創設50周年 ブリヂストンアンカーサイクリングチームの布陣
1月29日、バイクフォーラム青山にて、ブリヂストンアンカーサイクリングチームのプレス向け発表会が開催された。2014年は、ブリヂストンサイクル自転車競技部として発足してから50年の節目となる。
チームのメンバーは水谷壮宏監督をはじめ、昨年から引き続き清水都貴、井上和郎、伊丹健治、LEBAS Thomas、初山 翔、MONIER Damienが所属。
実績のあるメンバーによる安定感のある布陣に加えて、水谷監督が魅力を感じたという若手選手3人が加入。
レースの重要な局面で動く事ができる強さをもつスプリンター内間康平。ロード選手らしい恵まれた体格をもつ寺崎武郎。2012年U23TT全日本チャンピオンの椿 大志だ。
水谷壮宏監督
Q今年の選手構成は、勝てる選手はそのままに新人を補強していますが、どういった意図があるのでしょうか?
今回加入した選手の中で、特に来てもらってよかったと思っているのは内間ですね。NIPPOであんなに強い選手をアシストして、レースのいちばんつらい場面でペースアップをして、レースを作れる選手だ。素晴らしいと思っていました。
そしたら、彼からアンカーに加入したいという話をもらったので、ぜひということで入ってもらった。
今まで、アンカーには足りていなかったキャラクターだ。レースをよく見ているし、アシストができてスプリントもいける。タイプとしては(井上)和郎にも似ていますね。なによりまだ若い!
寺崎は22歳と若いけれど、体が出来上がっている。コンディショニングはまだシーズン前だから、整っていないが、筋肉のつきかたができあがっている。これから、フランスのレースをもっと走らせればより強くなる事ができるとおもう。EQAU23の時から目をつけていた。
椿も寺崎と同じくいいと思っていた。全日本のTTを獲ったこともある通り、ポテンシャルは高い。合宿では彼の弱点が見えたので、それを克服できるように導いてやれば強くなると思っています。
雰囲気作りという意味でも、内間はチームに南国の風を入れてくれていますね(笑)。雰囲気はとても大切。椿は自信を持って話をしてくれる。何も言ってこない選手は何考えているかわからないので、話をできることは選手として大切。
あとはヨーロッパでワンデイレースをこなす中で、チームプレーの大切さをわかってもらえるように仕上げていきたい。チームプレーがなければ絶対に勝つことはできないですからね。
Q国内のライバルチームは?
チーム単位というよりは、各チームのエース級選手個人がライバルという考え方をしている。愛三、シマノ、ukyoとどのチームも得意な局面があるわけだけれど、自分たちのチームがいかにレースに対していい走りをできるかが大切。
今年のチーム体制なら、戦略にバリエーションを持たせることができる。ただ、レースによって、その戦略を上手く機能させるのが、いちばんむずかしいところでもあります。
やることをやっていれば、目標を必ず達成できるので、それを忘れないように闘っていきたいと思います。
清水都貴選手
Q悲願の全日本選手権制覇が目標とのことですが、それに向けて作戦など考えていることはあるのでしょうか?
ここまできたら、せこい勝ち方をしてもしょうがないと思っています。そして、自分の魅力は上りをこなせる所。それを全面に見せて勝ちたい。単騎で参戦している選手もいる。それにチームの力だけで勝ってしまっては意味が無い。清水都貴が個人としても強かった。という勝ち方をしたいと思っています。そういう展開に持って行きたい。
水谷監督はセオリーとは違った作戦を立てることがある。作戦は監督にまかせているので、自分は選手として、どんな展開でもどんな作戦でも対応できるようにしっかりとトレーニングを積んでいくだけです。
Qステムが長く、ブラケットの位置も高めの特徴的なバイクのセッティングですが、どんなロジックなんですか?
そうですね。ブラケットの位置は調子がいいほど高くなります。僕は欧米人と比べて、身長も低いし、手も小さい。足のサイズも23cmなんです。この特徴的な体格で、セオリー通りのバイクセッティングでは強くなれない、勝てないと思った。学生時代からずっと自分で試行錯誤をしたり、身長が近い宮澤崇史選手に相談したりする中で、自分にあっているのはステムを短くして縮こまったポジションで乗るよりも、ステムを長くして体を大きく使えるポジションにしたほうが、ヨーロッパの高速レースにも対応できることを発見したんです。実際、パリ・コレーズなどのレースで勝利することもできたので、自分のロジックに裏打ちを持つことが出来ました。
このロジックを一般の人に落としこんで伝えられるようになるといいんですが・・・。
Qポジションを変化させるというのはとても勇気のいる行為だと思うのですが、どうやって乗り越えたのでしょうか?
セオリーとされているポジションで走った。もうこれ以上トレーニングしようがないというところまで追い込んだんです。そこでポジションをいじるしかないとなった。ほかのアプローチもあったかもしれないけれど、自分の中に、ポジションをこういじったらうまくいくという漠然としたイメージがあった。
そしてメカニックやサプライヤーが、自分のアイディアに対して、セオリーから外れているからダメだと言うのではなく、理解を示してくれて必要なパーツを手配してくれた。そういった土台があったから実現できたことだと思っています。
フレームは柔らかめのモデルが好みなのでRIS9を使っています。上りで勝負をしたいとう自分の考え方にもあっていますね。
椿 大志選手
Q同年代は将来有望な選手が多いけれどライバルは?
みんながライバルで、それぞれが得意なシチュエーションがあるので、特に誰というのはないです。
Q名門チームに入れた強みは?
サポート体制がとても充実している。そして、自分よりも強い選手しかいない!去年までとはちがう。強くなるための環境がそろっているところです。
Qベテラン勢が所属していますよね?具体的にどう違いますか?
沖縄合宿に行っていたんですが、上りでLT値で踏んでいくという練習メニューをこなしている時ですが、清水選手やダミアン選手がぶっ飛んでいったんです。まったくついていけなかった。アンダーの選手と走っていたときは、そこまで大きな力の差を感じなかったけれど、この間の合宿は違いました。でも、絶対に自分で工夫して練習をしてレースでは同じレベルになります!
Q練習メニューはどうしているの?
レースによって必要な力があるので、それにあわせたメニューが与えられますし、自分で組み立てていくのが大切です。
Q目標としているレースは?
全日本TTの制覇ですね。年齢としても今年からエリートカテゴリーを走ることになります。全日本ロードでも、アシストとして参戦することになると思うのですが、もしも自分にチャンスが回ってくるような展開になったら、いつ勝利のチャンスが転がってくるかわからないので、それを貪欲に獲りに行きたい、それに対応できる力をつけておきたいと思います。
海外のレースではUCIポイントを獲得できること。正直、海外のレースでは自分のレベルは底辺に近い。でも、そこで自分がどう闘えるかを考えています。気持ちで負けたらおしまいなので。アンダー1年目からフランスでは走っていましたが、エリートはレベルが違うと思っています。楽しみですが、不安もあります。