【Tour速報】革命記念日の頂上ゴールを制し、ニーバリがマイヨ・ジョーヌを奪還/コンタドールがリタイア!
第101回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月14日にミュールーズからカテゴリー1のラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ山頂までの161.5kmで、ボージュ山岳最終日の第10ステージを競い、イタリアチャンピオンのビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)が今大会で2度目の区間優勝を上げ、前日に失ったマイヨ・ジョーヌを奪い返した。
第10ステージでは、総合優勝候補の1人だったスペインのアルベルト・コンタドール(ティンコフ・サクソ)が、落車で右ヒザを負傷。一度はレースに復帰したが、痛みに耐えられず途中リタイアした。レース後に行ったレントゲン検査で、彼は右脛骨(すねの骨)のちょうどヒザの下の部分を骨折していたことがわかった。
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前日のステージ終盤にスペインのエゴイツ・ガルシア(コフィディス)がリタイアしていたため、第10ステージは183選手が出走。スタートしてすぐにリューウェ・ウエストラ(アスタナ)がアタックし、7人の逃げが決まった。
革命記念日最初の逃げには、地元フランスのクリストフ・リブロン(AG2R)、アマエル・モワナール(BMC)、トーマ・ボークレール(ヨーロッパカー)と、ジョバンニ・ビスコンティ(モビスター)が加わっていた。
この逃げをホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)、ヤン・バルタ(ネットアップ・エンデューラ)、そしてマイヨ・ベールのペーテル・サガン(キャノンデール)が追いかけた。前日につづいて序盤から雨が降り出したが、3人は26km地点で7人に追いつき、先頭は10人になった。その時点で集団とのタイム差は4分半あった。
この日は最初のフィルスプラン峠(カテゴリー2)を越えた後に中間スプリントポイントがあり、マイヨ・ベールのサガンが逃げに加わった狙いはそれだった。山頂を3位で通過したサガンは、危険をかえりみずに雨の下りを疾走し、先頭で中間スプリントポイントを通過した。
フィルスプラン峠の下りでは、メイン集団からマイヨ・ブランのミハウ・クウィアトコウスキー(オメガファルマ・クイックステップ)が、チームメートのトニー・マルティンと一緒にアタックし、逃げ集団を追いかけた。
2つ目のプティ・バロン峠(カテゴリー1)は、ロドリゲスが先頭で通過した。下りでクウィアトコウスキーとメイン集団のタイム差は4分以上になった。クウィアトコウスキーは総合成績でマイヨ・ジョーヌを着たトニ・ガロパン(ロット・ベリソル)よりも4分遅れだったため、ここでバーチャルリーダーになった。
クウィアトコウスキーはマルティンらとともに、64km地点でロドリゲスのグループに合流。先頭は13人にふくらんだ。
プティ・バロン峠(カテゴリー1)の下りでは、最初に総合3位に付けていたティアゴ・マシャド(ネットアップ・エンデューラ)が落車。彼は左ヒジを負傷したまま最後尾でゴールしたが、タイムオーバーになってしまった。
その後、62km地点でコンタドールが落車する事故が発生した。メイン集団は彼を待ったが、その間にもクウィアトコウスキーはメイン集団とのタイム差を5分近くにまで広げていった。
71.5k地点のプラッツァーワーゼル峠(カテゴリー1)も、ロドリゲスが先頭で通過。メイン集団はアスタナがコントロールし、9人に減った先頭の逃げとの差を4分にまで縮めた。しかし、コンタドールはケガの痛みで集団に復帰できず、20km近く走った後でレースを棄権した。
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ゴールまで残り43kmで、クウィアトコウスキーが加わった先頭の逃げとメイン集団のタイム差は3分台になり、彼はバーチャルリーダーではなくなった。それでも逃げグループは、前日に大逃げを決めてマイヨ・アポワを獲得したマルティンが引き続けていた。
オメガファルマ・クイックステップのウイルフリート・ピーテルス監督は「我々の目的はクウィアトコウスキーのマイヨ・ブランだ。マルティンと一緒で我々には格好のシチュエーションだ。ロドリゲスとボークレールは区間優勝のために走るが、我々は総合で可能な限りベストな順位のために走る」と、語っていた。
クウィアトコウスキーのために先頭を引き続けたマルティンは、ゴールまで残り21kmで仕事を終え、後方に下がった。この働きぶりで、彼は2日連続で敢闘賞を獲得した。
最後から2番目のシェブレール峠(カテゴリー1)の頂上近くでロドリゲスがアタックし、単独で山頂を越えたが、下りでクウィアトコウスキー、ビスコンティ、モワナールが追いつき、先頭は4人になった。
アスタナが引くメイン集団では、シェブレール峠でマイヨ・ジョーヌのガロパンが脱落してしまった。下りではニーバリの山岳アシストをつとめるベテランのミケーレ・スカルポーニ(アスタナ)が、カーブで曲がりきれずに転倒してしまった。
またも負傷者が出たかとヒヤリとしたが、スカルポーニにケガはなく、なんと最後のラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユの登坂が始まる前には、ニーバリの集団に戻ってきた。
先頭では、下りでクウィアトコウスキーがアタックして先行したが、ロドリゲスが追いつき、5.9kmつづく最後のラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユは2人で上り始めた。マイヨ・ジョーヌのガロパンはまだ3分近く後方だったが、ニーバリのグループは1分半差にまで迫っていた。
ロドリゲスはすぐにアタックしてクウィアトコウスキーを置き去りにすると、独走でラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユの山頂を目指した。メイングループはスカルポーニが引き続けたあと、ゴールまで残り3kmでニーバリがアタックした途端、バラバラになってしまった。
イタリアチャンピオンの攻撃には誰もついて行けなかった。ニーバリはあっという間に前を走っていたロドリゲスの後方に迫り、フラム・ルージュの手前で彼に追いついた。そしてすぐに加速してロドリゲスを置き去りにすると、単独で山頂を目指した。
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昨年9月に娘のエンマが生まれたばかりのニーバリは、おしゃぶりのポーズでゴールを通過した。区間2位にはロドリゲスが入るものと思っていた観客は、地元フランスのティボー・ピノ(FDJ.fr)が上がってきたのを見て大歓声を上げた。
今年の革命記念日にはフランス人が勝てず、ガロパンは5分近く遅れてマイヨ・ジョーヌを失ってしまったが、区間5位に入ったロマン・バルデ(AG2R)が総合成績でクウィアトコウスキーを逆転し、マイヨ・ブランを獲得。ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユの表彰台に上がることができた。
ロドリゲスは区間優勝を逃してしまったが、峠越えがつづいたこのステージでポイントを稼ぎまくり、山岳賞のトップに立ってマイヨ・アポワを獲得している。
■マイヨ・ジョーヌ奪還を果たしたニーバリのコメント「10日間のハードなレースの後でもあり、霧と雨のせいでとても過酷なステージだった。グランツールでボクが経験した中で、もっとも厳しいステージだった。7つの上り坂があり、たくさんの落車があった」
「フィニッシュラインを通過した時に、ボクはこれを小さな娘に捧げた。妻と毎日電話で話しているんだが、エンマはボクの声がTVから聞こえると、急に黙って目を大きくあけるのだと教えてもらった」
「コンタドールのことは気の毒だと思っている。彼はボクの目の前で落車して、同じように転倒するのが怖かったけれど、彼がどうして落車したのかはわからない。ただボクは、それがひどい落車だったのを見ただけだ。ボクたちはしばらくペダルを止めた」
「ボクはリッチー・ポートと話をして、チームカーとも話し合った。けれどトニー・マルティンは4分半先行していた。だからボクたちはふたたび走り始めなければならなかった…」
悪天候にも見舞われた厳しい10日間を終え、ツールは7月15日にやっと最初の休養日を迎える。16日はブザンソンからオヨナまでの187.5kmで、後半にカテゴリー3と4の丘越えがある第11ステージが行われる。(MAP:ASO)
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■第10ステージ結果[7月14日/ミュールーズ~ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ▲▲▲▲/161.5km]
1 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)4時間27分26秒
2 ティボー・ピノ(FDJ.fr/フランス)+15秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+20秒
4 ジャンクリストフ・ペロー(AG2R/フランス)+20秒
5 ロマン・バルデ(AG2R/フランス)+22秒
6 ティージェイ・バンガルデレン(BMC/米国)+22秒
7 リッチー・ポート(スカイ/オーストラリア)+25秒
8 レオポルド・ケーニヒ(ネットアップ・エンデューラ/チェコ)+50秒
9 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)+52秒
10 ミケル・ニエベ(スカイ/スペイン)+54秒
12 バウケ・モレマ(ベルキン/オランダ)+1分16秒
17 ユルフン・バンデンブルック(ロット・ベリソル/ベルギー)+1分16秒
24 ミハウ・クウィアトコウスキー(オメガファルマ・クイックステップ/ポーランド)+2分13秒
33 トニ・ガロパン(ロット・ベリソル/フランス)+4分46秒
48 アンドリュー・タランスキー(ガーミン・シャープ/米国)+10分12秒
69 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+16分07秒
■第10ステージまでの総合成績
1 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)42時間33分38秒
2 リッチー・ポート(スカイ/オーストラリア)+2分23秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+2分47秒
4 ロマン・バルデ(AG2R/フランス)+3分01秒
5 トニ・ガロパン(ロット・ベリソル/フランス)+3分12秒
6 ティボー・ピノ(FDJ.fr/フランス)+3分47秒
7 ティージェイ・バンガルデレン(BMC/米国)+3分56秒
8 ジャンクリストフ・ペロー(AG2R/フランス)+3分57秒
9 ルイ・コスタ(ランプレ・メリダ/ポルトガル)+3分58秒
10 バウケ・モレマ(ベルキン/オランダ)+4分08秒
11 ユルフン・バンデンブルック(ロット・ベリソル/ベルギー)+4分18秒
13 ミハウ・クウィアトコウスキー(オメガファルマ・クイックステップ/ポーランド)+4分39秒
26 アンドリュー・タランスキー(ガーミン・シャープ/米国)+14分44秒
95 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+1時間09分51秒
[各賞]
■マイヨ・ベール:ペーテル・サガン(キャノンデール/スロバキア)
■マイヨ・アポワ:ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)
■マイヨ・ブラン:ロマン・バルデ(AG2R/フランス)
■チーム成績 :AG2R・ラモンディアル(フランス)
■今日の敢闘賞 :トニー・マルティン(オメガファルマ・クイックステップ/ドイツ)