【ツール速報】アルプス最終日にキンタナが区間優勝して総合2位!/コンタドールは表彰台から陥落
第100回ツール・ド・フランスは、7月20日にアヌシーからアヌシー・セムノまでの125kmでアルプス山岳最終日となる第20ステージを競い、カテゴリー超級の頂上ゴールでコロンビアのナイロ・キンタナ(モビスターチーム)が区間初優勝し、総合3位から2位に浮上。区間2位はスペインのホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)が入り、念願の総合3位になった。区間3位にはマイヨ・ジョーヌのクリストファー・フルーム(スカイ)が入った。前日まで総合2位だったアルベルト・コンタドール(チームサクソ・ティンコフ)は2分28秒遅れでゴール。総合成績は4位に後退し、パリの表彰台を逃してしまった。
*
第20ステージは快晴のもと、170選手が出走。オフィシャルスタートとともにマイヨ・アポワのピエール・ロラン(ヨーロッパカー)がアタックし、イェンス・フォイクト(レディオシャック・レオパード)らが合流して10人の逃げグループになった。ロランは前日のステージで、フルームにたった1ポイント差で山岳賞総合首位を逃していたため、最後のチャンスであるアルプス最終日に、ふたたび山岳ポイントを稼ぎにいったのだ。しかし、中盤に設定されていたカテゴリー1のルバール峠の登坂が始まると、ロランは41歳のフォイクトの走りについて行けなかった。フォイクトはルバール峠山頂を単独で通過し、モビスターチームがコントロールするメイン集団とのタイム差は3分40秒差だった。
しかし、アルプス最終日のゴールは平均勾配8.5%でカテゴリー超級のセムノ峠山頂ゴールだった。10.7kmつづく最後の登坂が始まった時、先頭を逃げるフォイクトとメイン集団のタイム差はたった1分50秒だった。アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム)を先頭に峠を上がってきたメイン集団は、残り8.5kmでフォイクトを吸収した。その直後に、集団から最初に仕掛けたのはロドリゲスだったが、マイヨ・ブランのキンタナがぴたりとついていた。つづいてマイヨ・ジョーヌのフルームがアタックして先行。ロドリゲスとキンタナが合流して3人で先頭に立ったが、コンタドールは後方に留まったままだった。
スタート前に「区間優勝と表彰台のどちらかを選ばなければならないのなら、ボクは表彰台を選ぶ」と、語っていたロドリゲスは、迷うことなく先頭を走り続け、後方のコンタドールとのタイム差を広げることだけを考えていた。前日までの総合成績で5位だったロドリゲスは、総合2位のコンタドールとはたった47秒差だったのだ。後方では、セムノ峠の序盤に脱落していたロマン・クロイツィーゲル(チームサクソ・ティンコフ)がコンタドールに追いついてアシストを努めたが、ロドリゲスとのタイム差はじわじわと広がっていった。ゴールまで残り2km地点で、先頭の3人とコンタドールのグループの差は、すでに1分45秒になっていた。
*
先頭では、最後尾を走り続けていたフルームがフラム・ルージュ目前でアタックしたが、その走りにはピレネーやモン・バントゥで見せたような力強さがなかった。キンタナはすぐにフルームを捕らえると、そのまま逆襲に出た。最後の坂で7km先頭を引き続けたロドリゲスは、そのアタックには応えることができなかった。マイヨ・ブランを着たキンタナはロドリゲスに18秒差を付けてゴールに飛び込み、2007年のマウリシオ・ソレル以来の区間優勝を故郷コロンビアにもたらした。奇しくもこの日は、コロンビアは独立記念日の祝日だった。そしてこの勝利は、キンタナに山岳賞のマイヨ・アポワももたらしたのだ。序盤にカテゴリーの低い峠でポイントを稼ぎ続けたロランの苦労は水の泡と消えてしまった。
「信じられないよ。すごくうれしいし、今日だけでなく、ツールでずっと働いてくれたチームメートたちに感謝しなければならない。とくにホセルイス・アリエタ監督だ。彼はいつでも正しい選択をしてくれた。今日ボクたちはレースをうまくコントロールして、皆が何をするべきか知っていて、そしてそれを完璧にこなしたんだ。すごいよ。期待していた以上だ」と、今年のツールで多くの成功を手に入れたキンタナは喜びを語っている。そして最終的に総合でライバルたちに5分以上の大差を付けてパリへと凱旋することが決まったフルームは「今日は残り2kmで、これをやり遂げたんだという圧倒的な感覚があった。すごく感動的な感覚で、自分が成し遂げたことをすごく実感したんだ」と、アルプス最終日を振り返っている。
いよいよツールは21日にパリへと到着する。最終日の第21ステージは、ベルサイユからパリ・シャンゼリゼまでの133.5kmで行われるが、スタートは現地時間の夕方5時45分だ。100回記念大会はシャンゼリゼ大通りのナイトレースでフィナーレを迎える。(Map:ASO)
*
■第20ステージ結果[7月20日/アヌシー~アヌシー・セムノ/125km]
1 ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)3時間39分04秒
2 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+18秒
3 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)+29秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム/スペイン)+1分42秒
5 リッチー・ポート(スカイ/オーストラリア)+2分17秒
6 アンドリュー・タランスキー(ガーミン・シャープ/米国)+2分27秒
7 アルベルト・コンタドール(チームサクソ・ティンコフ/スペイン)+2分28秒
8 ジョン・ガドレ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+2分48秒
9 ヘスス・エルナンデス(チームサクソ・ティンコフ/スペイン)+2分55秒
10 ロマン・クロイツィーゲル(チームサクソ・ティンコフ/チェコ)+2分55秒
91 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+18分26秒
■第20ステージまでの総合成績
1 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)80時間49分33秒
2 ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)+5分03秒
3 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+5分47秒
4 アルベルト・コンタドール(チームサクソ・ティンコフ/スペイン)+7分10秒
5 ロマン・クロイツィーゲル(チームサクソ・ティンコフ/チェコ)+8分10秒
6 バウケ・モレマ(ベルキン/オランダ)+12分25秒
7 ヤコブ・フグルサング(アスタナ/デンマーク)+13分00秒
8 アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム/スペイン)+16分09秒
9 ダニエル・ナバロ(コフィディス/スペイン)+16分35秒
10 アンドリュー・タランスキー(ガーミン・シャープ/米国)+18分22秒
99 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+2時間55分36秒
[各賞]
■ポイント賞:ペーテル・サガン(キャノンデール/スロバキア)
■山岳賞:ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)
■新人賞:ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)
■チーム成績:チームサクソ・ティンコフ(デンマーク)