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どうやってチームに? 大宅陽子が聞く、みんなで走るストーリー 第5回 『AMBCO』編

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サイクルスポーツ本誌はもちろん、NHK BS1の番組「チャリダー★」にも「坂バカ女子部」として登場した大宅陽子さんの連載記事。仲間と走る楽しさを伝えるべく、各地のチームライドにおじゃま。チームの活動内容や、チーム結成のいきさつ、メンバーの素顔にせまる。

記事の最後には、チームへの連絡方法も乗っているので、「1人で走っていて仲間がほしいな」という人は近くのチームに連絡してみて!
1人で走るのも楽しいサイクリングだけれど、仲間がいれば人数分だけ魅力は倍増する。その門戸は開かれているのだ!


 

第5回 『AMBCO』編

朝6時半。埼玉県さいたま市緑区にある『サイクルショップ大牧』の前にサイクリストが集合した。「最近どう?」などと和やかに会話をしながらスタート地点となる見沼自然公園へ。見沼用水路沿いの木陰を進み、見沼自然公園に差し掛かると、多くのサイクリストが合流した。

周回コースは1周約9km。1周目はトレインができ、緩やかなペースで進む。大人に交じった小学生も一生懸命ペダルを回す。見沼田んぼの合間を通る農道は車通りも少なく空気も清々しい。2周目は各自思い思いのペースで走る。走り終えた人から見沼自然公園に戻り、子ども達と気力を残した大人たちを中心に自転車遊びが始まる。"一本橋"やハエ叩きを使った"自転車鬼ごっこ"をして賑わった。9時前には解散となり、さらに走りに行く人、他の用事があり帰路に着く人とそれぞれ公園をあとにした。

 

チーム名は『AMBCO』。“アンビコ”と読む。「Al-Mighty Bike Club OHmaki」のイニシャルをとったもの。直訳すると「全能なる自転車」だ。「自転車の楽しさを知るには小径車だってママチャリだっていい。持っている自転車で楽しく走ろう、そして人間関係を広げていこう」という思いが込められている。

チームの設立は1991年。創立28年目の伝統あるチームだ。埼玉県サイクリング協会に加盟しているクラブで、埼玉県サイクリング協会認定の指導者認定者が10人所属している。サイクルエキスポやツール・ド・フランスさいたまクリテリウムなど、県や市のイベントでも引率などの手伝いをし、貢献している。 実はクラブ自体は県より表彰されたことがあり、個人としてもさいたま市体育賞功労賞受賞者が4人いる。埼玉の自転車文化を支える実力者揃いのチームでもある。

朝練以外にも、皆で都内までツーリングに行ったり、筑波8耐久や笠間センチュリーラン、もてぎエンデューロ、袖ヶ浦耐久、霞ヶ浦一周サイクリング等にチームを組んで出場している。今年は秋にクラブ独自で富士山方面へツーリングする予定もある。現在会員は20人程度だが、同好会員(会員ではないが練習に参加しているメンバー)も多く、取材当日も賑わっていた。

 

アンビコ三役を紹介しよう

左から、鷲津さん、小野崎さん、松永さん Photo:サイクルスポーツ編集部
左から、鷲津さん、小野崎さん、松永さん Photo:サイクルスポーツ編集部
拠点の『サイクルショップ大牧』社長の鎌田さん Photo:サイクルスポーツ編集部
拠点の『サイクルショップ大牧』社長の鎌田さん Photo:サイクルスポーツ編集部
現在の会長は松永さん。通称マリオさんだ。「元々トライアスロンをしていて、クラブの立ち上げの時に、練習に参加していた流れから加入した。どんな自転車でも乗るのが好きならOKなチーム」

部長は小野崎さん。中学1年の時からロードに乗り出し、現在もロード通勤をするアクティブなサイクリスト。 元々乗っていた自転車の調子が悪くなり、サイクルショップ大牧で自転車を買い換えたのが加入のきっかけだった。「AMBCOがさいたま市や埼玉県の子供達や大人たち皆の安全に役立ってくれれば、自転車の楽しさを今後も伝える事が出来れば良いと思う」と笑顔を見せた。

顧問は鷲津さん。立ち上げの頃からクラブに関わっている。「ショップの枠に縛られるのが嫌だった。純粋に自転車ユーザーが楽しめるクラブをつくりたかった。当初は遠出をした仲間が「〇〇へ行ってきたよ」というレポートを書き、それをショップに置いておいてお互い読みあうスタイルだった」今もそのレポートはショップに保管されているという。

社長の鎌田さんは技術顧問という肩書はあるが「自分は運営には関与しない。自分じゃやりきれない」と笑う。店長が見守る立場を守ることでショップの枠に縛られず気軽に加入できる雰囲気ができているそう。

 

アンビコは小学生から参加することができる

藤本琉生君と父の康生さん Photo:サイクルスポーツ編集部
藤本琉生君と父の康生さん Photo:サイクルスポーツ編集部
小林武尊君と母のあゆみさん Photo:サイクルスポーツ編集部
小林武尊君と母のあゆみさん Photo:サイクルスポーツ編集部

小林武尊(たける)君は小学校5年生。今年の宇都宮クリテリウムと同日開催されたホープクリテリウム(小学4~6年生が出場)で9位に入った実力者だ。3年生の時にさいたまクリテリウムを母のあゆみさんと観戦し、選手が駆るロードバイクのギアの変速音や通り過ぎたときの風圧に圧倒され、一気に引き込まれた。

しかし、小学生が参加できるロードバイクチームは少ない。サッカーや野球のように少年団も無い。さいたま市内で開催されたロードバイクフェスタに参加したところ、ロードバイク試乗コーナーでお手伝いをしていたアンビコメンバーで現在高校2年生の田島さん(当時中学生)に優しく接してもらい、アンビコへの関心が高まったという。

小学生になると「ドロップハンドルの自転車がいい」とロードバイクを買ってもらい、めきめきと力をつけた。あゆみさんは「最初は一緒に走っていたが今はとてもついていけない」と笑う。「今年の目標は必ず表彰台に乗ること、将来の夢はロードレーサーになること」と照れながらもしっかりと話す姿が印象的だった。

藤本琉生(るい)君は小学3年生。昨年の夏から朝練に参加するようになった。「走るのが楽しい」と笑顔を見せた。父の康生さんは「将来の趣味の仲間を増やすために息子を自転車に誘った。アンビコの走行は"安全第一"なので、安心して参加させていただいている。周回コースなので迷子にならないし、遅い人も安心して走行できると思う」と語った。

 
朝の農道は涼しくて快適 Photo:サイクルスポーツ編集部
朝の農道は涼しくて快適 Photo:サイクルスポーツ編集部
チームジャージには周回コースがデザインされている Photo:サイクルスポーツ編集部
チームジャージには周回コースがデザインされている Photo:サイクルスポーツ編集部
走行会は夏は6時、冬は7時から開始している。健康に仲良く、マナーよく楽しめる人なら誰でも歓迎だ。中学生までは親同伴での参加が必須となる。「クラブに入るから自転車を買うのは無し、今ある自転車で参加して楽しみましょう」とのこと。

現在はアンビコから話が広がり、実業団チーム『株式会社サイタマサイクルプロジェクト』も立ち上がり、活動をしている。
 
2週目からは各自のペースで Photo:サイクルスポーツ編集部
2週目からは各自のペースで Photo:サイクルスポーツ編集部
毎回盛り上がる自転車鬼ごっこ Photo:サイクルスポーツ編集部
毎回盛り上がる自転車鬼ごっこ Photo:サイクルスポーツ編集部
板の上をバランスよく走る Photo:サイクルスポーツ編集部
板の上をバランスよく走る Photo:サイクルスポーツ編集部
【走行距離】23㎞ 累積標高17m

【立ち寄りどころ】『見沼自然公園』

【ペース】1周目はみんなで走る。2周目は各自ペースで。

【フレンドリー度】小学生から大人まで和やかな走行会。ライド後の自転車遊びが楽しい! 都市部に残る自然を満喫しながら、大人から子どもまで楽しく走れる貴重なチームだと感じました。


 

ライドコースはこちら!






AMBCOホームページ


拠点の『サイクルショップ大牧』
〒336-0926 埼玉県さいたま市緑区東浦和7-41-15
 

大宅陽子(おおやようこ)

この連載のレポーター。ヒルクライムをこよなく愛するサイクリスト。各地のヒルクライム大会で入賞、ジャパンカップオープン女子完走の経歴をもつ。また、ヨガインストラクターとして自転車競技の特性に合わせた「サイクリストヨガ」のレッスンを各地で開催中。


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