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カンパニョーロ・ポテンツァ誕生 ディスクブレーキ仕様コンポも登場

80年以上の伝統を誇り、世界中のロードバイカーを魅了し続けるカンパニョーロ。とかくハイエンドモデルばかりが注目される同社だが、ミドルグレードの市場をライバルメーカーから奪還すべく、新型コンポーネント「ポテンツァ」を投入する。スペインのリゾート、カナリア諸島で行われたプレスローンチから速報を届けしよう。
 
text:吉本 司 photo:カンパニョーロ

性能をアップしながらプライスダウンにも成功


イタリア語で「力強さ」を意味する「ポテンツァ」(伊語読みで表記)と命名されたカンパニョーロの新型コンポーネントは、現在の同社ラインナップにおいて上から4番目に位置するアテナに取って代わる機械式変速モデルだ。

その注目すべき点は、まずプライスダウンにあり、シマノ・アルテグラと同レベルを実現しているという(日本でもアルテグラと同程度の価格を予定だが未定)。これまではその価格が第一の障害となって、ミドルグレードを選ぶユーザーの選択肢から外れていたカンパニョーロのコンポーネントだが、この新たな価格設定により同じスタートラインに立つこととなった。

もちろんポテンツァは価格を単に抑えただけでなく、多くの基本構造と機能、そしてデザインの多くを現在の上位機種から受け継ぎ、性能面でもしっかりと進化を遂げている。ただし各パーツに使われる素材は主にアルミとなる。アテナではエルゴパワーとクランクにカーボンを用いたが、ポテンツァではコストと性能のバランスという実利を求めた故のアルミという選択だ(製品仕上げはブラックとシルバーを用意)。
 

ローギヤ32Tのワイドスプロケットも登場

レコードクラスの製品との基本構造と機能の違いは、そう多くない。とはいえ最も大きな違いを持つのがエルゴパワーの機能だ。ポテンツァではアテナと同じ「パワーシフト」が採用される。レコードクラスに搭載される「ウルトラシフト」は、ワンアクションで最大5段のシフトアップを可能にするのに対して、パワーシフトはワンアクションで1段ずつの変速となる。ここが最大の違いだ。またクランクの固定方法もレコードクラスの「ウルトラトルク」とは異なり、BBシャフトを左クランクで固定する「パワートルク」を採用する。

一方、ポテンツァで新たに取り入れた部分もあり、中でも特筆すべきは、ロングライドやツーリング的な使用も多いこのクラスを選ぶユーザーにも配慮して、リヤスプロケットは最大ローギヤ32Tのセットを新たに追加したことだろう。それに伴いリヤディレーラーのケージ長さは、ショートタイプに加えてロングタイプもラインナップされた。

その他にもフロントディレーラーのプレート形状とブレーキパッドの固定方法は見直され、ブレーキパッドはコンパウンド自体が完全に新しい仕様とするなど、細部の仕様も煮詰めることでユーザーの使い勝手を高めている。そしてコンポトータルの重量は2303g(前後ディレーラー、エルゴパワー、チェーン、スプロケット、ブレーキセット、チェーンホイール、BBカップの合計。仕様は非公表)に仕上げられており、ライバル視するアルテグラに迫る内容となった。

上位機種の最新プラットフォームを取り入れ、既存のアテナから大きく進化を遂げたポテンツァ。フレンドリーとなった価格も大きな付加価値となり、カンパニョーロの魅力をより多くのロードバイカーに届ける存在になりそうだ。
 

シャマルがワイドリム化

今回のポテンツァ発表に合わせて、アルミリムホイールの名作シャマルのマイナーチェンジもアナウンスされた。その内容はG3スポーキング、USBベアリングなどの基本設計を変えることなく、昨今のロードホイールのトレンドに倣ってワイドリム化。新型リムの内幅は、従来の15㎜から17㎜に拡幅した「C17」と呼ばれるもので、25㎜〜28㎜太さのタイヤにフィットする仕様となった(クリンチャー/2ウェイフィットの2タイプ有)。またフロントハブはボーラ35などと同じく、従来からベアリングを小径化してハブシャフトも見直すことで軽量化。ワイド化によるリム重量の増加をハブ部分で補った。重量はクリンチャーが1435g、2ウェイフィットが1515gに仕上げられている。
 

遂にディスクブレーキを実戦投入!

カンパニョーロではポテンツァとシャマルという2つの新製品の他に、「カンパニョーロ・ディスクブレーキ・プロジェクト」という試みを発表した。これは以前よりその存在がうわさされていたロード用ディスクブレーキを、今シーズンから契約ワールドチームに供給して実際のレースを走り開発する段階に入ることを意味する。現時点で製品に関する仕様などは、メーカ側から一切アナウンスされることはなかったが、製品を装備した実車が今回のプレアスローンチで用意された。ブレーキの制御は油圧式で変速はEPSと機械式が用意される。アクスル規格は従来の9㎜軸とスルーアクスルがあり、ローター径は製品を目視では140㎜/160㎜の設定で、ホイールはリム、ハブ共に新設計のタイプだった。今後の動向が注目される。
 
 
サイクルスポーツ6月号では、スペイン・カナリア諸島で行われたプレスローンチを取材。現地試乗も交えて新型ポテンツァなどを、より詳しく紹介する予定だ。