが充実している昨今は、アッセンブルするパーツで個性的な1台に仕上げることができるだろう。ホリゾンタルに近いフレーム形状もかっこいい。ただ、電動コンポーネントを使いたいと思ったら、ひとつ上のガリウムからしかケーブル内蔵処理ができないのはネックだ。 **************************************

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ブレイントレーディング
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