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どうやってチームに? 大宅陽子が聞く、みんなで走るストーリー 第2回 『芝川COOLS』編

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サイクルスポーツ本誌はもちろん、NHK BS1の番組「チャリダー★」にも「坂バカ女子部」として登場した、大宅陽子さんが、サイクルスポーツの連載記事をスタート。仲間と走る楽しさを伝えるべく、各地のチームライドにおじゃま。チームの活動内容や、チーム結成のいきさつ、メンバーの素顔にせまる。

記事の最後には、チームへの連絡方法も乗っているので、「1人で走っていて仲間がほしいな」という人は近くのチームに連絡してみて!
1人で走るのも楽しいサイクリングだけれど、仲間がいれば人数分だけ魅力は倍増する。その門戸は開かれているのだ!
 

『芝川COOLS』のチームライドにジョイン!

第2回は、埼玉県川口市を拠点とする『芝川COOLS』のチームライドに参加させていただいた。

チームの発端は約40年前。正式名称は「芝川サイクリングクラブ」という。当時のメンバーはレース志向の人が多く、エンデューロを目標に練習をするようなチームだった。3年ほど前にメンバーの誰かが、気ままに走り練習に付き合ってくれないメンバー達を「冷たい奴らだ」と揶揄したことから「芝川COOLS」と呼ぶようになった。

まだ薄暗く、冷たい空気が張り詰めている朝7時。埼玉県川口市内のコンビニに自転車乗りが集合した。メンバーは全員男性。朝のためか寡黙な人が多い。すぐ近くにある拠点の芝川サイクル・モータース前で今日のルートを確認し、チームライドがスタートした。

 
スタート前の集合写真 Photo:Yoko Oya
スタート前の集合写真 Photo:Yoko Oya
本日のルートを確認 Photo:Yoko Oya
本日のルートを確認 Photo:Yoko Oya

新荒川大橋を渡り、荒川沿いを北上していく。走り出すと皆表情が緩み、清々しい様子で風を切って走っていく。

川越の市街地を抜け、日高市に鎮座する高麗神社へ到着。交通安全を願い、再出発。途中コンビニで休憩を取りつつ進み、武蔵横手駅で一息ついてから、本日の山岳ポイントである民宿『啓明荘』へ向かった。

「上りだけど短いから」「それぞれのペースで」という声を聞きつつ上ってみると、確かに短いながらも結構な急勾配。息を切らしつつもなんとか上りきったが、激坂に足をつくメンバーもちらほら。

しかし、それもまた楽しそうで、皆笑みがこぼれている。先に上り切ったメンバーは、遅れた仲間を「最近仕事が忙しかったらしいよ」と思いやり、ひなたぼっこをしながら待っていた。そして、仲間の姿が見えると「あとちょっとだぞー!」と声をかけ励ましていた。男性同士ならではの、気疲れしない心地よい関係が垣間見えた。

 
高麗神社で参拝 Photo:Yoko Oya
高麗神社で参拝 Photo:Yoko Oya
坂はそれぞれのペースで完走 Photo:Yoko Oya
坂はそれぞれのペースで完走 Photo:Yoko Oya

その後、鎌北湖を回り、サイクルスポーツ本誌3月号でも紹介したサイボクハムへ。メンバーが手慣れた様子で席の確保、肉の注文と受け取り、パンやドリンクの購入と手分けをして準備をしていく。誰が指揮をとるわけでもなく、自然とできてしまうチームワークは息の長いチームならでは。あっと言う間に美味しいお肉とオールフリーで乾杯となった。
 
おすすめは焼きたてを楽しめる「豚トンセット」 Photo:Yoko Oya
おすすめは焼きたてを楽しめる「豚トンセット」 Photo:Yoko Oya
オープンテラスで昼食 Photo:Yoko Oya
オープンテラスで昼食 Photo:Yoko Oya

どんな装備で?

心優しきメカニック達 Photo:Yoko Oya
心優しきメカニック達 Photo:Yoko Oya
バッグがあれば直売所の野菜も買って帰ることができる Photo:Yoko Oya
バッグがあれば直売所の野菜も買って帰ることができる Photo:Yoko Oya

今回のチームライドでは、メンバーの半数以上がバッグを背負っていた。中身を聞くとチューブ、タイヤをサイドカットしてしまった時のためのテープや切りタイヤ、補給食、チェーンカッター、ディレーラーハンガー、輪行袋等。

彼らはサイクリング協会主催のイベントや数百キロのロングライドも経験してきたベテランサイクリストだ。それゆえ、チームのメンバー全員が家まで帰れるように必要なものは全て携帯していた。メカニックが何人も帯同しているかのような心強さ。彼らの積み重ねてきた経験と、メンバー全員で楽しくサイクリングをしようという優しさを感じた。そして、その熱い思いを私に聞かれるまで黙って背負っているあたりがCOOLSなのだと納得した。

各々家族へのお土産を購入後、川越市の喜多院へ寄り、スタート地点へと帰路を急いだ。日没後は、店長の矢作さんが「ライトは先を照らすようにするといいよ。ハンドル下に装着すれば、少し上向きにしても眩しくないんだ」と仲間にアドバイスをする場面もあった。

解散後、時間に余裕のあるメンバーは店から歩いて1分の中華料理屋へ。狭い店内でメンバー同士肩を寄せ合いながら餃子や麻婆豆腐をつつき、小腹を満たしてそれぞれの帰路へついた。

 
啓明荘前の坂道にて Photo:Yoko Oya
啓明荘前の坂道にて Photo:Yoko Oya

芝川サイクル・モータースでロードバイクを購入したメンバーもいるが、大場さんのように店舗でサイクリング協会加入の申し込みをしたのをきっかけに、芝川COOLSに加入するメンバーも多い。ライドへの参加やチームへの加入は、マナーを守れる人であれば誰でも可能で、初心者歓迎とのこと。申し込みは芝川サイクル・モータースのHPか店舗に直接連絡を。自店舗以外で購入した自転車のメンテナンスも受け付けているそうなので、興味をもった方はぜひ店舗を訪れ、矢作さんの人柄にふれてほしい。

チームライドは月に1度程度声を掛け合って走っている。サイクリング協会主催のイベントに参加したり、5月には毎年恒例の川口直江津耐久ラン、つくば8時間耐久レースへの参戦など恒例イベントも控えている。


『有限会社 芝川サイクル・モータース』

 

メンバーはこんな人たち!

左が甥の祐樹さん、右が店長の矢作知久さん
左が甥の祐樹さん、右が店長の矢作知久さん
この日のライドを最後尾で見守り続けたのは「自転車は乗るのも、いじるのも好き」という芝川サイクル・モータースの店長、矢作さん。埼玉サイクリング協会の副理事長も兼務している。

「おじさん達が楽しくやっているチーム。それぞれの意見を尊重し、新しいメンバーのおかげで走るルートも広がっている。ライドにメンバーがたくさん集まると、みんな他にすることないの?友達いないの?なんて口々に言って笑いあってるんだよ」

と笑顔を見せた。

矢作さんの背中を見て育った甥の矢作祐樹さんも、1年半前からライドに参加するようになった。「弱虫ペダル」と映画「メッセンジャー」をきっかけに自転車を始めた。

「優しい人が多く、すぐにチームに受け入れてもらえた。ライド中も『水分とってるか』『無理するなよ』と気にかけてもらい嬉しかった。チームはオープンで、大人の付き合いができる人であれば他のチームに所属している人でも気軽に参加できるのが魅力」

と語った。
 
大場さんはチームライドへの参加は3回目。24年前にロードバイクを購入し、20年程乗らずにいた。昨年からまた乗り始め、埼玉県サイクリング協会主催の「センチュリーラン埼玉」の申し込みを芝川サイクル・モータースで行った縁でチームライドに参加するようになった。

「坂道は苦手だけど、皆がついていけるペースにしてくれる。あまり干渉されず、いても許される雰囲気が心地よい」

と教えてくれた。

 
左が熊谷さん、右が菅野さん
左が熊谷さん、右が菅野さん

今回のライドのルートを提案してくれたのは菅野さん。

「矢作さんの人柄に魅かれてライドに参加し続けている。矢作さんはどの自転車にも愛情をもち、大切に扱っている。ライド中のメンバーへの声かけや修理のスキルについてもとても勉強になる」

連絡調整係を引き受けている熊谷さんはチームライドに参加して8年目だが、チーム内ではまだ中堅とのこと。

「菅野さんに刺激を受けトラブルに対する準備をしっかりとするようになった。新しいメンバーも迎え入れていきたい」

と語った。
【走行距離】108㎞ 獲得標高545m

【立ち寄りどころ】『サイボクハム』

【ペース】おしゃべりしながら走れるペース。仲間が遅れたら随時待つスタイル。

【フレンドリー度】和やかな大人の付き合い。ライド後の中華料理屋は盛り上がった!




芝川COOLSは走りはCOOL、心意気はHOTなメンバーの集まるチームでした。和やかながらさっぱりとした雰囲気で、走力で気兼ねする必要のない心地よさも魅力でした。


 

ライドコースはこちら!





大宅陽子(おおやようこ)

この連載のレポーター。ヒルクライムをこよなく愛するサイクリスト。各地のヒルクライム大会で入賞、ジャパンカップオープン女子完走の経歴をもつ。また、ヨガインストラクターとして自転車競技の特性に合わせた「サイクリストヨガ」のレッスンを各地で開催中。


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