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ツアー・オブ・ジャパン 宇都宮ブリッツェン密着レポート 2日目

世界の強豪チームが揃うツアー・オブ・ジャパン(TOJ)が、今年も大阪で開幕した。アジア 最大級のステージレースではあるが、海外チームだけでなく、日本人選手や”純日本チーム”の活躍・闘いぶりにも是非とも着目してみて欲しい! そこで今年 のTOJは、地域密着型チームのリーダー的存在である宇都宮ブリッツェンに全ステージ密着し、その内側をお届けしていく。ひとりでも多くの人にその魅力を 知ってもらえると嬉しい。
text&photo 滝沢佳奈子

雨の上がった京都で今大会初のロードレースがスタート

今回のTOJで初となる京都ステージは京田辺市、精華町のけいはんな丘陵地帯を周回するコースが設定された。事前に試走をした他チームの選手によると、テクニカルな下りなど、注意すべき点があるコースだそう。

9時20分のセレモニーランのスタート約1時間前に宇都宮ブリッツェンのメンバーがホテルから少し離れたスタート地点普賢寺ふれあいの駅に車で到着した。忙しなくスタート前の補給などを済ませると、無線が使えるレースともあり、ラップでグルグルに巻かれた無線機の調子を確かめ合う作業も行われていた。選手たちが到着した時点ではすでに雨は上がっていたが、前日から降っていたこともあり路面が乾かない状態でのスタートとなった。

 
スタート前にランプレ-メリダの新城選手、マトリックスの土井選手とともに昨日のTTの結果を話す増田選手
スタート前にランプレ-メリダの新城選手、マトリックスの土井選手とともに昨日のTTの結果を話す増田選手

1周目から大久保選手が逃げグループに入る!

レースはセレモニーランを終え、周回コースに入るとリアルスタートが切られた。早速逃げ集団ができ、実況解説で乗った4人のメンバーが伝えられる。前日のミーティングでもオーダーになかった大久保選手の名前が呼ばれる。

「まさか逃げる気なくて、ジャブ打ったら一発で決まっちゃった(笑)」とレース後、大久保選手は話した。続けて、「自分らイージーに引いてたんですけど、イラン人の選手(タブリーズシャハルラリのベナム・マレキ)が1周目から1人だけブワーって引いて、まじこいつ速すぎだなってなってた」と語る。山岳ポイントの3周回目になると、小石選手、マレキ選手がペースを上げ、大久保選手は遅れていった。

 
1周目からの逃げグループに入る大久保選手
1周目からの逃げグループに入る大久保選手

集団では阿部選手、増田選手がパンク

1周目から阿部選手がパンクに見舞われてしまう。「最初の1周目でパンクして、復帰をして、ちょっとみんなの位置取りのために走ってたら、2度目のパンクをして、戻って残り3周の半分で遅れた。このコースが復帰するのに難しいコースで、1回目のパンクの後でだいぶ脚を使ってしまって、そのタイミングでまた2回目のパンクだったので、ちょっと今の僕の力ではその後またメイン集団で走ってゴールまで行くっていうのは難しかったですね」と阿部選手は振り返る。

2回目にパンクした場所では増田選手もパンクをしてしまう。リカバリーするも「増田さんはカーペーサーでワーッ行って、俺上りで置いてかれてしまった」と阿部選手。「『もしかしたら2回目遅れたらキツいんで行ってください』ってアベタカに言われて、しばらくゆっくり行ったんだけど、もうアベタカだんだん遅れてきて、『先行ってくだーい!』って言われて」と増田選手もそのときの状況を振り返る。

遅れた阿部選手は、最終的に5人のグルペットで最終周回をやりすごした。「若い子が多くて、タイムアウトの心配とかをしていたので、『大丈夫だ!タイムアウトは大丈夫だ!』と言い聞かせて若いのを落ち着かせながら帰ってきました。何かとキツかった」と阿部選手は話した。

 
遅れた阿部選手がグルペットを率いて最終周回に突入する
遅れた阿部選手がグルペットを率いて最終周回に突入する

逃げが吸収されるも新たなアタックがかかる!

大久保選手たちの逃げが吸収され、カウンターでまたしても逃げが形成される。その中には堀選手も含まれた。前め前めでずっと増田選手と一緒に位置取りをしていた堀選手は「上りは全然速くなかったですね。イラン人がいたから、上りでいくんだろうなと思ってたけど全然遅かったです。それで集団が追いついてしまった」と語った。また、増田選手は堀選手の働きに対して「すごいやりやすかった」と話していた。

 
最終周回で逃げグループに入る堀選手
最終周回で逃げグループに入る堀選手

ブリッツェンの選手全員が攻めたステージとなった

チーム全員の活躍が見られた京都ステージ。清水監督はこう振り返る。「今日は攻めましたね。今日なかなかレース全体的に積極的な感じで、もう少し他のチームと同調できれば良かったんですけど。前半の逃げもできたし、後半の厳しいところでも若い堀が乗ったり、ああいうなかで4人残して、次の展開も考えられたり、ステージ優勝も狙ってったんですけど。今まで第1カテゴリーでここまでこう代わる代わる動かすってのはなかったので、できるんじゃないかなと思ってた手応えは得られたんですけど、結果を求めたら満足はしてないですね。」

京都から次のステージとなる美濃へおよそ200kmの移動を控え、チームは慌ただしく京都を後にした。

 
最終周回で集団中ほどに位置する鈴木譲選手と小野寺選手
最終周回で集団中ほどに位置する鈴木譲選手と小野寺選手
レース後、選手同士で状況を共有する
レース後、選手同士で状況を共有する

2日目の宿泊先は大部屋で修学旅行のような和やかな雰囲気

2日目も夕食後、チームミーティングが行われた。30畳以上ある大きすぎる大部屋で6人の選手たちが布団の上でくつろぎながら思い思いの時間を過ごしていた。夜に行われた美濃レセプションパーティーに監督が出席していたため、ミーティングを待つ間も選手たちの談笑が続く。

レース中、阿部選手がパンクした後、無線で増田選手が阿部選手が遅れたことを伝えるが、たまたま清水監督が運転するチームカーの横を集団最後尾で阿部選手が通過した。増田選手が無線で状況を伝え終わると、阿部選手が今度は状況を説明しようとする。キツそうな阿部選手見ていた清水監督は「もういい、それ以上しゃべるな!」とまるで映画のように無線をとばした。そんな場面を思い出し、みんなで笑う。

ミーティング後には堀選手がカードゲームを持ち出し、小野寺選手、阿部選手らとともにおもむろに遊び始めた。完全に修学旅行である。毎年大部屋だとこんな感じなのか聞くと、「去年トランプはやんなかったな」と阿部選手。それに増田選手が「持ってくるやつが1人しか居ないから!!」とつっこむ。チーム内の雰囲気はとても良いようだ。

次の美濃ステージは山岳ポイント以外全て平坦な流れるコースとなる。過去の例を見ても最後の上りで逃げ切ったことはあるが基本的には集団ゴールが予想される。「また明日に向けてもう1技、2技できるんじゃないかと思ってます」と清水監督は語った。

 
チームミーティングが終わった後の大部屋では堀選手の持ってきた”ゴキブリポーカー”なるカードゲームで遊び始める
チームミーティングが終わった後の大部屋では堀選手の持ってきた”ゴキブリポーカー”なるカードゲームで遊び始める


ツアー・オブ・ジャパン 第2ステージ(5月30日/京都/105km)結果
1位 ダヴィデ・チモライ(ランプレ・メリダ) 2時間49分08
2位 ピエールパオロ・デ ネグリ(NIPPO ・ヴィーニファンティーニ) +0秒
3位 窪木一茂(NIPPO ・ヴィーニファンティーニ) +0秒

8位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +0秒
19位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) +0秒
27位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) +0秒
30位 堀孝明(宇都宮ブリッツェン) +0秒
83位 大久保陣(宇都宮ブリッツェン) +12分24秒
88位 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) +15分26秒


宇都宮ブリッツェン http://www.blitzen.co.jp
ツアー・オブ・ジャパン 2016 http://www.toj.co.jp/2016/

■ツアー・オブ・ジャパン 宇都宮ブリッツェン密着レポート【一覧】http://www.cyclesports.jp/articles/series/2104