【Tour速報】休養日明けの第11ステージで地元フランスのガロパンがツール区間初優勝
第101回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月16日にブザンソンからオヨナまでの187.5kmで第11ステージを競い、終盤にアタックしたトニ・ガロパン(ロット・ベリソル)が逃げ切ってツール初区間優勝を果たした。
マイヨ・ジョーヌはイタリアチャンピオンのビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)が守った。
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ツール・ド・フランスにやっと真夏の太陽が戻ってきた。第11ステージは、スタートの気温が30度C近くにまで上がり、チームカーからの補給を28km地点から受けられる特別措置が取られた。
逃げを得意とする選手にとっては格好のステージだったため、スタートからアタックが続いたが、なかなか抜け出せる選手はいなかった。28km地点でスイスチャンピオンのマルティン・エルミーゲル(IAM)がついに逃げ出して先行した。
すぐに地元フランスのシリル・ルモワン(コフィディス)とアントニー・ドラプラス(ブルターニュ・セシェ)が追走して合流し、先頭は3人になった。
46km地点で逃げとのタイム差が7分近くにまで広がると、マイヨ・ベールのペーテル・サガンを擁したキャノンデールとオリカ・グリーンエッジが集団を引き出したため、タイム差はそれ以上にはならなかった。最初の1時間の平均時速は47.5km/hになっていた。
89km地点の中間スプリントポイントはルモワンが先頭で通過した。集団は3分50秒後に、ドイツチャンピオンのアンドレ・グライペル(ロット・ベリソル)が先頭で通過。サガンは11位通過と冴えなかった。
ゴールまで80kmを残して、集団からは米国のアンドリュー・タランスキー(ガーミン・シャープ)が脱落。最初の1週間で2度落車していたタランスキーは、朝から背中の痛みを訴えていた。チームメートは誰も付き添わず、彼はたった1人でゴールを目指した。
後半に入って丘越えが始まると、先頭から2人のフランス人が脱落し、エルミーゲル1人になってしまった。集団からはヤン・バークランツ(オメガファルマ・クイックステップ)とニコラス・ローチ(ティンコフ・サクソ)がアタックして追撃を開始した。
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ゴールまで残り43kmで、先頭のエルミーゲルと2人の追走者のタイム差は30秒、集団は1分後方だった。この日2つ目のコート・ド・シュー(カテゴリー3)を越えたあと、バークランツとローチはエルミーゲルをとらえ、先頭は3人になったが、集団は35秒差に迫っていた。
さらに集団からシリル・ゴチエ(ヨーロッパカー)とヘスス・エラダ(モビスター)が合流し、残り36km地点で先頭は5人になった。しかし、この日最後のコート・ド・エシャロン(カテゴリー3)が始まると、エルミーゲルは脱落してしまった。
コート・ド・エシャロンで先頭からはローチがアタックし、独走で頂上を通過した。しかし、集団はキャノンデールが追い上げ、ゴールまで残り16kmで、最後まで逃げ続けていたローチをとらえた。
コート・ド・エシャロンを越えたあと、残り13.5kmで集団の先頭からアタックしたのが地元フランスのガロパンだった。彼は第9ステージで総合首位になり、翌日の革命記念日はマイヨ・ジョーヌを着て走る栄誉を得たが、たった1日でそれを失っていた。
ガロパンは残り4.5kmでサガン、ミハウ・クウィアトコウスキー(オメガファルマ・クイックステップ)、マイケル・ロジャース(ティンコフ・サクソ)という強豪3人に追いつかれ、万事窮したかに見えた。
しかし彼は残り2.5kmでもう一度アタック。後続では牽制が始まっていたため、ガロパンはまんまと逃げ切り、わずかの差を守ってグランツールで初めての区間優勝を果たした。
■区間優勝したガロパンのコメント「今日の終盤のアタックは計画していなかった。ボクはカテゴリーが付けられていないけれど、走ったことがあって知っていた小さな丘で運試しをした。3人に追いつかれた時、スプリントになれば勝ち目がないのはわかっていた。だからもう一度行かなければならなかった」
「区間優勝は、マイヨ・ジョーヌを着たのとは違う感覚だった。マイヨ・ジョーヌは獲得する前に5回は考え、心の準備ができていた。でも今日は、残り100メートルまで勝てるとは思えなかった。だから感動はマイヨ・ジョーヌよりもずっと強かったんだ」
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地元フランスの区間2勝目よりもこの日注目されたのはタランスキーだった。彼は一度は自転車を降り、チームスタッフたちと話し合いをした後、再び自転車に乗ってゴールを目指した。彼はなんとか制限時間内にゴールしたが、憔悴しきっていた。
「(ここまでの)落車のせいで苦しんでいる。背中が痛いんだ。でも、チームメートのためにゴールしたかった」と、彼はフランス2のインタビューに答えていた。
7月17日はブール・アン・ブレスからサンテチェンヌまでの185.5kmで、カテゴリー3と4の丘越えがつづく第12ステージが行われる。
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■第11ステージ結果[7月16日/ブザンソン~オヨナ▲▲/187.5km]
1 トニ・ガロパン(ロット・ベリソル/フランス)4時間25分45秒
2 ジョン・デゲンコルプ(ジャイアント・シマノ/ドイツ)
3 マッテーオ・トレンティン(オメガファルマ・クイックステップ/イタリア)
4 ダニエーレ・ベンナーティ(ティンコフ・サクソ/イタリア)
5 サイモン・ゲランズ(オリカ・グリーンエッジ/オーストラリア)
6 ホセホアキン・ロハス(モビスター/スペイン)
7 グレッグ・バンアーベルマート(BMC/ベルギー)
8 サミュエル・デュムラン(AG2R/フランス)
9 ペーテル・サガン(キャノンデール/スロバキア)
10 ケビン・レザ(ヨーロッパカー/フランス)
133 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+18分25秒
179 アンドリュー・タランスキー(ガーミン・シャープ/米国)+32分05秒
■第11ステージまでの総合成績
1 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)46時間59分23秒
2 リッチー・ポート(スカイ/オーストラリア)+2分23秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+2分47秒
4 ロマン・バルデ(AG2R/フランス)+3分01秒
5 トニ・ガロパン(ロット・ベリソル/フランス)+3分12秒
6 ティボー・ピノ(FDJ.fr/フランス)+3分47秒
7 ティージェイ・バンガルデレン(BMC/米国)+3分56秒
8 ジャンクリストフ・ペロー(AG2R/フランス)+3分57秒
9 バウケ・モレマ(ベルキン/オランダ)+4分08秒
10 ユルフン・バンデンブルック(ロット・ベリソル/ベルギー)+4分18秒
14 ルイ・コスタ(ランプレ・メリダ/ポルトガル)+5分34秒
44 アンドリュー・タランスキー(ガーミン・シャープ/米国)+47分09秒
110 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+1時間28分16秒
[各賞]
■マイヨ・ベール:ペーテル・サガン(キャノンデール/スロバキア)
■マイヨ・アポワ:ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)
■マイヨ・ブラン:ロマン・バルデ(AG2R/フランス)
■チーム成績 :AG2R・ラモンディアル(フランス)
■今日の敢闘賞 :ニコラス・ローチ(ティンコフ・サクソ/アイルランド)