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【ツール速報】ラルプ・デュエズ区間で地元フランスのリブロンが優勝!

レース


第100回ツール・ド・フランスは、7月18日にガップからラルプ・デュエズまでの172.5kmで第18ステージを競い、地元フランスのクリストフ・リブロン(AG2R・ラモンディアル)が逃げ切って優勝し、100回記念大会で最大のステージでフランスに今年初の区間優勝をもたらした。2位は米国のティージェイ・バンガルデレン(BMC)、3位はイタリアのモレノ・モゼール(キャノンデール)だった。マイヨ・ジョーヌは英国のクリストファー・フルーム(スカイ)が守った。

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第18ステージは177選手がスタート。天候の悪化が心配されていたが、この日は小雨が降る程度だった。17km地点でメイン集団から逃げ出した9人が先行。メンバーはイェンス・フォイクト(レディオシャック・レオパード)、ラルス・ボーム(ベルキン)、シルバン・シャバネル(オメガファルマ・クイックステップ)、アルノー・ジャネソン(FDJ.fr)、トム・ダニエルソン(ガーミン・シャープ)、アンドレイ・アマドール(モビスターチーム)、そしてリブロン、バンガルデレン、モゼールだった。9人は残り100kmで6分40秒差を付けていた。

1回目のラルプ・デュエズ登坂のふもとで、この9選手のなかからバンガルデレンがアタック。この日は2回通過するということで、例年よりもさらに多い観客がひしめくつづら折りを、独走で登り続けた。しかし山頂の手前1kmで、モゼールとリブロンが追いつき、先頭は3人になった。8分後方のメイン集団では、ヨーロッパカーのピエール・ロランとトーマ・ボークレールがアタックし、ウォートル・プールス(バカンソレイユ・DCM)とミケル・ニエベ(エウスカルテル・エウスカディ)が合流。さらにアンディ・シュレク(レディオシャック・レオパード)が加わり、先頭の3人を追走した。

先頭ではつづくサロンノ峠の上り坂でモゼールが脱落し、山頂はバンガルデレンとリブロンの2人が最初に通過した。ところが、下り坂が始まるとバンガルデレンはメカニカル・トラブルで失速。遅れていたモゼールに追い越されてしまった。モゼールは先頭のリブロンに合流し、2人でつづら折りの下り坂を下っていった。残り35kmで、今度はリブロンがコーナーを曲がりきれずコースアウト。幸い草むらに突っ込んだだけで落車はしなかった。リブロンは先行していたモゼールに残り25kmで追いつき、バンガルデレンも残り17kmで合流。ふたたび先頭は3人になった。メイン集団では、サロンノ峠の下り坂でアルベルト・コンタドール(チームサクソ・ティンコフ)がアシストのロマン・クロイツィーゲルとともにアタック。しかし、20秒ほど先行しただけで、そのまま抜け出すことはできなかった。

2回目のラルプ・デュエズ登坂が始まるとすぐに、先頭からはモゼールが脱落。残り11kmでメイン集団との差が4分半になったところで、バンガルデレンがアタックしてリブロンを置き去りにした。バンガルデレンは1回目の登坂と同じように独走でつづら折りを登り続けたが、沿道にフェンスが置かれた残り4kmのエリアに入ると、それまで40秒近く開いていたリブロンとの差がみるみる縮まっていった。見るからに疲労したバンガルデレンとは対照的に、沿道の大声援を受けたリブロンは行く手にバンガルデレンの背中が見えるとさらにスピードを上げた。そしてリブロンはゴールまでたった2kmでバンガルデレンに追いつき、すぐに追い越した。そのとき、バンガルデレンにはもうリブロンのアタックに応える力は残っていなかった。リブロンは独走でゴールに飛び込み、2010年以来2度目の区間優勝を、フランス人として最高の大舞台で勝ち取った。

「残り5kmで、(区間優勝は)もう不可能だと思っていた。けれどジュリアン・ジュルディ監督がチームカーにいて、彼はまだボクを信じていてくれて、けっして応援を止めなかった。そして“彼(バンガルデレン)はもうダメだ。お前は彼を捕まえられるよ!”と、言った。そのときボクは2番手だったから、この上りに全力を捧げていた。そして、自分の行く手に彼(バンガルデレン)の姿を見たとき、彼がよくない状態なのに気がついた。ボクは彼に追いついた。ボクは彼がボクについて来られる可能性を残したくなかったから、すぐにアタックしたんだ。レースが逆転するのを見るのは、すごいスリルだね」と、区間優勝したリブロンはレースを振り返っている。

メイン集団では、最後のラルプ・デュエズ登坂が始まるとすぐに、ベルキンのバウケ・モレマとローレンス・テンダムが脱落。さらにクロイツィーゲルも遅れてしまった。マイヨ・ジョーヌ集団はすぐにフルーム、リッチー・ポート(スカイ)、ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)、ナイロ・キンタナ(モビスターチーム)、コンタドール、アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム)の6人になった。そこからフルームがアタックすると、キンタナが付き従い、1km先でロドリゲスも合流したが、コンタドールは動くことができなかった。ロドリゲスとキンタナはマイヨ・ジョーヌに攻撃をしかけ続けた。

この肝心な場面で、フルームが右手を上げて後方のチームカーに合図を送った。当初はメカニカル・トラブルが発生したかと思われたが、このときフルームはハンガーノックになっていて、ルール違反とはわかっていても、残り5kmでチームカーからの補給を行ったことをレース後に明かしている。実際には、アシストのポートがチームカーまで下がって補給を受け取ってフルームのもとへ運んだだめ、2人とも20秒のペナルティを受けてしまった。これでフルームはキンタナとロドリゲスを先行させることになり、2人より1分以上遅れてゴール。しかし、総合2位のコンタドールとのタイム差はさらに広げることができた。区間4位でゴールしたキンタナは総合成績で3位へと浮上し、念願だったパリの表彰台が現実味を帯びてきた。

7月19日はブール・ドワザンからル・グラン・ボルナンまでの204.5kmで第19ステージが行われる。コースはスタートしてすぐにカテゴリー超級のグランドン峠とマドレーヌ峠を越えなければならないが、頂上ゴールではない。(Map:ASO)

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■第18ステージ結果[7月18日/ガップ~ラルプ・デュエズ/172.5km]

1 クリストフ・リブロン(AG2R・ラモンディアル/フランス)4時間51分32秒

2 ティージェイ・バンガルデレン(BMC/米国)+59秒

3 モレノ・モゼール(キャノンデール/イタリア)+1分27秒

4 ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)+2分12秒

5 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+2分15秒

6 リッチー・ポート(スカイ/オーストラリア)+3分18秒

7 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)+3分18秒

8 アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム/スペイン)+3分22秒

9 ミケル・ニエベ(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)+4分15秒

10 ヤコブ・フグルサング(アスタナ/デンマーク)+4分15秒

11 アルベルト・コンタドール(チームサクソ・ティンコフ/スペイン)+4分15秒

12 ロマン・クロイツィーゲル(チームサクソ・ティンコフ/チェコ)+4分31秒

65 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+24分20秒

■第18ステージまでの総合成績

1 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)71時間02分19秒

2 アルベルト・コンタドール(チームサクソ・ティンコフ/スペイン)+5分11秒

3 ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)+5分32秒

4 ロマン・クロイツィーゲル(チームサクソ・ティンコフ/チェコ)+5分44秒

5 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+5分58秒

6 バウケ・モレマ(ベルキン/オランダ)+8分58秒

7 ヤコブ・フグルサング(アスタナ/デンマーク)+9分33秒

8 マイケル・ロジャース(チームサクソ・ティンコフ/オーストラリア)+14分26秒

9 ミハウ・クウィアートコウスキー(オメガファルマ・クイックステップ/ポーランド)+14分38秒

10 ローレンス・テンダム(ベルキン/オランダ)+14分39秒

11 アレハンドロ・バルベルデ(モビスターチーム/スペイン)+14分56秒

98 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+2時間16分27秒

[各賞]

■ポイント賞:ペーテル・サガン(キャノンデール/スロバキア)

■山岳賞:クリストファー・フルーム(スカイ/英国)

■新人賞:ナイロ・キンタナ(モビスターチーム/コロンビア)

■チーム成績:チームサクソ・ティンコフ(デンマーク)

(http://www.letour.fr/le-tour/2013/fr/)