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飛行機輪行の新しいカタチ SBCONで初〝しまなみ〟を気軽に満喫!

イベント
日本航空(以下JAL)が発表した自転車受託手荷物専用ボックス「SBCON」(エスビーコン)の試験運用が始まった。サイクリストの聖地〝しまなみ〟を巡るモニターツアーへ、サイクルスポーツ編集長・吉本が参加。飛行機輪行の新しいカタチを体験した。
 
text:本誌・吉本 司 photo:岩崎竜太/本誌・吉本 司
 
写真でよく見る来島海峡第一大橋から見たループ状の自転車歩行者道。走りたかった!
写真でよく見る来島海峡第一大橋から見たループ状の自転車歩行者道。走りたかった!
吉本:僕の愛車よろしくお願いします! 職員:お任せください!
吉本:僕の愛車よろしくお願いします! 職員:お任せください!
SBCONが空港職員の手によって丁寧に飛行機の荷室へと運ばれて行く。
SBCONが空港職員の手によって丁寧に飛行機の荷室へと運ばれて行く。
SBCONの初運用とあって広島空港と松山空港では、地元新聞社を始め多くのメディアが詰めかけた。
SBCONの初運用とあって広島空港と松山空港では、地元新聞社を始め多くのメディアが詰めかけた。
今回のツアーには我々メディアを含めて10人のサイクリストが参加した。
今回のツアーには我々メディアを含めて10人のサイクリストが参加した。

工具なしであっという間にバイクを収納

今や〝サイクリストの聖地〟とも言われるしまなみ海道。常々この道を走りたいと思っていたのだが、日々の仕事に追われ飛行機輪行の煩わしさもあってか未だ実現できておらず、それは自転車専門誌の編集長としてはいただけない。そんなオイラ(吉本)にとって耳寄りなツアーが開催されると聞いて参加することに。JALが新しく発表した飛行機輪行専用ボックス「SBCON」を試験運用するために企画された「しまなみモニターツアー」だ。旅程は羽田空港から広島空港へ飛び、そこから自転車に乗りしまなみ海道で今治を目指して、松山空港から羽田空港へ戻る2泊3日。

羽田空港出発ロビーのJALカウンターで早速SBCONとご対面。簡単な説明を受けた後、バイクの収納作業にとりかかる。箱は一見するだけでバイクやホイールの収納場所が分かる直感的な仕様。日本人の標準的な体型のサイクリストなら前輪を外すだけで工具要らず、バイクをSBCONへと収納できる。
ちなみにオイラの場合サドル位置が高い(788mm)のでシートポストを抜く必要があった。それでもSBCONの空箱を開けてバイクとライド用品(ウエア類やヘルメット、シューズ)を収納した後、箱を閉じてチェックインカウンターへ運ぶまでの作業時間は10分ほど。

また、バイクの傷を防ぐ十分な衝撃材、衝撃が加わりにくい構造など、愛車を守るための構造も良く考え抜かれている。この収納含めた一連の作業の容易さと愛車を安全に運んでくれる安心感は、オイラのように輪行作業を面倒だと思うサイクリストにはまさに天国。初心者や女性には、間違いなくこの上なく便利なボックスと言える。

なので広島空港に着いてもバイクを簡単に組み立てできて、すぐに走り出せるからストレスもない。しかも今回はツアー自体がSBCONを広島空港から松山空港まで運搬し、自転車以外の手荷物も運んでくれるサービスが付帯するので、余分な荷物を持たず、まるでロードバイクでトレーニングに出るかのごとくの軽装な出で立ちでしまなみ海道を快走できた。

SBCONには空港へのアクセスやその施設内で自転車をどうやって移動させるかなど、クリアすべき仮題も少なくはない。しかし簡単な収納作業とバイクを安心して運べる仕組みは、飛行機輪行に慣れないサイクリストに翼を与え、ツーリングの楽しみを大いに広げてくれる存在となるだろう。

今後は9月28〜30日にかけて北海道を舞台にしたSBCONモニターツアーの第2弾を開催。こうしたツアーを繰り返しながら利便性をブラッシュアップして正式な運用を目指すという。SBCONのこれからに期待したい。
 

SBCONはココがすごい! 前輪を外すだけの簡単収納

これがSBCONの全景。箱のサイズは縦170×横52×高さ94cm。サドル高さ730mmまでならシートポストを抜かずに収納できる。
これがSBCONの全景。箱のサイズは縦170×横52×高さ94cm。サドル高さ730mmまでならシートポストを抜かずに収納できる。
箱の内部を見れば手ほどきを受けずとも、おおよそ自転車と車輪の収納の仕方が分かる。前輪を箱の側面に差し込み、後輪を付けたままのバイクを中央部に置く。
箱の内部を見れば手ほどきを受けずとも、おおよそ自転車と車輪の収納の仕方が分かる。前輪を箱の側面に差し込み、後輪を付けたままのバイクを中央部に置く。
筆者はサドル高さが設計値以上なのでシートポストを抜いたものの、ハンドルは曲げる必要もないので、SBCONにバイクを収納するだけなら5分もあればいい。想像を絶する簡単さだ。
筆者はサドル高さが設計値以上なのでシートポストを抜いたものの、ハンドルは曲げる必要もないので、SBCONにバイクを収納するだけなら5分もあればいい。想像を絶する簡単さだ。
バイクは左右のペダルを軸にして支えられる。フロントエンドが宙に浮く構造になっていて、エンド部やヘッドパーツへ衝撃が加わらないのでバイクに優しい。各部には厚手のウレタン素材がしっかり貼られている。
バイクは左右のペダルを軸にして支えられる。フロントエンドが宙に浮く構造になっていて、エンド部やヘッドパーツへ衝撃が加わらないのでバイクに優しい。各部には厚手のウレタン素材がしっかり貼られている。
内部はヘルメットやシューズ、着替えなどが入るスペースがあるので、バイクキット全てをSBCONに収納できるのもうれしい。収納場所を示すアイコンがあるので分かりやすい。
内部はヘルメットやシューズ、着替えなどが入るスペースがあるので、バイクキット全てをSBCONに収納できるのもうれしい。収納場所を示すアイコンがあるので分かりやすい。

最大のネックは空港までのアクセス

羽田空港では出発ロビーのJALチェックインカウンター前がSBCONの収納場所となった。空港までのアクセスは公共交通機関、クルマ、自走となるが、羽田の場合は空港施設内への自転車の乗り入れはできないため、輪行で空港へアクセスすることになる(自転車の乗り入れ可否は空港によって異なる)。

原則、空港館内は自転車を裸で持ち運ぶことができないので輪行袋などに入れて移動する。空港まで輪行袋に自転車を詰めて持ち運びカウンターでそれを開梱してSBCONに収納するのは、やはり二度手間となる。直接自転車で空港にアクセスできて、館内を裸の状態で自転車を移動できるのが理想だろう。今後の改善が望まれる。
 

初〝しまなみ〟を手ぶらで満喫!

宿泊は尾道ではサイクリストホテルの「オノミチU2」。今治では「今治国際ホテル」という豪華な内容。念願ホテルに泊まれました!
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多々羅大橋のそばにあるサイクリストの聖地の碑も訪問
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松山空港に着く前には道後温泉本館でひと風呂浴びてきた。
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しまなみ海道の6つの橋を渡り“海道を行く”気分を満喫!
しまなみ海道の6つの橋を渡り“海道を行く”気分を満喫!

初しまなみ夫婦で楽しみました!

SBCONについて調べる最中で今回のツアーを知り参加した本間広人、恵子ご夫妻。「羽田空港まで直接自転車でアクセスできれば理想ですけど」とSBCONの課題を語るものの、その収納の利便性には納得。尾道と今治のジャイアントストアで購入した絵柄違いのしまなみジャージでペアルックを決めて走行。初めてのしまなみ海道を満喫した。
 

ホテル間の荷物は運送便を利用 軽装で思い切り走りを楽しめる

空港とホテル、ホテル間の手荷物の移動は運送会社が行うサービスが付帯された。なのでライディング時の装備はこの通り。家からいつものライドに出るくらいの軽装なので、アクティブにしまなみ街道を楽しめる。これはありがたいサービスだ。

 
ホテル間の荷物は運送便を利用 軽装で走りを思い切り楽しめる。
ホテル間の荷物は運送便を利用 軽装で走りを思い切り楽しめる。
家からいつものライドに出るくらいの軽装なので、アクティブにしまなみ街道を楽しめる。
家からいつものライドに出るくらいの軽装なので、アクティブにしまなみ街道を楽しめる。

申込み終了まであとわずか! SBCONの北海道モニターツアー

2018年9月28〜30日にかけて2泊3日のSBCONモニターツアーの第2弾が開催される。

旅程は羽田空港発の2種類。1つは釧路空港着〜帯広空港発、もう1つはそのリバースルート。共に阿寒湖、中札内に宿泊する走行距離は222kmを予定する走り甲斐のあるルートだ。 

ツアー詳細:〈釧路着・帯広発〉
ツアー詳細:〈帯広着・釧路発〉

2018年9月21日、15時まで電話にて受付中。
問・日本旅行東京予約センター 0570・200・001