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第3回ツール・ド・とちぎを制したのは最終ステージを制したチーム右京のクレダー!
レース
2019.03.24
総合優勝に向けてボーナスタイムの奪い合い
3月24日(日)、ツール・ド・とちぎもあっという間に最終日を迎えた。スタート地点の那須烏山市は、気温は低いものの綺麗な青空が広がっていた。
81名の選手たちは多くの観客が集まったJR烏山駅を午前10時にスタートし、147.5kmの道のりを経てフィニッシュ地点の足利市総合運動公園へと向かった。獲得標高は1400mほどだが、同じほど下る。
2日目を終えて、10秒以内に12人の選手たちがひしめく僅差の戦いとなった。しかも上位はほとんどがスプリンターだ。
3日目のコースではスプリントポイントが2つ設けられた。スプリントポイントで取れるボーナスタイムと、フィニッシュでのボーナスタイムで総合優勝が決まるスプリンターたちに向けた戦いの場となった。
スタートから約30kmほどのさくら市総合公園に設定されたスプリントポイントでは、総合でトップから8秒差につける岡篤志を擁する宇都宮ブリッツェンが隊列を組み、ボーナスタイム獲得に乗り出す。だが、岡が隊列からはぐれてしまったことで、チームメイトの鈴木龍が1位でスプリントポイントを通過。
2位は5秒差につけていたレイモンド・クレダー(チーム右京)が取り、-2秒を獲得した。
スプリントポイントを終えて、山本元喜(キナンサイクリングチーム)ら6人の逃げが決まる。
その中には、「失うものは何もないので、逃げに乗せる」とシマノレーシングの野寺秀徳監督がレース前に明言したとおり、前日のステージで山岳ポイントを5ポイント獲得していた木村圭佑も入っていた。
2つの山岳ポイントのうち、一つ目は山本が1位通過。2位に日本大の佐藤健、3位に木村と続いた。
2つ目の山岳ポイントでは、逃げグループから木村がポイントを獲得しようと早めの抜け出し。
だがメイン集団も山岳リーダージャージを持つオリヴァーズリアルフードレーシングが最後の山岳ポイントを取るべく追走をかける。
山岳ジャージを着るアンガス・ライオンズ(オリヴァーズリアルフードレーシング)は、メカトラで一瞬遅れるが猛烈な追い上げを見せて、そのまま山岳ポイントを1位通過。山岳ジャージを確定させた。
最終ゴールスプリントに託された総合争い
二つ目の山岳ポイントで総合3位につけているベンジャミン・ダイポール(チームサプラサイクリング)がライオンズの後ろから飛び出す。そのまま下りで集団と差をつけた。独走でスプリントポイントも通過。ボーナスタイムー3秒を獲得し、バーチャルでのリーダーに返り咲く。
しかしリーダーチームのマトリックスパワータグが単独の抜け出しを許すはずがなかった。リーダー総合上位につける総勢9人の有力勢が追走をかけ、ダイポールを吸収。最終ゴールスプリントにステージ優勝だけでなく総合の勝負も委ねられた。
リーダーチームのマトリックスパワータグが3枚、チーム右京が2枚とカードを揃えた。それ以外のチームは単騎だったものの、波状攻撃を仕掛けるわけではなく最終スプリント一本に焦点を絞る。
ブリッツェンから唯一入った岡は、「少人数のスプリントで脚使っている状態であればチャンスはゼロじゃないかなと思っていました。複数人のせているチームが逃げ切るためにみんなが力を使ってくれる展開だったので、その隙をつけるんじゃないかなと思ったんですけど、力及ばずっていうところですね」と話す。
最終コーナーでフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)から発射された総合リーダージャージのオールイス・アルベルト(マトリックスパワータグ)。ステージ勝利と総合優勝の座まであと少しのところだったが、コーナーのイン側に控えていたクレダーが伸びを見せ、全てを掻っ攫っていった。
リーダージャージ・山岳ジャージ獲得者コメント
山岳賞ジャージを獲得したライオンズは、「今日は赤いジャージをキープするべく戦いました。メカトラブルなどもあって、パニックもありましたがチームメイトに助けられて、二度目の山岳ポイントを取ることができました。
もともとのプランは前半に逃げを作ることでしたが、最後の山岳ポイントを取れれば山岳賞を獲得できるということでプランを変更してチームでまとまって取りに行きました」と話す。
第3ステージのステージ優勝、総合優勝、ポイント賞と、取れるものを全て獲得したクレダーはこう話す。
「僕はスプリンターなので自分にとっては厳しいコースでした。特に後半がきつかったです。前半はチームが一丸となってサポートしてくれました。チームのサポートのおかげで体力の消耗を抑えられました。
逃げに入った時、トップから一度落ちかけたんですが、下りで追いついて最後に勝つことができました。今日の結果は非常にうれしく、満足しています」
明日には母国オランダに帰ると話したクレダーだが、ツアー・オブ・ジャパンには参戦予定とのことだ。
今回のツール・ド・とちぎは第2、3ステージでは風が強く選手たちを苦しめた。しかし、風が強いでおなじみのオランダ出身ということでクレダーは、
「僕はオランダの出身なので、風には慣れています。日本に来る前もオランダのレースに出たんですが、それも風の強いレースでした。風はどちらかというと好きです。なので、今回のレースはあまり気にならなかったです」と笑った。
1位 レイモンド・クレダー(チーム右京) 3時間35分27
2位 オールイス・アルベルト・アウラール・サナブリア(マトリックスパワータグ) +0秒
3位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +0秒
総合成績
1位 レイモンド・クレダー(チーム右京) 6時間17分33
2位 オールイス・アルベルト・アウラール・サナブリア(マトリックスパワータグ) +2秒
3位 ベンジャミン・ダイポール(チームサプラサイクリング) +7秒
ポイント賞
レイモンド・クレダー(チーム右京) 51pt
山岳賞
アンガス・ライオンズ(オリヴァーズリアルフードレーシング) 14pt
U23
ライアン・シュルト(オリヴァーズリアルフードレーシング)
チーム総合
マトリックスパワータグ
text&photo:滝沢 佳奈子