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アルゴン18 クリプトン 試乗レポート
2014.06.26
独自構造により、走りの懐が深いのが魅力
なんといっても目を引くのは、 3Dヘッドチューブと名付けられた構造。通常であれば、ヘッドチューブの長さはフレームサイズごとに決まっているが、3Dヘッドチューブはフレームの上側に、ヘッドチューブと同じ径の金属パーツを必要に応じて追加することで、 5mm、 15mm、 25mmと3段階に延長することが可能。
いくらヘッドチューブの剛性を高めたとしても、実際にライダーのポジションに合わせたときに大量のコラムスペーサーをヘッドの上に追加することになってしまっては、 本来のハンドリングを味わうことができなくなってしまう。 逆に背が低く、小さいサイズのフレームを選んでもハンドルの高さが下がりきらないという悩みをつライダーに対しては、そもそものヘッドチューブ長が短いので、理想に近いポジションを実現できる。
短いヘッドチューブを実現するために、ダウンチューブとトップチューブもむやみに太いパイプは使われていない。
大きなコンセプトは前作を踏襲しつつ、改良点もある。使用されるカーボンを変更することで軽量化を達成し、走りも切れ味を重視した。また、電動コンポーネントのケーブル類をフレームに内蔵でき るように穴あけ処理が行なわれた。 ミドルグレードに対しても、性能に妥協しないためにマイナーチェンジを行なったのだ。
ARGON18 KRYPTON
アルゴン18 クリプトン
フレームセット価格/18万8580円(税抜)
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・アルテグラ6870Di 2
ホイール:エドコ・コンペティションアルブラ
タイヤ:ミシュラン・プロ4 700×23C
ハンドルバー :チネリ・ヴァイハンドル
ステム:リッチー・コンプ
サドル:セライタリア・SL
シートポスト:アルゴン18・ASP-1500
試乗車実測重量:7.71kg(XSサイズ、ペダルなし)
サイズ:XXS、XS、S、M、L、XL
カラー:ブラック、ホワイト
※インプレッション車は、市販モデルと仕様が異なる場合があります
シートステーは弓なり形状によって、リヤホイールからの衝撃を和らげ、かつトップチューブから続くような幅を持たせることでフレーム全体でバランスをとる設計になっている
以前のクリプトンでは電動コンポ ーネントを使用する場合はフレーム内部にケーブル類を内蔵することはできなかったが、2014年モデルはすっきり内蔵できるように改良された
ダウンチューブからチェーンステーへとつながるラインより、BBの位置が下になっているのも特徴。重心を下げペダリングしたときのレスポンスを損なわないようにしている
ダウンチューブは、左右に角が張り出した 形状。前から後になるにつれて、その張り出し位置が変化する。これにより、効果的にねじれを抑え、ペダリングパワーを逃さない
ナカジの試乗レポート
とびきりレーシーなキャラクターではないものの、昨今のヘッドチューブが長いバイクばかりを見ていると、3Dヘッドチューブシステムは魅力的だ。小さいフレームサイズでもしっかりとハンドルを下げられるから。
そのため、下ハンを握って加速していってもヘッドまわりが弱いような印象はない。
ただ、踏み込んでからのゆったりした反応は気になる。
お尻にはそれなりに振動が情報として伝わってくるけれど、BBまわりはガツガツこない。脚への負担を軽減できているような気がする。
平地での巡航時は路面追従性がいいのか安定している。トップチューブも前方にかけて、わずかであるがチューブの幅が狭くなっている。ペダリング時にヒザが当たりにくくなっている。
下ハンを持ってもがいていっても、わりと応えてくれる。でも上位モデルと同じような反応を期待するのは酷というものだ。
だが、BBからの脚への反応はとても優しく、路面が荒れているところでもソフトなので、 ヒザへガツガツと無遠慮に衝撃を伝えるなんてことはしない。
距離の短いロードレースよりも、 耐久レースのように突然のペースアップが少ないようなレースや、ヒルクライムのようにペースを維持することが大切なジャンルには向いている。
ヒルクライムレースの場合は、踏み始めてすぐの早いレスポンスが好きな人よりも、じわじわっと加速していくバイクが好きな人にオススメ。
まだ乗っている人が少ないブランドであるという希少価値もポイントだ。