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奇抜なデザインとレーシーさを両立「フィブラネクスト」登場!カレラ2019モデル発表会レポート

かつて名クライマーのクラウディオ・キャプーチが駆り、数々の勝利を掴んだバイクブランド「カレラ」。同社のラインナップの中でも、その特異なフレーム形状で一際ロードバイクファンの間で記憶に残るバイクが「フィブラ」だろう。

その第4世代目にあたる「フィブラ ネクスト」が、カレラ2019モデルとして発表された。カレラの国内代理店「ポディウム」が新たに取り扱いを開始した小径車「ステインサイクルズ・ペグ」などとともに紹介する。

 
text&photo:江里口恭平

これまでのフィブラシリーズの集大成

「フィブラネクスト」フレームセット価格/28万円(税抜)
「フィブラネクスト」フレームセット価格/28万円(税抜)
トップチューブとシートステーを繋ぐラインは快適性をになう「コンフォートアーチ」、対してダウンチューブとチェーンステーは「パワーアーチ」として剛性を担う、ダブルアーチ構造を採用
トップチューブとシートステーを繋ぐラインは快適性をになう「コンフォートアーチ」、対してダウンチューブとチェーンステーは「パワーアーチ」として剛性を担う、ダブルアーチ構造を採用

ダビデ・ボイファーバ氏が、自身の経験に基づいた「レース」血統を、1989年より受け継ぎ続けてきたイタリアンブランド・カレラ。

その中でも10年前に登場した「フィブラ」は、当時周囲がオーソドックスなダイアモンドフレーム一色だった時代において、見る者に衝撃を与えるようなフレーム形状を採用していた。それはトップチューブからシートステーまでが弓なりに一直線で貫かれるというもの。

カーボンフレームにおいてのみ与えられた自由な設計思想に基づく、このアイディンテティとも言える形状は、もちろんこの4代目にあたる「フィブラ ネクスト」も踏襲した。
 
フロントブレーキはダイレクトマウントを採用するなど、よりエアロダイナミクス効果を高めたフロントフォーク部。最大28C幅のタイヤを装着できる
フロントブレーキはダイレクトマウントを採用するなど、よりエアロダイナミクス効果を高めたフロントフォーク部。最大28C幅のタイヤを装着できる
リッチー製のオリジナルシートポストとフレームの接合部には樹脂カバーが入る。ポストの固定はトップチューブ内部に設けられた固定部により行うことで、よりシームレスな外観に
リッチー製のオリジナルシートポストとフレームの接合部には樹脂カバーが入る。ポストの固定はトップチューブ内部に設けられた固定部により行うことで、よりシームレスな外観に
ドライブトレイン側と反対側のバランスされるよう、チェーンステーは左右非対称の形状
ドライブトレイン側と反対側のバランスされるよう、チェーンステーは左右非対称の形状

この特異な弓なり形状は、単に「奇抜さ」というデザイン面のみを重視して作り出されたわけではない。

ライダーのパワーをバイクに伝えるために、剛性を確保するダウンチューブからチェーンステーまでを「パワーアーチ」。そして乗車時に高いハンドリング性能と快適性を生み出す、トップチューブからシートステーにかけてを「コンフォートアーチ」として、その二つの組み合わせ「ダブルアーチ」という発想を採用することで、「ジオメトリーに柔軟性をもたらし、通常のダイアモンドフレーム形状よりもはるかに快適な走行性能を手に入れた」(カレラ・プロジェクトマネージャーのルチアーノ・バラキ氏談)と、機能とデザインを両立した形状であるのだ。

そしてこのフィブラネクストは、第一作の「フィブラ」、そして「フィブラ2」、「フィブラエボ」と前作たちのいわば"集大成"としてまとめ上げられたバイクであり、その性能はカレラのセールスマネージャーであるマルコ・カンパニョーニ氏曰く「レースに求められる性能を手に入れた」のだという。

それはこの形状ながらUCIルールに則っていることや、エアロダイナミクスを意識したフレームの細部から見て取ることができる。

快適性とともにレーシーさを手にしたフィブラネクストは、短距離のクリテリウムももちろんだが、イタリアをはじめとした各国で盛んなロングディスタンスレース「グランフォンド」で十分に真価を発揮できるように仕上がった。




Spec.
「フィブラネクスト」
フレームセット価格/28万円(税抜)
フレームサイズ/XS、S、M、L、XL
カラー/A9-171(レッド)、A9-172(ブラック)、A9-173(ブルー)

 

カレラブランドのロードホイールも登場

レッドカラーのフレームが履くホイールがそれにあたる。コストパフォーマンスの高さも注目(チューブラー価格/14万円、クリンチャー価格/15万円・ともに前後セット、税抜)
レッドカラーのフレームが履くホイールがそれにあたる。コストパフォーマンスの高さも注目(チューブラー価格/14万円、クリンチャー価格/15万円・ともに前後セット、税抜)
パフォーマンス面でこれが最も最適だった、という理由から前後ハブにはシマノ・デュラエース9000系のハブを使用する
パフォーマンス面でこれが最も最適だった、という理由から前後ハブにはシマノ・デュラエース9000系のハブを使用する
カーボンリムはチューブレスレディ/クリンチャータイプとチューブラーの2タイプ。またリムハイトは25、35、45(mm)をラインナップ予定
カーボンリムはチューブレスレディ/クリンチャータイプとチューブラーの2タイプ。またリムハイトは25、35、45(mm)をラインナップ予定

フィブラネクスト以外の注目モデル AR01、ヴェレーノライト

エアロロード「AR01」(フレームセット価格45万円・税抜〜)は専用のハンドルステムを採用し高いエアロダイナミクス効果を得る
エアロロード「AR01」(フレームセット価格45万円・税抜〜)は専用のハンドルステムを採用し高いエアロダイナミクス効果を得る
手前の「ヴェレーノ ライト」はカーボンの接着方法を調整する事で高いコストパフォーマンスを実現したレースバイク(フレームセット価格/9万8000円・税抜)。その他にもカレラ各モデルが一同に会した
手前の「ヴェレーノ ライト」はカーボンの接着方法を調整する事で高いコストパフォーマンスを実現したレースバイク(フレームセット価格/9万8000円・税抜)。その他にもカレラ各モデルが一同に会した

AR01に採用されていたステム&ハンドルが改良され、フィブラネクストなどにも使用可能に

今回の発表会では3Dプリンターによるモックでの公開だったが、このフィブラネクストと併せて開発されたカレラオリジナルのハンドル・ステムも発売が予定されている
今回の発表会では3Dプリンターによるモックでの公開だったが、このフィブラネクストと併せて開発されたカレラオリジナルのハンドル・ステムも発売が予定されている
専用ハンドル・ステムはワイヤリングなどがより見直されており、ステム後端よりワイヤを出すことでより高いエアロ効果を実現しつつ、ハンドリングを妨げない
専用ハンドル・ステムはワイヤリングなどがより見直されており、ステム後端よりワイヤを出すことでより高いエアロ効果を実現しつつ、ハンドリングを妨げない

走りを追求した小径車。「ステインサイクルズ ・ペグ」

「ペグ・ロード」フレームセット(ホイールセット付属)価格/19万8000円(税抜)
「ペグ・ロード」フレームセット(ホイールセット付属)価格/19万8000円(税抜)
「ペグ・シングルスピード」完成車価格/17万6000円(税抜)
「ペグ・シングルスピード」完成車価格/17万6000円(税抜)
5mmの六角レンチ一本でサドルやハンドルステムを組み立て・分解できることにより、特別な変形機構を挟むことなくコンパクトにすることができる。輪行など持ち運びに便利な「走るバイク」だ
5mmの六角レンチ一本でサドルやハンドルステムを組み立て・分解できることにより、特別な変形機構を挟むことなくコンパクトにすることができる。輪行など持ち運びに便利な「走るバイク」だ
これまで「BD-1」をはじめとした数多くの小径車の開発に携わってきた、 ベルギーのステイン・デフェルム氏が立ち上げたバイクブランドの「ステインサイクルズ」が新たに発表したのが「ペグ(Peg)」。

20インチの小径車ながら、700Cのロードバイクに匹敵する走りを目指して開発されたこのモデル。十分な軽量さと剛性が確保できるということから、素材はアルミフレームを採用。また、ハンドルやシートポストなどが全て5mmの六角ボルトで固定されていることから、輪行して運ぶ際にはひとつの工具でバイクをコンパクトにすることもできる。

キャリパーブレーキタイプだけでなく、フラットマウントのディスクブレーキ台座を備えたフレームも用意されているので、自分の好みにあわせて小径ロードバイクを組めるのもポイントだろう。

販売時には輪行時にも活用できるバイクカバーや、固定用のバンドも付属する。輪行など持ち運びと、実際の走りを、特殊な機構を加えることなくシンプルに両立したペグは、小径車マニアだけでなくロードバイク乗りにもマッチする。
 

ガエルネ&セラサンマルコ

シューズブランド・ガエルネのトップレンジモデル「Gスティロ」は蛍光カラーやアンスラサイトなどの新色が登場
シューズブランド・ガエルネのトップレンジモデル「Gスティロ」は蛍光カラーやアンスラサイトなどの新色が登場
同じくイタリアのサドルブランド・サンマルコも蛍光カラーが発表された。名作「コンコール」もこのカラーをまとうことで、従来は黒など単色ばかりだったサドル部でもより多彩にカラーコーディネートできる
同じくイタリアのサドルブランド・サンマルコも蛍光カラーが発表された。名作「コンコール」もこのカラーをまとうことで、従来は黒など単色ばかりだったサドル部でもより多彩にカラーコーディネートできる
「ショートフィット」はその名の通りサドル先端を短くすることで、アグレッシブなポジションを維持しやすくする。特別なパターンを採用したチームカラーとともに蛍光カラーがラインナップ
「ショートフィット」はその名の通りサドル先端を短くすることで、アグレッシブなポジションを維持しやすくする。特別なパターンを採用したチームカラーとともに蛍光カラーがラインナップ
発表会にあわせて、左よりカレラ社長のダビデ・ボイファヴァ氏、元プロロードレーサーのクラウディオ・キャプーチ氏、セールスマネージャーのマルコ・カンパニョーニ氏が来日。詳細インタビューは本誌7月号にて
発表会にあわせて、左よりカレラ社長のダビデ・ボイファヴァ氏、元プロロードレーサーのクラウディオ・キャプーチ氏、セールスマネージャーのマルコ・カンパニョーニ氏が来日。詳細インタビューは本誌7月号にて

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