小笠原崇裕がマヴィックのニューモデル3本をチェック!part 1 コスミックカーボン40C
●小笠原崇裕
MTB全日本選手権U23優勝、元MTB世界選手権日本代表。2012年まで6年連続エクステラ全日本チャンピオンなど数々の戦歴を誇る。自転車のほか、トレイルランニング、トライアスロン、ロードレース、アドベンチャーレースなどマルチに活躍する。
マヴィックの最新技術を集結して完成した”CC40C”
ホイールメーカーとして確固たる地位を築いているマヴィック。その製品づくりに多くのファンを持つ同社が、2014年モデルのメディア向け試乗会を、伊豆CSCにて開催。サイクルスポーツはテストライダーに「オガ」こと小笠原崇裕を迎えて、いち早く注目モデルのインプレッションをお伝えする。
マヴィックのカーボンクリンチャーリム「Cosmic Carbon 40C」(写真手前)。マヴィックでは、同社が納得する信頼性のあるカーボンクリンチャーリムを作るための大きな障壁として「熱」と「圧力」があった。
それは、ハードブレーキ時には温度が200度Cにも達するブレーキ面やパッド。そして、リムにかかる幾方向からもの圧力。チューブの空気圧や、路面からの衝撃、ブレーキキャリパーの力がそれだ。
これらをトータルで解決する方法として、カーボンリムの内側にアルミ製のリムベットを追加。これによって耐久性、放熱性、軽量化、ブレーキ面の平面性アップを果たしている。
カーボンリム自体にも、マヴィックならではの技術が使われている。ガラス転移点温度の異なる2種類のレジンの組み合わせと、特殊処理を施したTgMAXテクノロジーによって、耐熱性をアップ。さらにウエット時でもブレーキ効率を最大化させている。ニップル穴が無い事により高いリム強度があり、リムテープが不要な構造により軽量でもある。
最強のオールマイティーホイール
パッと見ただけではリムの形はオーソドックスでリム幅が広くは無く、尖ったとまではいかないもののリムの最後の部分は細く仕上げられている。
走り始めて最初に感じたのは、足への跳ね返りの優しさ。足にカツ~ンと硬い踏み味が伝わってこない事が好印象。マヴィックが「もっとも多様なニーズに応えることができるカーボンクリンチャーホイール」というだけあり、プロライダーやバリバリなレーサーの為の究極の性能のホイールというわけではなく、ファンライダーがデイユースに安全にライディングできるような作り込みがされている。
特に安全面という部分ではTgMAXテクノロジーによってブレーキの効きが非常に安定している。修善寺CSCのコースでハードブレーキングを繰り返し、リム温度が上昇している場面でもレバータッチがほとんど変わらずにレバーの引きと効きがしっかりとリンクしていた。
今回は雨の中でのテストは行えなかったが、ウェット時でもブレーキの効きが一定で安定しているとの説明だったので、雨中でのテストも是非行ってみたい。
高速ダウンヒルでの挙動の安定のよさも挙げられる。細かなハンドル操作がそのままリニアにホイールに伝わって反応するのではなく、半テンポ遅れてのゆったりとした反応を見せるので、路面のつなぎ目や急な横風にも煽られ感が出にくく、神経を尖らせて乗る必要がない。
上りでの走りの軽さは40T等の重量面で軽量なホイールに一歩譲ってしまうものの、踏み込み過ぎないように綺麗な回転を意識して走ると踏み味の柔らかさが活きて、少しバネ感のある進み方を見せてくれた。完全な山岳コースでは厳しいかもしれないが、ロングライドを高速で走り抜けるにはもってこいのホイールだ。