サーヴェロ・テクニカルセミナー「ブレインバイク」

講師としてプレゼンテーションを行なってくれたのは、サーヴェロ・アジア地区のセールスマネージャーのロバート・ヤング氏とRCAの開発に参加したエンジニアマネージャーのグラハム・シュライブ氏の２人。通訳を交えながらのプレゼンテーションとなったが、競争の激しいバイク業界の最前線を走り続けるマネージャーの言葉は熱を帯び、休憩をはさんで約２時間の解説はあっという間に過ぎた。

さて、今回のブレインバイクのメインは世界最軽量フレーム「R5ca」の後継、最新フレーム「RCA」の発表にある。午前中のプレゼンに続き、午後は実際にRCAの開発を手掛けたエンジニアマネージャーのグラハム・シュライブ氏が中心となって解説してくれた。

新たに採用された主なテクノロジーは「スクオーバル3」というフレーム設計。このフレーム形状はR5caに採用されている丸みを帯びた正方形の断面形状のフレーム形状「スクオーバル」を進化させたもの。現状ですら、軽量で剛性が高いこのフレームだが、サーヴェロはさらにそれを進化させるべく開発を続けスクオーバル3を生み出した。

 【写真上】スクオーバル3の形状が最も分かりやすいのがシートチューブ。後ろ側がカムテールに近い形状ではあるが、同グレードの他社モデルと比べてもエアロ効果が最も高いという。

通常、楕円形の断面をもつフレームはエアロ効果は優れているものの、剛性が低い。一方、正方形に近い断面のフレームは剛性に優れているものの、エアロ効果が低い。 スクオーバル3はその両方のいい面を取り入れ、楕円の後ろ側をカットオフしたような断面形状となっている。また断面はすべて均一の厚さになっているわけではなく、両サイドに当たる部分は厚みを持たせることで、強度を落とすことなく675g（R5ca）から、667g への軽量化を実現した。 これにより秒速で7.4ワット消耗を減らすことに成功しているという。 また乗り心地の追及もなされており、トップチューブで３％の剛性を高め、逆にBB周辺の剛性は３％低くしていることで全体的なバランスがよくなり、快適性が高まっている。

フレームセット価格：147万円

サイズ：48、51、54、56

フレーム重量：667g（フレームサイズ54の場合）

このフレームに乗ったスプリンターのタイラー・ファラーは「フレームの剛性が強くて、乗りやすいバイクだ」と語ったとか

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フォークにももちろん新しい技術が使われている。カーボンの上に薄い金属のコーティングを施す「パワーメタルナノヴェイト」という技術を採用。サーヴェロが世界で初めて成功したテクノロジーだ。

フレームセットに付属するフォークは280g。コラム部分にナノニッケルを巻き付けて強度アップを図っているが、強度が上がった分、芯になっているカーボンを薄くすることができる。結果として重量はそのままで、強度だけを高めることが可能になった。

世界最軽量のフレーム「R5ca」を開発し、業界をリードするポジションにあるサーヴェロ。その彼らがさらに軽量でエアロ効果も高いバイクを生み出す原動力になるものは何なのだろうか？　グラハム氏は語る。

「競合になりうる他社製のバイクと同条件（注：同じパーツ、同じボトルを2本）で比べた場合、前モデルの段階で、すでにエアロダイナミクスの数値で上回る結果が出ています。しかしサーヴェロの企業理念は『ロードバイクとトライアスロンバイクにおいて、常に業界のリーダーである』こと。これを忠実に守るため、私たちはさらに性能を高めたRCAを開発しました。新開発のスクオーバル３もすでにサーヴェロの代名詞となったBBライトも、リーダーであるために開発したものです。私たちはビーチクルーザーも、クロスバイクも作りません。常にレースシーンで輝けるバイクを作り続けるためにあるブランドなのです」

サーヴェロの代名詞BBライトを採用したハンガー周辺。BBの前方にあるマークのところにはクランクタイプのパワーメーター用のマグネットがあらかじめ装着されている。

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