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ライトウェイトがディスクブレーキロード用ホイールの新境地を開く!

ロード用ホイールの最高峰に君臨し続けるライトウェイトが、ついにディスクブレーキ対応モデルを登場させた。リムブレーキモデル同様、やはりこのジャンルでも最高峰としてのベンチマークたりえるのか? 製品詳細を見ていこう。
 
text:中島丈博 photo:吉田悠太、山内潤也

意義深い「最高峰」の登場

ライトウェイト・マイレンシュタイン Cディスク
ライトウェイト・マイレンシュタイン Cディスク
「制動力」という、乗り物にとって最重要事項のアドバンテージがある以上、ディスクブレーキロードの普及は時間の問題である。だが、現状でディスクブレーキ対応ホイールのマーケットを見まわしてみると、とがったモデルはまだ見当たらない。フレームにしてもコンポーネントにしてもそうだが、エントリーグレードから最高峰モデルまで出そろってこそ〝マーケット〞ができあがる。つまり、ディスクブレーキロードホイールのマーケットにおいて、ライトウェイトがマイレンシュタイン Cディスクによって最高峰というベンチマークを打ち立てたのは、とても意義深いことなのだ。

製品の各部は、ディスクブレーキに対応するために無駄のない設計となっている。何といっても重要なのはハブ。ディスクブレーキからの制動力を受け止めるために「ペンタゴンハブ」という5角形の胴体を持つ。このカーボンの胴体に納められるのはDTスイス製のアルミハブだ。

ホイールは前後とも20本のスポークを持ち、その両端はハブ〜リムではなく、リム〜リムとなる。このスポークを五角形の辺に沿わせて反対側のリムに渡していく構造だ。金属スポークよりもスポークの伸びが少ないので、加速はもちろん、ディスクブレーキの制動力、高いコントロール性能もタイムラグなく発揮できる。アルミのハブとカーボンの胴体は接着剤で固定されているが、万が一ブレーキング時の発熱で接着が緩んでしまったとしても、五角形であればハブが滑ることもない。

リム断面形状は、現行第4世代のリムブレーキモデルに採用された左右非対称のものを、ディスクブレーキモデルでは前後ともに採用。その理由は、オチョコ量を計算に入れ、ホイールとしての剛性を上げてパワー伝達効率の最適化を図るため、スポークのリムへのエントランス角をスポーク長が最短になるように設計したためだ。スポークに使われる素材を見直すことにより、オチョコ量が非対称であるが、剛性の低下はないとライトウェイトは語る。

ホイールの固定方法やリヤエンド幅に関して、まだ規格の統一が図られていない現状に対応するため、エンド幅は135mmと142mm、そして各種固定方法それぞれに対応するためのアダプターが別売で用意される。
 
ディスクブレーキに対応するために新たにデザインされた「ペンタゴンハブ」。ハブフランジの内側に五角形断面が見てとれる。ハブの径も太い
ディスクブレーキに対応するために新たにデザインされた「ペンタゴンハブ」。ハブフランジの内側に五角形断面が見てとれる。ハブの径も太い
結線処理により、ハブ~結線部~リムと長いスポークを分割する効果があり剛性がアップ。より大きな力に耐えることができる
結線処理により、ハブ~結線部~リムと長いスポークを分割する効果があり剛性がアップ。より大きな力に耐えることができる
固定方法はクイックリリース、スルーアクスル(12㎜、15㎜)のそれぞれに対応。そのためのアダプターが別売で用意される
固定方法はクイックリリース、スルーアクスル(12㎜、15㎜)のそれぞれに対応。そのためのアダプターが別売で用意される
リムの断面形状は前後とも左右非対称。バルブ穴の位置がオフセットして見えるのはそのためだ
リムの断面形状は前後とも左右非対称。バルブ穴の位置がオフセットして見えるのはそのためだ
ライトウェイト・マイレンシュタイン Cディスク
価格/ 66万円(前後セット・税抜)

●実測ホイール重量/F=655g、R730g(シマノフリーボディ仕様) 
●スポーク本数/F=20本、R=20本
●実測スルーアクスル重量/ 124g 
●リム高/ 47.5mm 
●リム幅/ 20mm
●マウントタイプ/センターロック 
●ローターサイズ/F=140mm/160mm、R=140mm/160mm

リムブレーキ仕様とディスクブレーキ仕様を乗り比べ!

インプレはおなじみのサイスポ.jp編集長・中島丈博による
インプレはおなじみのサイスポ.jp編集長・中島丈博による
ライトウェイトのホイールの魅力といえば、軽さと高い剛性がもたらす運動性能だ。それにディスクブレーキを搭載するとどうなるのか。リムブレーキモデルと交互に乗り比べてみた第一印象は、やはりディスクブレーキの方に重さを感じてしまう……。と、ものすごくネガティブに書き出してしまったが、他社のディスクブレーキホイールと比べれば、ものすごく軽快であることは言うまでも無い。

重量増はハブとディスクローターに集中している。運動性能に大きく影響するリム部は軽量なので、平地、下りはとても軽快で楽しいライディングを提供してくれる。特に下りは特筆もので、S字コーナーの切り返しなど、機敏な挙動が求められるシーンでは自在に振り回すことができるのは、なかなか得難い性能といえる。ブレーキングにおいてもそれはまたしかり。同じ速度のものを止めるなら、より軽いものを止めるほうがいい。軽いモノを止めるということもあり、制動力の微調整がやりやすい。

Jベントの金属製スポークと比較すると、ブレーキング時に「ブレーキレバーを引く」→「パッドがローターに当たる」→「ハブからスポークを伝って、リム、タイヤに制動力が伝わる」という力の伝達において、そのギャップが少ないことを実感。構造上そうであることは理解できるていたが、実際に走ってみてもそうであった。Jベントタイプのスポークに対して、カーボンスポークが無駄に伸びないというアドバンテージが鍵であることがわかる。

試乗したのはクイックリリースで固定するタイプだったが、ぜひともスルーアクスルで使ってみたいと思わせるホイールだ。また、カーボンクリンチャー仕様である事も見逃せない。個人的にはディスクブレーキロードが普及していくと、ホイールは「スルーアクスル+フルカーボンクリンチャー」にシフトしていくのではと予測している。クリンチャーリムブレーキホイールのリムが耐えている「制動」、「路面からの衝撃」、「タイヤの空気圧」という3つの力のうち「制動」がディスクブレーキに任せられることでリムとタイヤの設計自由度が上がるからだ。
 
バイクはどちらもタイム・アイゾンに統一
バイクはどちらもタイム・アイゾンに統一
神奈川県宮ヶ瀬湖周辺の山間で試乗を行った
神奈川県宮ヶ瀬湖周辺の山間で試乗を行った

全世界で24台のみの限定生産 「LIGHTWEIGHT URGESTALT GOLD EDITION」

ライトウェイト・ウルゲシュタルト ゴールドエディション
ライトウェイト・ウルゲシュタルト ゴールドエディション
 ホイールにとって最高のフレームを、と開発されたのがウルゲシュタルト。それだけでもスペシャルなのだが、さらにTHMの軽量クランク、セラミックベアリングを採用したマイレンシュタイン オーバーマイヤー シュヴァルツエディションで武装し、細部には24金の装飾を施すという念の入った一台だ。


ライトウェイト・ウルゲシュタルト ゴールドエディション
シマノ・9070デュラエースDi2完成車価格/300万円(税抜)

spec

フレーム●カーボン 
フォーク●カーボン 
メインコンポーネント●シマノ・9070デュラエースDi2 
ホイール●ライトウエイト・マイレンシュタイン オーバーマイヤー シュヴァルツエディション特別モデル
ハンドルバー●ライトウェイト・コンパクトビューゲル 
スプロケット●11-25T、11-28T 
サイズ●48、51、54、56、58、60 
重量●5.8kg

 
プレーンなフレーム形状と相まって、現物を見るとそこまでごてごてした印象はないが、ワンポイント塗装はすべて24金
プレーンなフレーム形状と相まって、現物を見るとそこまでごてごてした印象はないが、ワンポイント塗装はすべて24金

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