【Tour速報】ボージュ山岳2日目でマルティンが逃げ切り優勝/革命記念日前日にガロパンがマイヨ・ジョーヌ獲得!
第101回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月13日にジェラールメールからミュールーズまでの170kmで第9ステージを競い、ドイツのTTスペシャリスト、トニー・マルティン(オメガファルマ・クイックステップ)が序盤から逃げ切って区間優勝した。
メイン集団は8分近く遅れてゴール。追走集団に加わっていた地元フランスのトニ・ガロパン(ロット・ベリソル)が、イタリアのビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)に1分34秒差を付けて総合首位になり、翌日のフランス革命記念日にマイヨ・ジョーヌを着ることになった。
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第9ステージは184選手がジェラールメールをスタート。2km地点でマイヨ・ベールのペーテル・サガン(キャノンデール)がアタックする場面があったが、成功しなかった。
スタートしてすぐに始まったカテゴリー2のシュルフト峠で23人が先行し、11.5kmの山頂をトーマ・ボークレール(ヨーロッパカー)が先頭で通過したが、集団とのタイム差は20秒しかなく、13km地点で全員吸収された。しかし、スプリンターたちはこの上りですでに集団から脱落した。
最初の逃げ集団に加わっていたイタリアのアレッサンドロ・デマルキ(キャノンデール)が、16km地点の下りでもう一度アタックし、これにマルティンが乗った。2人は20km地点でメイン集団に25秒差を付けていた。
同じく最初の逃げに入り、アグレッシブな走りをしていたスペインのホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)が集団から追撃に出たのをきっかけに、28人の追走集団が形成された。
この追走集団でもっとも総合成績がよかったのが、フランスのガロパンだった。彼は頂上ゴールだったボージュ山岳初日にマイヨ・ジョーヌ集団から脱落したが、3分27秒遅れの総合11位だった。前を逃げていたマルティンは、すでに総合で18分半遅れていた。
集団はマイヨ・ジョーヌのニーバリを擁したアスタナがコントロールしていたが、手助けをしたのは先行する逃げに選手を送り込めなかったチームスカイとガーミン・シャープだけだった。ゴールまで残り90km地点で、マルティンとデマルキは追走集団に1分25秒、マイヨ・ジョーヌ集団に4分23秒差を付けていた。
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残り84km地点のギベールシュウィール峠(カテゴリー2)を越えたあと、追走集団とマイヨ・ジョーヌ集団のタイム差が4分になり、ガロパンがバーチャル・リーダーになった。
カテゴリー1でこの日最難関のル・マルクシュタイン峠が始まったとき、先頭ではマルティンがアタックし、デマルキを置き去りにした。ゴールまで残り56.5kmで、独走をつづけるマルティンとデマルキき30秒差、追走集団は2分12秒差、マイヨ・ジョーヌ集団は6分27秒差だった。
ル・マルクシュタイン峠では、アスタナの追走を阻むかのように雨が降り出した。残り50kmの山頂をマルティンが単独で通過したときには、マイヨ・ジョーヌ集団はすでに8分以上遅れていた。
マルティンはこの日最後の峠だった、カテゴリー3のグラン・バロン峠で獲得した2ポイントで、ブレル・カドリ(AG2R)を抜いて山岳賞トップに立った。彼はこの日の敢闘賞も獲得し、翌日は赤ゼッケンを付けたマイヨ・アポワを着ることになった。
グラン・バロン峠でデマルキは追走集団に捕まった。最後の峠の頂上で、マルティンと追走集団のタイム差は2分半以上あり、マルティンの逃げ切りが濃厚になった。
マイヨ・ジョーヌ集団では、総合上位を目指しているロマン・バルデ(AG2R)が残り32kmでパンクに見舞われて遅れたが、チームメートのアシストで集団に追いつくことができた。
追走集団では、残り25kmの下りでガロパンがアタックし、マイヨ・ジョーヌ集団とのタイム差をすこしでも広げようとする場面があったが、残り10kmで追走集団に吸収された。
マルティンは結局、ガロパンがいる追走集団に2分45秒差を付けて独走でゴールし、ツールで3度目の区間優勝を果たした。しかし、2011年と昨年の区間優勝は得意の個人タイムトライアル区間で、通常ステージで勝ったのは今回が初めてだった。
マイヨ・ジョーヌのニーバリと総合優勝候補が揃っていたメイン集団は7分46秒遅れでゴール。追走集団に加わったティアゴ・マシャド(ネットアップ・エンデューラ)、ピエール・ロラン(ヨーロッパカー)が、ボージュ山岳2日目で総合争いにも加わった。
ニーバリは結局ガロパンより5分以上遅れたため、ここでマイヨ・ジョーヌを手放した。地元フランス勢がマイヨ・ジョーヌを着るのは、2011年のボークレール以来だ。ボークレールはその年、10日間マイヨ・ジョーヌを着用し、革命記念日も祝った。
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■区間優勝したマルティンのコメント「この方法で勝つのは、TTより良くはないが、特別だ。ツールではすでにこれを試していたが、(2009年の)モンバントゥで2位になっただけだった」
「TTで勝つことと、今日みたいに普通のステージで勝つことのちがいは、今日はより楽しむ時間があったということだ。3分リードしていて、レースはボクの手中にあるとわかっていた。すごい気分だったよ。TTでは、大抵長い間勝つのか負けるのかを知るために待たなければならない」
「ツール主催者は今年、TTをたった1回しか予定に入れてくれなかった。だからボクは自分で2つ目を作ったのさ!」
■マイヨ・ジョーヌを初めて獲得した26歳のガロパンのコメント「石畳ステージからマイヨ・ジョーヌを獲ることは考えていたけれど、言葉では表せない気分だ。子供の頃は、参加したすべてのレースで脱落していたから、マイヨ・ジョーヌを着るなんて夢は持てなかった。今日はチャンスがあるとおもっていたから、逃げは逃したくなかった。だからすべてのアタックに飛び込んで行ったのさ」
通常ツールは2週目の月曜日に休養日を設定するが、今年はフランス革命記念日と重なったため、休養日は1日遅くなった。
7月14日はボージュ山岳区間最終日となり、ミュールーズをスタートしてカテゴリー1のラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ山頂までの161.5kmで、第10ステージが行われる。
革命記念日を祝うのにふさわしい、厳しい山岳ステージだ。ゴールのラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユは、2012年のツールでクリストファー・フルーム(チームスカイ)が区間優勝した闘いが記憶に新しい。(MAP:ASO)
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■第9ステージ結果[7月13日/ジェラールメール~ミュールーズ▲▲/170km]
1 トニー・マルティン(オメガファルマ・クイックステップ/ドイツ)4時間09分34秒
2 ファビアン・カンチェッラーラ(トレック/スイス)+2分45秒
3 グレッグ・バンアーベルマート(BMC/ベルギー)+2分45秒
4 トム・ドゥムラン(ジャイアント・シマノ/オランダ)+2分45秒
5 マッテーオ・モンタグティ(AG2R/イタリア)+2分45秒
6 ホセホアキン・ロハス(モビスター/スペイン)+2分45秒
7 スティーブン・クルイスウエイク(ベルキン/オランダ)+2分45秒
8 ミカエル・シェレル(AG2R/フランス)+2分45秒
9 ブリス・フェイユー(ブルターニュ・セシェ/フランス)+2分45秒
10 ティアゴ・マシャド(ネットアップ・エンデューラ/ポルトガル)+2分45秒
16 トニ・ガロパン(ロット・ベリソル/フランス)+2分45秒
17 ピエール・ロラン(ヨーロッパカー/フランス)+2分45秒
25 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+7分46秒
26 アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ/スペイン)+7分46秒
31 リッチー・ポート(スカイ/オーストラリア)+7分46秒
33 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+7分46秒
34 バウケ・モレマ(ベルキン/オランダ)+7分46秒
35 ユルフン・バンデンブルック(ロット・ベリソル/ベルギー)+7分46秒
36 アンドリュー・タランスキー(ガーミン・シャープ/米国)+7分46秒
45 ティージェイ・バンガルデレン(BMC/米国)+7分46秒
98 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+7分46秒
■第9ステージまでの総合成績
1 トニ・ガロパン(ロット・ベリソル/フランス)38時間04分38秒
2 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+1分34秒
3 ティアゴ・マシャド(ネットアップ・エンデューラ/ポルトガル)+2分40秒
4 ヤコブ・フグルサン(アスタナ/デンマーク)+3分18秒
5 リッチー・ポート(スカイ/オーストラリア)+3分32秒
6 ミハウ・クウィアトコウスキー(オメガファルマ・クイックステップ/ポーランド)+4分00秒
7 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+4分01秒
8 ピエール・ロラン(ヨーロッパカー/フランス)+4分07秒
9 アルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ/スペイン)+4分08秒
10 ロマン・バルデ(AG2R/フランス)+4分13秒
12 バウケ・モレマ(ベルキン/オランダ)+4分36秒
13 ユルフン・バンデンブルック(ロット・ベリソル/ベルギー)+4分36秒
16 ティージェイ・バンガルデレン(BMC/米国)+5分08秒
19 アンドリュー・タランスキー(ガーミン・シャープ/米国)+5分56秒
111 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+55分18秒
[各賞]
■マイヨ・ベール:ペーテル・サガン(キャノンデール/スロバキア)
■マイヨ・アポワ:トニー・マルティン(オメガファルマ・クイックステップ/ドイツ)
■マイヨ・ブラン:ミハウ・クウィアトコウスキー(オメガファルマ・クイックステップ/ポーランド)
■チーム成績 :アスタナ(カザフスタン)
■今日の敢闘賞 :トニー・マルティン(オメガファルマ・クイックステップ/ドイツ)