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2019全日本、男子ジュニアは津田、女子ジュニアは岩元がタイトル獲得
レース
2019.06.28
![序盤、集団から抜け出す前に動きを見せていたのも渡部、岩元の両名だった 序盤、集団から抜け出す前に動きを見せていたのも渡部、岩元の両名だった](https://old.cyclesports.jp/sites/default/files/styles/layout_image_sneak/public/72KS7862.jpg?itok=z2ZMsMsw)
![逃げた二人は淡々と踏み続け、集団とのタイム差を広げていった 逃げた二人は淡々と踏み続け、集団とのタイム差を広げていった](https://old.cyclesports.jp/sites/default/files/styles/layout_image_sneak/public/72KS7916.jpg?itok=n8fkBgGr)
![女子ジュニアのチャンピオンは岩元、U17のジャージは2位に入った渡部が手にした 女子ジュニアのチャンピオンは岩元、U17のジャージは2位に入った渡部が手にした](https://old.cyclesports.jp/sites/default/files/styles/layout_image_sneak/public/72KS8238.jpg?itok=5J00Y8i4)
昨日の雨模様とは変わり、雲は多いものの時折日が差し込むほど安定した気候となった。朝8時、まず出走したのは女子ジュニア+U17。5周回の全54kmで争われた。
レース中盤に渡部春雅(駒澤大学高校)が先に仕掛け、それに唯一つく形で岩元杏奈(日本体育大)が抜け出すと、集団で追うことができる面子はいなかった。メイン集団とのタイム差は36秒から徐々に広がり、最終周には2分差にまで広がった。
最終ホームストレートで牽制をしながらも岩元がスプリント力を発揮。ゴールラインを一番に切った。
岩元は、「勝ちたい欲がすごくあったので、それが結果に現れて良かったです」と笑顔を見せた。スプリント力にも定評がある岩元だったが、不安材料があったそうだ。
「スプリントいつも早駆けして負けているので、ちょっと強張ってしまって、相手U17の子なのにあんなに牽制してスプリントをしたっていう感じでした。自転車競技は来年からが重要なので。アンダー、エリートになっても活躍し続けられる選手になれたらなと思っています」と振り返る。
昨日のTTも制している岩元は、昨年まではトラック短距離種目をメインに活動していた。しかし、昨年の11月に短距離では勝てないと感じ、中・長距離で活躍する周りの選手たちに感化された。
「自分もああいう風になりたいなっていう気持ちが本当に強くて中長距離に移行しました」と話す岩元は、この全日本選手権に向けて準備もしてきた。
「スピードウェイっていうことで、上りがあることを想定して、スプリンターだけど最後残るためには上れないといけないので、上れるスプリンターになれるように準備をしてきました」
来年からはU23のカテゴリーに移行する。来年に向けてこう語った。
「全日本もそうですし、日本代表としてもジュニアからアンダーに上がれるように、国内でも海外でも勝てる選手になれたらなと思っています」
男子U17+U15、榛生昇陽高のワンツー勝利
午前10時5分からスタートした男子U17+U15カテゴリーは、6周回で争われた。逃げができては吸収という展開が繰り返され、集団スプリントになると思われたが、最終周の残り6km地点の上りで岩田聖矢(榛生昇陽高校)が仕掛け、独走に持ち込んだ。メイン集団とのタイム差は10秒程度と拮抗したが、そのタイム差をほぼ保ったままホームストレートに姿を見せ、ジャージを指差してから大きく両手を掲げた。
後方の集団でも同チームの山下虎ノ亮が頭を取り、1、2フィニッシュを飾った。
岩田は、レースをこう振り返る。
「今日はそんなに上りが短くて、あんまり僕の得意なコースではなかったです。コーナーもそんなに得意ではないので。それで勝てるか不安だったんですけど、逃げに持ち込めれば勝てると思っていました。出来るだけ序盤の方で何人かで逃げて、後半で一人で抜け出すっていうのが理想だったんですけど、なかなか逃げが決まらなくて。ラスト1周までもつれ込んだんですけど、最後の上りが結構ペースが上がっていて、みんなしんどそうだったのでここならいけると思って一人で仕掛けて抜け出せました」
集団で先頭ゴールを切った山下はまだ1年生で、レースを一緒に走ったのはたった1回のみだったという。「潰し合いだけはしないようにという感じで」と事前の作戦はほとんどなかった。
今日が高校の顧問の先生の誕生日ということで前日のミーティングでは、「明日ちょっと頑張ってくれよ」と発破をかけられていた。しかも奈良県に2校ある自転車競技部の顧問がたまたま二人とも同じ誕生日だったそうで、「いつもお世話になっていたので、恩返しができたかなと思います」と岩田ははにかみながら話した。
次の目標について、「強化指定選手に上がって、今は育成なんですけど、ジュニアに上がった時にしっかり世界でも戦えるようにTT能力を上げていきたいです」と話した。
午後12時15分より始まった男子ジュニアは、160人と非常に多くの人数がスタートラインに立った。昨年U17カテゴリーを制した津田悠義(三好高校)は今年ジュニアカテゴリーに上がった。スタートラインの先頭真ん中で待機する津田にはすでにオーラが漂う。
序盤は寺田吉騎(ビバーチェ掛川・磐田北)と五十嵐洸太(横浜高校)の二人逃げが形成されたが、それも中盤にかけて吸収。代わりに飛び出したのが、津田、川野碧己(慶應義塾大)、仮屋和駿(日本大)の3人。仮屋が途中でドロップし、津田と川野の二人となった。メイン集団はタイム差を埋めようとペースを上げるものの、タイム差はなかなか縮まらなかった。
二人になった後も津田は、短い上りなどで川野が後ろにつきにくいように、かつ自身が脚を使わないように勢いを使って走り、着実に川野の脚を削っていった。
周回数を重ね、ラスト2周のおよそ残り6km地点の上り。ついに川野がたれたのを確認して津田が早めの仕掛けをした。そしてそのままタイム差を広げていった。
ラスト2周で独走に持ち込んだ津田はそのまま後ろにおよそ2分もの差をつけて優勝した。
津田は、「僕はヨーロッパでロードレースをすることを目指していて、それに向けて積極的な展開にしないといけないと思っていました。攻め続けた結果、うまいこと抜け出せて最後は独走に持ち込めたので良かったです」と話す。
シーズン序盤には日本代表メンバーとして海外遠征にも向かった。しかし、世界最高峰レベルの戦いの場であるネイションズカップでは勝負に加わるどころか何もできずに終わった。
「洗礼を受けたというか……、やはりここで満足するんじゃなくて世界でもしっかり通用するように、自分の中で何が必要かをしっかり明確にしてトレーニングを積んでいきたいです」と先を見つめる。
また、日本のレースの現状についてこう話した。
「自分が言うのはまだ恐縮なんですけど、日本のレースっていうのは消極的な展開になってしまうので、みんながどんどん仕掛けあって、どんどん厳しい展開にしていくようなレースに、自分を筆頭にしていきたいと思います」
1か月後にはベルギーとフランスへの遠征も控える津田。
「そこでしっかり結果を出して、今年の目標としては世界選手権でなんとしてでも日本人として何かを残したいなと思っています」
津田がどんな結果を持ち帰ることができるか今から楽しみだ。ジュニア世代の吸収力は凄まじい。だが一方で、ジュニア世代は強さを見せる日本だが、その上のカテゴリー、U23やエリートで世界を狙うには果てしなく遠い。ヨーロッパなどの強豪国とまったく同じ仕組みづくりが日本でできるとは考えにくい。しかし、津田のようなタレントが伸びているうちにさらにその先へのステップアップへの仕組みづくり、その手段についても改めて考えていく必要がありそうだ。
第88回 全日本自転車競技選手権大会ロード・レース リザルト
女子ジュニア+U17(10.8kmコース×5周=54km、出走者28人、完走者11人)
1位 岩元杏奈(日本体育大) 1時間37分38秒
2位 渡部春雅(駒澤大学高校) +1秒
3位 内野艷和(祐誠高校) +2分17秒
男子U17+U15(10.8kmコース×6周=64.8km、出走者78人、完走者24人)
1位 岩田聖矢(榛生昇陽高校) 1時間40分49秒
2位 山下虎ノ亮(榛生昇陽高校) +6秒
3位 篠島瑠樹(福井自転車競技連盟) +6秒
男子ジュニア(10.8kmコース×11周=119km、出走者160人、完走者24人)
1位 津田悠義(三好高校) 3時間4分5秒
2位 天野壮悠(千里高校) +1分53秒
3位 大河内将泰(南大隅高校) +1分54秒
https://www.jpnc.biz/
1位 岩元杏奈(日本体育大) 1時間37分38秒
2位 渡部春雅(駒澤大学高校) +1秒
3位 内野艷和(祐誠高校) +2分17秒
男子U17+U15(10.8kmコース×6周=64.8km、出走者78人、完走者24人)
1位 岩田聖矢(榛生昇陽高校) 1時間40分49秒
2位 山下虎ノ亮(榛生昇陽高校) +6秒
3位 篠島瑠樹(福井自転車競技連盟) +6秒
男子ジュニア(10.8kmコース×11周=119km、出走者160人、完走者24人)
1位 津田悠義(三好高校) 3時間4分5秒
2位 天野壮悠(千里高校) +1分53秒
3位 大河内将泰(南大隅高校) +1分54秒
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