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【TOJ第4ステージ速報】新城はDNS、集団スプリントでライムが美濃ステージを獲る
レース
2018.05.23
雨の降る美濃ステージでスプリント勝負
今日のステージは、バーレーン・メリダの新城幸也と日本ナショナルチームの武山晃輔が出走しないことがスタート前に発表された。新城は昨日の落車が原因で、大きなケガではないものの、大事をとって今日のステージを走らないという決断を下した。
パレードは、江戸時代初期の情緒が感じられる「うだつの上がる町並み」からスタート。「うだつ」とは屋根の両端を高くして火災の類焼を防ぐ防火壁を指し、当時は裕福な家にしか「うだつ」を造ることができなかった。なお、「うだつが上がる・上がらない」という言葉はこれに由来する。江戸時代の商人の町である美濃市にはこの「うだつ」が多く残っており、観光スポットの一つとなっている。
パレードスタートを切った87人の選手たちは4kmほど美濃市の町を進んだのち、21.3kmの周回コースを6周半する。今ステージは、TOJ全ステージの中で最長距離の139.4kmだ。獲得標高は1218mで、スプリントステージとされている。
リアルスタートを切り、逃げに乗りたい選手たちが次々とアタックするが、なかなか決まらず、逃げたい選手たちにとっては苦しい時間帯が続く。
半周を終えて一周目にできた5人の逃げグループには、昨日までの山岳賞ポイント上位3人を含んでいた。メイン集団とのタイム差は徐々に広がっていく。
レッドジャージを着る小石祐馬(チーム右京)に次いで、2位につける草場啓吾(日本ナショナルチーム)が2周目の2級山岳ポイントを1位で通過した。
メイン集団は、リーダージャージを持つバーレーン・メリダがメイン集団をコントロール。逃げとのタイム差は、最大で5分ほどまで広がった。
4周目、5人の逃げ集団は、KOM手前に差し掛かると、山岳ポイントを争う小石、草場、木村圭佑(シマノレーシング)の3人が牽制をし始める。集団とのタイム差が縮まるのを嫌った阿曽圭佑(愛三工業レーシングチーム)と新城雄大(キナンサイクリングチーム)の2人が先頭に出る。その2人につかずに小石のチェックに徹底した草場が先行した2人に続いてKOM3位で通過し、この日の山岳賞ジャージを獲得した。
最終周に入ると、バーレーン・メリダに代わり、ゴールスプリントに向けて集団スプリントに持ち込みたいチームがメイン集団前方でペースを上げる。KOMの上り始めで逃げが吸収されると、位置取り争いが始まった。
睦橋を渡って、ゴールラインまでは1kmのストレート。2車線分の道幅に各チームのスプリンターが横いっぱいに広がる。ラスト25mでミッヘル・ライム(イスラエル・サイクリング・アカデミー)とレイモンド・クレダー(チーム右京)が頭一つ抜き出た状態でゴールラインに飛び込み、これまでのステージ全て一桁台でフィニッシュしているライムがわずかな差で差し切った。
総合のグリーンジャージは、集団でゴールしたグレガ・ボレ(バーレーン・メリダ)がキープした。今日のステージでの日本人最上位は大久保陣(チームブリヂストンサイクリング)の4位だった。
集団スプリントを制したライムのコメント
「今日はとても寒い日でした。僕は寒いのが不得意ではないのですが、昨日は暑かったのでその気温差でやられてしまいました。雨も降っていましたし、コンディションが良くなかったです。ただ、チームの戦略が今日はうまくいって、チームとしてもステージ優勝できたことを嬉しく思っています。」
最終ゴールスプリントで気にしていた選手について聞かれると、
「気にしていたのはチームイルミネートです。というのは、実はチームに親友がいるんです。イルミネートは速い選手がいるというのを知っていたので警戒していました。バーレーン・メリダは、最後になって上がってこなかったので、自分の後ろについているんだなと思いました。僕のチームメイトが最終スプリントで前に出ていたので、自分をサポートしてくれていると思って、頃合いを見計らって前に出て、最後に勝利をあげることができました」と答えた。
グリーンジャージをキープしたグレガ・ボレのコメント
調子が下がってきているわけではないのか尋ねると、「もちろん調子が悪いわけではなく、寒さが原因で体が100%じゃなかったというだけです。なので、今日はあえてスプリントをせずにみんなについてゴールしました」と話す。
京都ステージのあと、6人で集団をコントロールするのは難しいという話をしていたボレだったが、今回のステージで新城を失って、5人になったことでさらに集団コントロールは難しくなったのではないだろうか。
「5人になってさらに集団コントロールするのが難しくなったと思います。もともと、6人でもレースをコントロールするのは難しいです。ユキヤは今回とても良いコンディションだったので、そのような優れた選手が一人抜けるというのはチームにとっても非常に大きな痛手です。
また、最後のスプリントではユキヤがずっとサポートしてくれていたので、サポート役の選手を欠いてしまったのは僕自身にとっても残念なことです。でも、グリーンジャージをここまでキープできたことは良かったと思っています。
ただ、TOJというのは富士山ステージで決まるようなところがあるので、僕自身が富士山ステージをトップの集団で上れるかどうかはクエスチョンです。もちろん優しくはないステージだと考えています。でも、そこでもしグリーンジャージをキープできないとしてもそれほど大きな問題ではないと僕は思っています」と貫禄を見せた。
山岳賞ジャージを奪還した草場啓吾のコメント
「僕と小石選手と木村選手が接戦だったので、逃げを作らないことには点が取れないのですが、3選手がマークしてくるのでなかなか逃げが決まらなくて、1時間くらい苦しい展開でした。ようやく決まったと思ったら3人ともいたので、これは3人でガチ勝負だなと思いました。
1回目の山岳賞のときはダラダラ牽制が入りました。自分は結構スプリントができると思っているので、そこは有利な展開で先行してそのまま5点取ることができました。そこで心にもゆとりができました。2回目の山岳賞は、山岳賞と関係ない2人が行った時に牽制が入ってしまって、2人に行かれてしまったんですが、小石選手に1点取られなければ自分が山岳賞というのが分かっていたので、小石選手だけをマークして、確実に1点取りに行って山岳賞を取ることができました。
最初の逃げが決まるまでにチームメイトにも支えられて、確実に逃げに乗ることができたので、チームメイトにも感謝して、また明日山岳ジャージということで、身を引き締めて頑張りたいと思います。」
山岳賞ジャージキープについては、
「僕らは1日1日を乗り切ることを目標にしていたので、とりあえず今はもう明日のことは特に考えていなくて(笑)。今晩チームでミーティングするときにしっかり話し合いたいと思います」と話した。
第4ステージ順位
1位 ミッヘル・ライム(イスラエル・サイクリング・アカデミー) 3時間23分59秒
2位 レイモンド・クレダー(チーム右京) +0秒
3位 マルティン・ラース(チーム・イルミネート) +0秒
個人総合時間賞(グリーンジャージ)
1位 グレガ・ボレ(バーレーン・メリダ) 9時間28分23秒
2位 マルコ・カノラ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +5秒
3位 ミッヘル・ライム(イスラエル・サイクリング・アカデミー) +8秒
個人総合ポイント賞(ブルージャージ)
1位 グレガ・ボレ(バーレーン・メリダ) 58pt
2位 マルコ・カノラ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) 55pt
3位 ミッヘル・ライム(イスラエル・サイクリング・アカデミー) 50pt
個人総合山岳賞(レッドジャージ)
1位 草場啓吾(日本ナショナルチーム) 15pt
2位 小石祐馬(チーム右京) 13pt
3位 木村圭佑(シマノレーシング) 10pt
個人総合新人賞(ホワイトジャージ)
1位 ミッヘル・ライム(イスラエル・サイクリング・アカデミー)
2位 サム・クローム(ベネロング・スイスウェルネス・サイクリング・チーム)
3位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)
チーム総合順位
1位 チーム右京