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JAL自転車クラブ試走会in青森レポート 前編

日本航空(以下JAL)は今年4月から青森県や津軽半島フェリーなどと協力し、サイクリスト向けに「JALダイナミックパッケージ」を売り出した。それに伴い6月9日、10日の2日間、JAL自転車クラブが青森県内を試走し、サイクリスト目線から、青森のサイクリング事情を体感し、その課題などを探った。

今回、編集部・西村がその試走に完全密着。その模様を2回に分けてお届けしよう。

 
text●西村裕貴 photo●吉田悠太

青森の2つの空港を結ぶルート



現在、自治体をあげてサイクリストにとって走りやすい環境づくりを目指している青森県は、昨年よりサイクルスポーツで展開している連載企画「青森いくべぇ」でもおなじみのスポット。今回は昨年4月に結成されたばかりのJAL自転車クラブが、県内を自転車で試走すると聞き、編集部・西村が随行した。

青森の空の玄関は、青森空港と三沢空港の2カ所あり、東京からはいずれの空港へもJAL便が就航しており、1時間半程度のフライトでアクセス可能。今回のツアーでは、青森空港をスタート地点とし三沢空港をゴールとする2日間約200kmの行程が組まれた。

 
スタート地点の青森空港へは、ボーイング737で到着。羽田空港で預けた自転車が空港係員によって手渡しされる
スタート地点の青森空港へは、ボーイング737で到着。羽田空港で預けた自転車が空港係員によって手渡しされる
青森に到着して自転車を組み立てたら、まずは集合写真。立派な部旗には、自転車のホイールとともにJALの鶴丸マークをモチーフにした尾翼が描かれている
青森に到着して自転車を組み立てたら、まずは集合写真。立派な部旗には、自転車のホイールとともにJALの鶴丸マークをモチーフにした尾翼が描かれている

「青森県の魅力を伝えたい」

今回の試走会が実施された背景はいったいどういうものだったのか?JAL自転車クラブの部長である大橋 篤さんにJAL自転車クラブが今回試走会を実施した経緯を聞いた。

Q:JAL自転車クラブが作られた経緯を教えてください。

大橋さん:「会社の中に文体部と呼ばれるクラブがあるんですが、3年くらい前に私が自転車のクラブを作りたいと話していた。それがキッカケで賛同者が集まり、最初は20人で去年の2月に登録して、4月くらいから実際の活動を始めています。現在部員は50人います。」

Q:普段はどのような活動をされているのですか?

大橋さん:「実際の活動は、公式行事等は決まってないですが、3回、春、夏、秋のつくばサーキットのエンデューロ8時間耐久に毎年出ています。それからツール・ド・東北、榛名山ヒルクライム、佐渡ロングライド210km、ロングライド系に参加しています。」

Q:今回、青森でサイクリング試走会を実施したきっかけは?

大橋さん:「先代の副社長が、青森県がサイクルツーリズムに力を入れているという話を耳にして、我々に何かできないか?と持ちかけたことがきっかけです。JAL自転車部の部員と青森支店長が同期入社という縁もあり、JALの青森支店が企画をして、青森県サイクルツーリズム協会に支援をいただくことで今回の試走会が実現しました。JALの自転車クラブとして試走をして、サイクリストの視点からこのツアーだったり、注意するポイントや青森県の魅力についてお伝えすれば、青森が自転車乗りにとってもっと来てもらいやすい県になるのではないかということで、今回走らせてもらうことになりました。」

 
JAL自転車クラブ部長の大橋篤さん(写真右)は、ボーイング767の機長。松井彩さん(写真左)は現役のCA。自転車を始めてまだ1年足らず。女性目線から青森の魅力を探ってくれた。
JAL自転車クラブ部長の大橋篤さん(写真右)は、ボーイング767の機長。松井彩さん(写真左)は現役のCA。自転車を始めてまだ1年足らず。女性目線から青森の魅力を探ってくれた。

青森空港から津軽海峡フェリーへ

初日はあいにくの天気。本来なら、青森空港から青森市内へ向かい、夏泊半島を一周して青森市内へ戻る約90kmの行程を組んでいたが、天候を考慮してルートを大幅に縮小した。この日、実際に走行したのは青森空港から津軽フェリーターミナルに至る約15kmの道のりで、晴れていれば左手に岩木山、右手に八甲田山が見える最高のロケーションだという。

 
一行は青森空港を出発。あいにくの雨で本日は約20km先の津軽海峡フェリーターミナルを目指す
一行は青森空港を出発。あいにくの雨で本日は約20km先の津軽海峡フェリーターミナルを目指す
青森空港から市街へ向かう道は下り基調で、路肩も広いため走りやすい
青森空港から市街へ向かう道は下り基調で、路肩も広いため走りやすい


JALではウエブを使って宿泊と航空券がセットで予約できる「ダイナミックパッケージ」という商品を展開しており、サイクリスト向けのプランとしては、大分県を皮切りに、今年4月から青森県で商品化が実現している。また同プランでは、航空券と宿泊施設を自由に組み合わせる個人向けツアー商品のひとつとして、津軽海峡フェリーを使って青森と北海道を結ぶサイクリングプランもオプションとして設定可能。それに伴い、津軽海峡フェリーの見学会も行われた。青森~函館間は1日8往復で片道3時間40分。時期によって運賃に変動はあるものの、2等船室であれば3450円~(自転車運賃込み)利用できる。

本日のサイクリングはここで終了。本来まわる予定のルートはクルマで視察した。

問●津軽海峡フェリー 青森フェリーターミナル 
住所:青森市沖館2ー12-1 
TEL:017・766・4733 
http://www.tsugarukaikyo.co.jp

 
津軽海峡フェリーターミナルに到着。このゲートで自転車に乗ったままチェックインも可能
津軽海峡フェリーターミナルに到着。このゲートで自転車に乗ったままチェックインも可能
船に乗り込む際、自転車はクルマと同じスペースに収納される。バラすことなく、預けられるためラクチン
船に乗り込む際、自転車はクルマと同じスペースに収納される。バラすことなく、預けられるためラクチン

夏泊半島でホタテを堪能

青森市から国道4号線を東に20km程度進むと、本日の昼食場所「ホタテ広場」に到着。 ホタテ広場のある平内町は、育成ホタテ水揚げ日本一の町。こちらの名物はホタテをふんだんに使った「平内ホタテ御膳」だ。平内ホタテ御膳」は活ホタテの刺身、活ホタテのステーキ、ベビーホタテ寿司、ベビーホタテすまし汁、そしてデザートのホタテアイスまでついて1200円(税込)というから驚き。

問●ホタテ広場 
住所:東津軽郡平内町大字土屋字鍵懸56
TEL:017・752・3220 
http://www.hotate-hiroba.com

ホタテ広場ではサイクリスト向けに設置された。「AOMORI PEDAL REST」という看板を発見。この看板があるスポットには自転車用のラックがあるほかに、フロアポンプや携帯工具のセットなどが完備。青森県内の100カ所以上の施設にあり、今回走ったルート沿いの施設にも多く設置してあった。

 
JALの現役CAのふたりもホタテづくしに大満足
JALの現役CAのふたりもホタテづくしに大満足
「AOMORI PEDAL REST」は青い看板が目印。なんとバイクラックは青森ヒバで出来ている
「AOMORI PEDAL REST」は青い看板が目印。なんとバイクラックは青森ヒバで出来ている


夏泊半島は陸奥湾の中央に突き出た小さな半島で、一周50kmほどでまわれてしまう。半島の先端にある大島は、晴れていれば陸奥湾を一望できる絶景が見られる。夏泊半島をぐるりと一周する県道9号線、通称”夏泊ホタテライン”は道と海の間を遮る障壁が少なく、半島を時計まわりに進めば、海沿いスレスレを走ることができる快走路だ。

夏泊半島を後にし、青森の奥座敷「浅虫温泉」に向かう。この浅虫温泉は平安時代後期の1190年に開湯をしたという言い伝えがある古湯で、布を織る麻を蒸すためだけに使われていたところから麻蒸温泉とも呼ばれていたそうだ。足湯のそばには、温泉たまご用の窯が設えてあり、卵を用意すれば、トロトロの温泉たまごも食べられるぞ。

問●浅虫温泉観光協会 
住所:青森市浅虫蛍谷341-19 
TEL:017・752・3250
http://www.asamushi.com/ryokan/index.html



ルートはこちら

 
夏泊半島の大島を望む、大島へは渡し橋が続いており、突端の灯台からは陸奥湾を一望できる
夏泊半島の大島を望む、大島へは渡し橋が続いており、突端の灯台からは陸奥湾を一望できる
浅虫温泉の足湯は45度近くある。ここで冷えた足をしっかりと温めよう
浅虫温泉の足湯は45度近くある。ここで冷えた足をしっかりと温めよう


後編は、青森市から八甲田山麓を経て三沢市へと至る青森縦断ルートを紹介する。

JALツアーの行程(1日目)マップ