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【Tour News】ツールは初日からゴール地点変更騒ぎで大落車事故が発生して負傷者続出!

レース

 

6月29日にコルシカ島で開幕した第100回ツール・ド・フランスは、ゴール目前のゴール地点変更騒ぎで大落車事故が発生し、お祭り気分から一転。負傷者が続出する混沌としたゴールになってしまった。

 

事の発端となったのは、集団が残り12km地点を走っているときに、オリカ・グリーンエッジのバスがゴール地点で立ち往生してしまったせいだった。主催紙レキップの報道によれば、この日、チームバスはゴールラインを通過してチームバスの駐車場に入るプランになっていたが、オリカ・グリーンエッジのバスは到着が遅れたため、ゴールラインに設営されたゲートはバスが通過できない高さにまで降ろされてしまっていた。バスは主催者の誘導で通過を試みたが、ゲートを通過することができず、フォトフィニッシュの機械を壊してしまった。ゴールまでにチームバスをゴール地点から移動できないと判断した競技審判は、この日のゴールを残り3km地点に移動する決定を下した。その情報がラジオツールで発表され、選手たちの耳に届いたのはゴールまでたった5kmだった。つまり、いきなりゴールが2km先になってしまったわけだ。ゴールスプリントに備えてスピードが上がっていた集団は混乱に陥り、前方で大落車が発生した。

 

 

もっともひどいケガを負ったのはTT世界チャンピオンのトニー・マルティン(オメガファルマ・クイックステップ)だった。彼は完走したが、チームバスのなかで2度意識を失い、鎖骨を骨折している疑いもあったため、救急車で病院へ搬送された。検査の結果、幸い骨折はなかったが、脳震盪と左肺を挫傷。腰、胸、左ヒザ、肩、背中に軽いキズを負い、左ヒジには筋肉にまで達する5センチのキズも負ってしまった。このケガはかなりの痛みがあり、腕を動かすのが困難なほどだ。マルティンは病院での検査後、チームのホテルに戻ったが、第2ステージを出走するかどうかは、夜のうちにケガの状態がどうなるかを診てから決めるとチームは発表している。マルティンは昨年のツールでも第1ステージで落車して負傷し、最初の休養日にリタイアした。オメガファルマ・クイックステップは、ヒールト・スティーフマンスもこの落車に巻き込まれた。マーク・カヴェンディッシュは落車はしなかったものの、この落車で足止めをくらってしまい、初日の区間優勝とマイヨ・ジョーヌ獲得のチャンスを失ってしまった。(http://www.omegapharma-quickstep.com)

総合優勝を目指してスタートしたアルベルト・コンタドール(チームサクソ・ティンコフ)もこの落車に巻き込まれてしまった1人だ。彼は左肩と右ヒザを負傷したが、幸い骨折はなかった。コンタドールは「今はアイシングをする時だ。チームタイムトライアルのためにこの後のステージでは回復する。ハンドルバーにヒジを乗せるのに問題がないことを願うよ。左肩と右ヒザを怪我している。自転車に乗るのは居心地がよくないけれど、ツールではまだやることがたくさんあるよ」と、語っている。この初日のケガが総合争いに影響しないことを祈りたい。(http://teamsaxotinkoff.com/)

 

 

キャノンデールはペーテル・サガン、モレノ・モゼール、エドワード・キングがこの大落車事故に巻き込まれたが、幸い大事には至らなかった。しかしキングは左肩に打撲傷を負っていて、レースを続けるかどうかは朝、チームドクターが決めるという。サガンも背中と両足、両腕を負傷している。スカイはイアン・スタナードとゲラント・トーマスが落車したが、2人ともレースを続行できるという。ロット・ベリソルのアンドレ・グライペルは落車には巻き込まれなかったが、落車事故の際にディレーラーが破損し、区間優勝のチャンスを失ってしまった。

BMCレーシングチームは世界チャンピオンのフィリップ・ジルベールとティージェイ・バンガルデレンが落車に巻き込まれてしまった。「ゴールする10分前に、ゴールラインが残り3kmに移動したと聞かされるなんて想像できるかい? そのあと、集団は一種のカオスに陥って、安全ではなくなってしまったんだ。不運にもボクも落車した1人だった。ボクは25番目くらいの位置を走っていて、目の前で落車が起きた。ボクのすぐ後ろをバンガルデレンが走っていたのが残念だった…」と、ジルベールはこの日の落車について語っている。幸いBMCの2人も大したケガはなかった。(http://www.bmcracingteam.com)

 大落車事故の直後、元々のゴール地点ではチームバスを移動できたため、競技審判はふたたびゴール地点を元の場所に戻すと発表した。この日のタイムはニュートラル扱いになり、落車で遅れた選手たちはすべて1位の選手と同じタイムが与えられた。しかし、ゴール地点を直前に2度変更するという競技審判の不手際に選手たちは不満をもらし、FDJ.frのマルク・マディオ監督などはTVのインタビューで激怒していた。オリカ・グリーンエッジは、チームバスが大会のスケジュールを守らなかった(決められた時間にゴール地点を通過しなかった)ことで、競技審判から2000スイスフラン(約21万円)の罰金を課されている。