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【TOJ第2ステージ速報】ブリッツェン雨澤がステージ優勝!

レース

宇都宮ブリッツェン雨澤、TOJ京都ステージで吠える!

集団から逃げ切った雨澤が大きく両拳を突き上げた
集団から逃げ切った雨澤が大きく両拳を突き上げた
勝利の雄叫びをあげる雨澤
勝利の雄叫びをあげる雨澤
5月21日(月)、ツアー・オブ・ジャパン第2ステージは、京都府京田辺市の普賢寺ふれあいの駅から同志社大学京田辺キャンパス内をまわる5.5kmのセレモニアルライドからスタートし、16.8kmの周回コースを6周してけいはんなプラザ前にゴールする総距離105kmのコース。獲得標高は意外と厳しい1836mだ。

リアルスタートを切り、安原大貴(マトリックスパワータグ)が単騎で逃げ出す。一旦落ち着いた集団からさらに木村圭佑(シマノレーシング)、草場啓吾(日本ナショナルチーム)、コナー・ブラウン(チーム・イルミネート)が抜け出し、安原と合流。逃げグループは4人となった。

スプリントポイントが2周目と4周目終了時のフィニッシュ地点に設定され、安原が獲得に向けて先に動きを見せる。両スプリントポイントとも安原が1位通過し、全部で10ポイントを獲得した。

2級の山岳ポイント(KOM)は、3周目(43.4km地点)と5周目(77km地点)に設定。今日のステージで最大ポイントを持つ者が山岳賞のレッドジャージを獲得できるとあって、逃げに入った安原以外3人が積極的に動く。ライン手前で木村と草場の一騎打ちとなり、1回目は木村、草場、ブラウンの順で通過。2回目も同じ展開で、今度は草場、木村、ブラウンの順でKOMを通過した。

先頭集団とのタイム差は、最大で4分半ほどまでに広がった。リーダージャージを持つJLTコンドールは、集団牽引の役割をまっとうせず、多くのチームが勝ちを狙えるメンバーを揃えるバーレーン・メリダとNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニに仕事をさせたがった。

最終周回、メイン集団はゴールスプリントに向けて、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ、チーム右京、愛三工業レーシングが話し合い、中心となって集団のペースを上げる。途中、NIPPOのマルコ・カノラのアタックなどもあった中で、逃げグループは吸収され、メイン集団も大きく分断された。さらに先頭集団ではアタック合戦が続く。

ラスト2kmでバーレーン・メリダの新城幸也が仕掛けると、そこにブリッジをかけた8人ほどが集団から抜け出した。抜け出した小集団ではゴールに向けて牽制が入った状態で、「チャンスだと思った」と、雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)は徐々にスピードを上げながら残り1km付近、ラスト2つ目のコーナーに侵入する。もともと宇都宮ブリッツェンとしては、鈴木龍のスプリントで勝負をする予定であり、雨澤は抜け出した集団にチェックに入ったという形であった。しかし雨澤に他の選手たちと一緒に牽制に加わる理由はなかった。雨澤はさらに最終コーナーで後ろとの差を広げ、ホームストレートに一番最初に姿を現した。集団は雨澤の後ろからスプリントを開始するも、わずかに届かず。「本当に1番なのかな? 前にいるんじゃないかな?と思いながら踏んだ」という雨澤が、その差を守りきり、大きく拳を突き上げ、雄叫びをあげた。

TOJで日本人がステージ優勝を飾ったのは一昨年の伊豆ステージでの新城ぶり。3回目の開催となる京都ステージでの日本人優勝は初めてだ。昨年ジャパンカップでも表彰台に上がった将来期待の若手がいよいよUCIレースで初勝利を挙げた。

総合のグリーンジャージは、雨澤の後ろでゴールしたグレガ・ボレ(バーレーン・メリダ)がボーナスタイム-6秒を獲得し、ボレに移動。また、フィニッシュでスプリントポイント25ポイントを獲得した雨澤がブルージャージを着用。山岳ポイントは、木村と草場が同ポイントとなり、個人総合時間が上の草場がこの日のレッドジャージを手にした。
 
レース前に新城と話をしていた雨澤
レース前に新城と話をしていた雨澤
4人の逃げメンバーから草場が山岳賞ジャージを手にした
4人の逃げメンバーから草場が山岳賞ジャージを手にした
くねくねとした道を進むメイン集団の選手たち
くねくねとした道を進むメイン集団の選手たち

ステージ優勝を挙げた雨澤のコメント

グリーンジャージは着られないと聞いた雨澤は、「総合はまだ取りたくないので良かったです」と笑っていた
グリーンジャージは着られないと聞いた雨澤は、「総合はまだ取りたくないので良かったです」と笑っていた
TOJが始まる前、ステージ優勝と総合3位以内という目標を話していた雨澤だったが、第2ステージで早速片方の目標をクリアした。

「ここで達成するとは思わなかったっていうのが正直。もっと後の南信州とかだと思ってたんですけど、まあチャンスだと思ったので。勝てて良かったです。」

総合優勝を目指すか聞くと、「第1目標は総合なので。それに向けてまだまだ頑張んないと。優勝はもちろん目指したい。でもそんな簡単じゃない。富士山ではやっぱりまだ……。今日のステージで脚を残している人がまだまだいるんじゃないですかね。今日は天狗にならずに、頑張りたいです。(他のステージも)勝てるんだったチャレンジはしていきたいです」と答えた。

宇都宮ブリッツェンとしてはステージ優勝という快挙で喜ばしい一方、5周回目のKOMポイントを越えたテクニカルな下りで雨澤とダブルエースを張る増田成幸が落車に巻き込まれてしまった。

「(増田が)僕の二つ後ろにいたんですよね。僕の後ろの選手が落車して、それに増田さんが巻き込まれる形で……。去年も落車があったポイントだったんですけど、やはり落車が……。なんとなく下りが危ない選手がいると思っていたら、案の定こけたので。残念です」と雨澤。

右半身を擦りむいていた増田は、レース終了後、病院へ。明日のレースに出走しないことが発表された。

 

総合首位になったボレのコメント

NTN社のベアリングが入ったハンドスピナーをいじりながら質問に答えるボレ
NTN社のベアリングが入ったハンドスピナーをいじりながら質問に答えるボレ
総合のグリーンジャージを着て表彰台に上がるボレ
総合のグリーンジャージを着て表彰台に上がるボレ
ボレはステージで2位という結果に満足いっていない表情をしていたが、総合首位の証であるグリーンジャージを手にした。その感想としてこう答えた。

「今日は最後に総合のグリーンジャージを取ることができて嬉しいです。コンディションとして今日はとても暑かったので、最終的に逃げ切りはできないかなと思いましたが、先頭集団に食い込むことはできました。しかし、僕よりも速い選手がいたので、結果としては1位にはなれませんでした。まだ序盤のステージなので、こういうレース展開もありえるかなと思っています。」

バーレーンとしてどのようなプランで京都ステージに臨んだのだろうか。

「チームとしては、一人か二人がリーダーとして抜け出してしまうと、他が4人しか残らなくなってしまうので、レースをコントロールしていくのが難しいと考えていました。この後、いくつもステージが残っていますので、自分たちがコントロールする展開というのは今回望んではいなかったです。ただ、チーム全員そんなにタイム差が出ていないので、結果としてはいいポジションで終われたのではないかと思っています。」

明日以降のレースについて、

「個人的には何日間かジャージをキープしていきたいです。新城選手が勝てるようなチャンスも作っていきたいです」

と話した。

 
スプリント賞ジャージを着るのはステージ優勝を飾った雨澤
スプリント賞ジャージを着るのはステージ優勝を飾った雨澤
今日のステージで逃げに入って山岳ポイントを稼いだ草場がレッドジャージ
今日のステージで逃げに入って山岳ポイントを稼いだ草場がレッドジャージ
昨日と変わらず、新人賞のホワイトジャージはオリバー・ウッド(JLTコンドール)
昨日と変わらず、新人賞のホワイトジャージはオリバー・ウッド(JLTコンドール)
第2ステージ順位

1位 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン) 2時間49分29
2位 グレガ・ボレ(バーレーン・メリダ) +0秒
3位 マルコ・カノラ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +0秒


個人総合時間賞(グリーンジャージ)

1位 グレガ・ボレ(バーレーン・メリダ) 2時間52秒37
2位 マルコ・カノラ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +1秒
3位 イアン・ビビー(JLTコンドール) +4秒


個人総合ポイント賞(ブルージャージ)

1位 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン) 25pt
2位 グレガ・ボレ(バーレーン・メリダ) 20pt
3位 マルコ・カノラ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)  16pt


個人総合山岳賞(レッドジャージ)

1位 草場啓吾(日本ナショナルチーム) 8pt
2位 木村圭佑(シマノレーシング) 8pt
3位 コナー・ブラウン(チーム・イルミネート) 8pt


個人総合新人賞(ホワイトジャージ)

1位 オリバー・ウッド(JLTコンドール)
2位 ミッヘル・ライム(イスラエル・サイクリング・アカデミー)
3位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)


チーム総合順位

1位 JLTコンドール