ニュース

2018UCIロード世界選手権で38歳のバルベルデが悲願の初優勝

レース
(photo : Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto)
(photo : Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto)
 
オーストリアのインスブルック・チロルで開催されていたUCIロード世界選手権2018は、最終日の9月30日に男子エリートのロードレース(258km)を競い、38歳のアレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム)が4選手でのゴールスプリントを制し、悲願の初優勝を果たした。

2位はフランスのロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル)、3位にはカナダのマイケル・ウッズ(チームEFエデュケーションファースト・ドラパック・P/Bキャノンデール)が入った。

スペインがロード世界選で優勝したのは2004年のオスカル・フレイレ以来、14年ぶりだった。フランスの選手が表彰台に上がったのも、1999年にジャンシリル・ロバンが3位になって以来で、カナダは1984年にスティーブ・バウアーが初めて3位で表彰台に上がって以来の快挙だった。

ロード世界選の最年長優勝者は38歳272日のヨープ・ズートメルク(オランダ)で、38歳158日のバルベルデはわずかに及ばなかったが、歴代2位になった。

ディフェンディングチャンピオンで、前人未到の4勝目が期待されていたスロバキアのペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)は、ゴールまで残り93kmで集団から脱落し、そのままリタイアした。日本から唯一参加していた中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)も、残念ながら完走できなかった。男子エリートのロードレースは出走188選手中、完走は76選手だった。
 
 
(photo : Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto)
(photo : Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto)

好天に恵まれた男子エリートのロードレースは全長258kmで、スタート地のクーフシュタインから84.2km走った後、一周23.8kmのローカルラップを6周し、最終周回は激坂を1つ追加して31km走るという、特殊なコースになっていた。

44カ国から集った188選手がクーフシュタインをスタートし、序盤は11人の選手が逃げ集団を形成。ローカルラップに入る前に、メイン集団とのタイム差は最大で19分になった。ここでメイン集団は仕事を開始し、タイム差は縮まっていった。

メイン集団では、パンクに見舞われたフランスのワレン・バルギル(チームフォルチュネオ・サムシック)が、集団に戻った直後に落車するアクシデントが発生。フランスはジュリアン・アラフィリップ(クイックステップフロアーズ)が優勝の最有力候補に上げられていたが、残り100kmを残して1人少なくなってしまった。ゴールまで残り65kmでスロベニアのプリモシュ・ログリッチェ(チームロットNL・ユンボ)も落車に見舞われた。

メイン集団の先頭では、アタックがスタート。残り55kmでベルギーのグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(BMCレーシングチーム)が仕掛け、イタリアのダミアーノ・カルーゾ(BMCレーシングチーム)とスペインのオマール・フライレ(アスタナプロチーム)が付いて行った。

3人はメイン集団に30秒ほどの差を付けたが、6周目の登坂で吸収されてしまった。ここで集団からは、アイルランドのダニエル・マーティン(UAEチーム・エミレーツ)やポーランドのミハウ・クフィアトコフスキー(チームスカイ)が遅れてしまった。

メイン集団の先頭はアタックが続き、イタリアのジャンルーカ・ブランビッラ(トレック・セガフレート)、オランダのアントワン・トルーク(チームロットNL・ユンボ)、スペインのダビ・デラクルス(チームスカイ)が先行したが、山頂の手前で後続に追いつかれた。

先頭の逃げはデンマークのカスパー・アスグレーン(クイックステップフロアーズ)とベガードスターケ・ラーンゲン(UAEチーム・エミレーツ)だけになり、31kmの最終周回に突入。70人ほどに絞られたメイン集団とのタイム差は2分18秒に縮まっていた。

最初の登坂でイタリアナショナルチームが6人で先頭を引き、集団はさらに小さくなっていった。ゴールまで残り23.5kmで、イタリアはヴィンチェンツォ・ニバリ(バーレーン・メリダ)が遅れ始め、ジャンニ・モスコン(チームスカイ)がリーダーになった。

ゴールまで残り22.8kmで、最後まで逃げていたアスグレーンとラーンゲンが吸収されたとき、集団は30〜40人程度になっていた。そこから最初にアタックしたのは英国のピーター・ケンヤック(ボーラ・ハンスグローエ)だったが、すぐにデンマークのミケル・ヴァルグレンアナスン(アスタナプロチーム)に追い越されてしまった。

山頂を先頭で通過したヴァルグレンアナスンは、下りでメイン集団に30秒のタイム差を付けて独走を続け、残り10kmで3.2km続くホッティンゲル・ホルの激坂に到着した。しかし、彼はここで力尽き、集団から追い上げてきたバルデ、モスコン、ウッズ、バルベルデの4人に追い抜かれてしまった。

先頭の4人からモスコンが脱落し、3人が先頭で頂上を通過。この時点で、ゴール勝負になればバルベルデが有利なのは誰の目にも明らかだった。残り1.6kmでオランダのトム・ドゥムラン(チームサンウェブ)が合流したが、彼もバルベルデの敵ではなかった。

最後は先頭で残り1kmのフラムルージュを通過したバルベルデが難なくスプリントを制した。彼は2003年に2位になって以来、2位に2回、3位に4回なっていて、悲願の初世界タイトルを手中に収め、歓喜に涙していた。


■38歳で世界選初優勝を成し遂げたバルベルデのコメント
「信じられない。何年も戦って、ついに勝ち取った。スペインナショナルチームはレースの全ての瞬間に気を配っていた。私はフィニッシュラインまでの距離をコントロールした。とても長いスプリントだった。私は責任を持ち、自分のスプリントを350mから始めた。それは私にとって完璧だった。

これはナショナル選抜の勝利であり、私を好きでいてくれて、サポートしてくれた全ての人々の勝利だ。信じられなくて、言葉が出ない。何度もあと一歩まで行った。いくつかのメダルは持っているが、ずっと金はないままだった。大きな感動に包まれている」

 
 
(photo : Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto)
(photo : Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto)


■男子エリート ロードレース結果[9月30日/258km]
1. VALVERDE Alejandro (ESP) 6:46:41 (38.064km/h)
2. BARDET Romain (FRA)
3. WOODS Michael (CAN)
4. DUMOULIN Tom (NED)
5. MOSCON Gianni (ITA) +13
6. KREUZIGER Roman (CZE) +43
7. VALGREN ANDERSEN Michael (DEN) +43
8. ALAPHILIPPE Julian (FRA) +43
9. PINOT Thibaut (FRA) +43
10. COSTA Rui (POR) +43
DNF NAKANE Hideto (JPN)
DNF SAGAN Peter (SVK)

インスブルック・チロル世界選手権公式サイト

 
(photo : Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto)
(photo : Innsbruck-Tirol 2018 / BettiniPhoto)

男子エリート ロードレースのハイライト映像