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【Tour速報】ピレネー山岳初日のツール第16ステージはロジャースが逃げ切って区間初優勝

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第101回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、いよいよ最終週に突入。休養日明けの7月22日は、カルカッソンヌからバニェール・ド・ルションまでの237.5kmで、ピレネー山岳初日の第16ステージを競い、オーストラリアのマイケル・ロジャース(ティンコフ・サクソ)が逃げ切って区間初優勝を果たした。

マイヨ・ジョーヌのビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ)は、総合を争うライバルたちと一緒に8分32秒遅れでゴールし、この日も総合首位の座を守った。
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第16ステージは世界チャンピオンのルイ・コスタ(ランプレ・メリダ)とサイモン・イエーツ(オリカ・グリーンエッジ)が出走しなかった。コスタは休養日の検査で肺炎を発症していることがわかった。まだ21歳でツール初出場だったイエーツは、チームの方針によるものだった。

今大会最長区間のピレネー山岳初日は、169選手がスタート。序盤からアタックと吸収が繰り返された。25km地点のファンジョーの丘(カテゴリー4)は、ラファウ・マイカ(ティンコフ・サクソ)がトップで通過し、1ポイントを獲得した。

マイカは第15ステージ終了時点で山岳賞トップのホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)とポイント差なしの2位だったため、これで1ポイント上回って山岳賞1位になった。

前半には厳しい峠越えはなかったが、激しく動く集団の後方では、早くから脱落する選手が続出した。60km地点では、逃げに選手を送り込めなかったガーミン・シャープが集団を引き続け、マイヨ・アポワのロドリゲスやマイヨ・ベールのペーテル・サガン(キャノンデール)が遅れる場面もあった。

ファンジョーの丘を通過後に形成された12人の逃げが、71.5km地点のパミエールの丘越えで集団にとらえられた直後に、今度は21人が逃げ出すことに成功した。ロジャースはその逃げの1人だった。

123.5kmの中間スプリントポイントで、21人の逃げ集団とメイン集団のタイム差は7分にまで開いていた。この日は1995年にイタリアのファビオ・ガザルテッリが命を落としたアスペット峠を通過。主催者は記念碑に献花した。

155km地点のアスペット峠山頂は、バニェール・ド・ルションで3度目の区間優勝を狙う地元フランスのトーマ・ボークレール(ヨーロッパカー)が先頭で通過。メイン集団とのタイム差は10分以上になっていた。

ゴールまで残り50kmでタイム差は12分10秒にまで開いたが、アスタナもさすがにそれ以上は許さなかった。そして先頭の逃げ集団は、全長11.7kmでカテゴリー超級のポルト・デ・バレス峠を上り始めた。

ポルト・デ・バレス峠の中腹でロジャースが加速し、先頭はボークレールとシリル・ゴチエ(ヨーロッパカー)、ホセ・セルパ(ランプレ・メリダ)、バシル・キリエンカ(スカイ)、グレッグ・バンアーベルマート(BMC)の6人になった。

山頂まで5km地点で、ヨーロッパカーの2人がアタックしたが、ロジャースとセルパを蹴落とすことはできなかった。山頂はセルパが先頭で通過し、ロジャースとボークレールが続いた。

後方ではポルト・デ・バレス峠越えが始まると、激しい総合争いがスタート。マイヨ・ジョーヌ集団は14人に絞りこまれた。そこから最初に脱落したのはティージェイ・バンガルデレン(BMC)だった。

そして山頂まで残り4kmで地元フランスのティボー・ピノ(FDJ.fr)がアタックすると、彼とマイヨ・ブランを争っているロマン・バルデ(AG2R)が脱落してしまった。

この日のピノは強かった。チームメートのアルノー・ジャネソン(FDJ.fr)のアシストを受けてバルデとの差を広げていくと、最後は自ら先頭に立ち、ニーバリ、バルベルデ、ジャンクリストフ・ペロー(AG2R)が続いた。

ニーバリはピノにぴったり付いて行ったが、バルベルデとペローは峠の途中で脱落してしまった。しかし、バルデ以外の総合を争う選手たちはポルト・デ・バレス峠の下りで全員1つのグループになり、ゴールを目指した。

先頭では残り5kmを切ったところで、ロジャースが得意のロングアタックを決めた。TTスペシャリスト相手では、セルパとボークレールには為す術がなかった。最後は後続に9秒差を付け、ロジャースは観客に深くおじぎをするするゆとりまで見せてフィニッシュラインを通過した。

マイヨ・ブランのバルデは、この日の逃げに加わっていたチームメートのサミュエル・デュムラン(AG2R)のアシストを受けてゴール。タイム差は最小限に押さえることができたが、それでもピノよりも2分近く遅れてしまい、総合3位から5位に転落してしまった。

この日はスタートしてすぐにスイスのレト・ホーレンシュタイン(IAM)が落車した。彼は負傷したまま完走したが、ゴール後の検査で右の肺に気胸が見つかり、病院で精密検査を受けることになった。

区間優勝したロジャースは、昨年のジャパンカップ(アジアツアー1.HC)のドーピング検査でクレンブテロールの陽性になり、優勝は剥奪されたが、直前に滞在していた中国で食べた肉のせいだという弁明が認められ、資格停止処分を受けずに済んだ。

4月末のリエージュ~バストーニュ~リエージュ(UCIワールドツアー)で競技復帰したロジャースは、その後参加したジロ・デ・イタリアでグランツールで初の区間優勝を果たすことができた。

ツールではアルベルト・コンタドールのアシストをつとめる予定だったが、エースの戦線離脱でふたたびチャンスが訪れ、それをしっかりとつかみ取ることができた訳だ。


■区間初優勝したロジャースのコメント「ステージ優勝を目指す我々のプランBは、慎重に研究されていた。今日と明日のステージは、ボクの脚質に向いていると知っていた。このゴールは2010年にボークレールが優勝したときを覚えていた。だから彼はまたやる気満々だろうと思っていた。でも、強い向かい風のせいで、逃げに加わるのはとても難しかったよ」


■総合3位になってマイヨ・ブランも獲得したピノのコメント「素晴らしい日だ。今日の目標はマイヨ・ブランを取って、バルベルデやバルデといったライバルにタイム差を付けることだった。すごく調子がいいと感じていた。ツールではこれまでで最高の脚だ。だからその恩恵を得なければならなかった」

「マイヨ・ブラン争いで、ボクはバルデに1分半のタイム差を得た。理論上は、TTでボクは彼より強い。でもボクは冷静に走らなければならない。ツールでは悪い1日はいつてもあり得る」

「バルベルデとバンガルデレンにはもっとタイム差を付けなければならない。総合2位になるのは可能だと思う。けれどバルベルデをやっつけるのは容易ではない。彼はけっして多くの時間を失わないからね」


7月23日のピレネー山岳2日目は、サン・ゴーダンからサン・ラリー・プラ・ダデ峠山頂までの124.5kmで行われる第17ステージだ。距離は短いが、カテゴリー1の峠を3つ越えたあと、カテゴリー超級のプラ・ダデ峠に挑む厳しいステージだ。(MAP:ASO)
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[第17ステージの峠]

■ポルティヨン峠…カテゴリー1(57.5km地点)/標高1292m/全長8.3km/平均7.1%

■ペイルスールド峠…カテゴリー1(82km地点)/標高1569m/全長13.2km/平均7%

■バルルロン・アゼ峠…カテゴリー1(102.5km地点)/標高1580m/全長7.4km/平均8.3%

■サン・ラリー・プラ・ダデ峠…カテゴリー超級(ゴール)/標高1680m/全長10.2km/平均8.3%

 


■第16ステージ結果[7月22日/カルカッソンヌ~バニェール・ド・ルション▲▲▲/237.5km]

1 マイケル・ロジャース(ティンコフ・サクソ/オーストラリア)6時間07分10秒

2 トーマ・ボークレール(ヨーロッパカー/フランス)+9秒

3 バシル・キリエンカ(スカイ/ベラルーシ)+9秒

4 ホセ・セルパ(ランプレ・メリダ/コロンビア)+9秒

5 シリル・ゴチエ(ヨーロッパカー/フランス)+9秒

6 グレッグ・バンアーベルマート(BMC/ベルギー)+13秒

7 ミハウ・クウィアトコウスキー(オメガファルマ・クイックステップ/ポーランド)+36秒

8 マッテーオ・モンタグティ(AG2R/イタリア)+50秒

9 トムイェルテ・スラフテル(ガーミン・シャープ/オランダ)+2分11秒

10 トニ・ガロパン(ロット・ベリソル/フランス)+2分11秒

17 ティボー・ピノ(FDJ.fr/フランス)+8分32秒

18 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+8分32秒

19 ジャンクリストフ・ペロー(AG2R/フランス)+8分32秒

20 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)+8分32秒

21 レオポルド・ケーニヒ(ネットアップ・エンデューラ/チェコ)+8分32秒

26 ローレンス・テンダム(ベルキン/オランダ)+9分43秒

30 ロマン・バルデ(AG2R/フランス)+10分22秒

33 バウケ・モレマ(ベルキン/オランダ)+11分32秒

37 ティージェイ・バンガルデレン(BMC/米国)+12分08秒

53 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+16分21秒

■第16ステージまでの総合成績

1 ビンチェンツォ・ニーバリ(アスタナ/イタリア)73時間05分19秒

2 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+4分37秒

3 ティボー・ピノ(FDJ.fr/フランス)+5分06秒

4 ジャンクリストフ・ペロー(AG2R/フランス)+6分08秒

5 ロマン・バルデ(AG2R/フランス)+6分40秒

6 ティージェイ・バンガルデレン(BMC/米国)+9分25秒

7 レオポルド・ケーニヒ(ネットアップ・エンデューラ/チェコ)+9分32秒

8 ローレンス・テンダム(ベルキン/オランダ)+11分12秒

9 ミハウ・クウィアトコウスキー(オメガファルマ・クイックステップ/ポーランド)+11分28秒

10 バウケ・モレマ(ベルキン/オランダ)+11分33秒

74 新城幸也(ヨーロッパカー/日本)+2時間20分40秒

[各賞]

■マイヨ・ベール:ペーテル・サガン(キャノンデール/スロバキア)

■マイヨ・アポワ:ラファウ・マイカ(ティンコフ・サクソ/ポーランド)

■マイヨ・ブラン:ティボー・ピノ(FDJ.fr/フランス)

■チーム成績  :AG2R・ラモンディアル(フランス)

■今日の敢闘賞 :シリル・ゴチエ(ヨーロッパカー/フランス)(http://www.letour.fr/)