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初開催のツール・ド・とちぎ、初日はチーム右京のグアルディオラが総獲り!

レース
スタートを切る選手たち
スタートを切る選手たち
3月31日(金)、春模様とは程遠い肌寒さを残した日光だいや川公園にて全14チーム、81人の選手たちによる3日間のステージレース、第1回ツール・ド・とちぎの幕が切って落とされた。初日は、日光駅の裏側に位置する日光だいや川公園をスタートし、鹿沼市や栃木市、佐野市を経由して足利市総合運動公園にゴールする115kmのコースだ。駅から若干離れたこの公園にスタートの瞬間を一目見ようと平日にも関わらず多くの観客が集まり、これから始まる3日間の闘いに向かう選手たちを見送った。 text:滝沢 佳奈子 photo:Hideaki TAKAGI、滝沢 佳奈子
 

日光から足利へ

日光連山をバックに日光の町並みを通る選手たち(photo:Hideaki TAKAGI)
日光連山をバックに日光の町並みを通る選手たち(photo:Hideaki TAKAGI)
日光例幣使街道を高速で駆け抜ける(photo:Hideaki TAKAGI)
日光例幣使街道を高速で駆け抜ける(photo:Hideaki TAKAGI)
日光駅のメインストリートを通るパレードラン区間を過ぎると早速スタートアタックがかかり、マトリックスパワータグの安原大貴を先頭に4人が飛び出した。4人の逃げのメンバーに入っていたキナンサイクリングチームの山本元喜は、「17.8km地点にある森友交差点での右カーブが危ないという話があった。気をつけながら走ってたら後ろ(集団)とそんな差が開いてなくて。あの逃げは逃げ切れるか微妙だったんで、様子見ながら走ってました。」と話す。その後、4人の逃げは吸収され、振り出しに戻る。そのまま杉並木が非常に美しい緩やかな下り基調の日光例幣使街道を集団が高速で抜けていった。
 

2つのKOM

2つ目のKOMポイントの激坂を上る(photo:Hideaki TAKAGI)
2つ目のKOMポイントの激坂を上る(photo:Hideaki TAKAGI)
初日の山岳ポイント(KOM)は2つ設定されていた。一つ目は日光市から鹿沼市に入ったところの41km地点の名もなき峠。二つ目は石灰業者が立ち並ぶ葛生のおよそ1kmほどの短い距離だが18%もの激坂が待ち受ける羽鶴峠である。

一つ目のKOMでレースが動いた。KOMを通過した順番で先頭から14人が集団から抜け出したのだ。まずトップで通過したのはチーム右京のサルバドール・グアルディオラ・トーラであった。「上りも山岳ポイントでそれなりにペースが上がったので上りに弱い選手は後ろに残されて、下りもそれなりにテクニカルだったので、また下りでちょっと分裂したという形で、いいメンバーで強い選手ばかりでうまく決まりました。」と話したのは14人の内に入った地元宇都宮ブリッツェン岡篤志。ブリッツェン、チーム右京、マトリックスパワータグ、キナンサイクリングチーム、アタッキ・チーム・グスト、ブリヂストンアンカー、オリヴァーズ・リアルフード・レーシングと、並み居る有力チームの選手たちがその逃げにメンバーをそろえ、集団との差をぐんぐんと開いていった。そのまま二つ目のKOMに突入する。
 
一方、メイン集団では逃げにメンバーを送ることができなかったこちらも地元である那須ブラーゼンが集団を牽引し、逃げとの差を縮めようとする。しかし、逃げのメンバーは完全に脚のそろったエース級の選手ばかりでなかなか縮まらない。

メイン集団の牽引をしていた那須ブラーゼンの下島将輝は、「もともと、ブリッツェンの増田選手が入った逃げは必ず外さないようにというのが一つと、あとは有力チームが行った時に誰かが絶対逃げに乗るっていう作戦だったんですけど、そこで誰も乗れなかった。もっと力があればタイム差を抑えることができたかもしれないですけど、自分自身の力不足で、二つ目のKOMの前で結局千切れちゃって力になれなかったのですごく残念です。」と悔しさを露わにした。集団を牽引できるような有力チームは全て逃げにメンバーを乗せており、残った集団内で協力できるチームがいなかったのだ。

二つ目のKOMもグアルディオラが獲得し、初日の山岳ジャージを確定させた。2つ目のKOMをクリアした残りおよそ30kmほどで、逃げと集団とのタイム差はおよそ2分。逃げ切りが濃厚になってくる。その後、逃げ集団から1人脱落し13人でラスト20km地点にされたホットスポット(スプリントポイント)を通過する。ここでは岡を差し切り、アタッキ・チーム・グストのベンジャミン・ヒルがポイントとボーナスタイムを稼いだ。

チーム右京のグアルディオラが第1ステージを獲った

残り1kmで抜け出したグアルディオラがトップでフィニッシュする
残り1kmで抜け出したグアルディオラがトップでフィニッシュする
ゴールまで残り10kmを切ると、小集団スプリントで勝負するのが難しい選手たちが仕掛け始めた。現全日本TTチャンピオンの西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)が単騎で抜け出す。「(逃げに同チームの鈴木)龍がいたので、龍はスプリントが強いのでどっちでも行けるように。大集団スプリントと違って小集団なので、僕が引いて最後リードアウトして、というよりはむしろ他の選手の脚を使わせたほうがいいかなって思ったのでチャンスをうかがってたんです。ちょうどいいタイミングがあったのでアタックしたら一気に決まったんで結構粘ったんですけど。あれで少しは他の選手の脚を削れたかなと思います。右京のアシストやブリッツェンも(鈴木)譲さんが脚を使ったっていうのは良かったと思います。」と西薗は振り返る。残り5kmほどで西薗はつかまり、13人の状態に戻った。

全員が見合うような張り詰めた空気を、グアルディオラが残り1kmでぶち破る。完全封鎖した5車線の広い道路の右側から一人で抜け出した。残りのメンバーは牽制状態に入ってしまい、グアルディオラとの差を広げていく。そのまま最終コーナーを曲がり、ゴールまでの直線200mを一人で駆け抜け、グアルディオラが初日のゴールラインを切った。「ヒルもいたし、鈴木龍、鈴木譲もいたのでその辺りの選手が強いということは分かっていました。なので早めに仕掛けないとと思っていました。あと1kmのところでここが勝負だと思って飛び出しました。チームとしては畑中(勇介)を行かせようという作戦ではあったんですけど、その中でも他に調子のいい選手がいたらその選手を行かせたらいいということで、僕が今日は調子が良かったので、作戦とは違いましたがその時の判断で僕が出て、こういう結果に繋がりました。」と初日、獲れるものを全て獲ったグアルディオラが喜びを語った。
 
小集団の頭を取る岡
小集団の頭を取る岡
第1ステージ、トップ3の表彰台
第1ステージ、トップ3の表彰台
結局、逃げ集団から遅れてメイン集団がゴールしたのは2分54秒後。このタイム差を残りの2日間のコースでひっくり返すのはかなり難しいと予想される。今回タイム差を手にした逃げのメンバーだけ見ても、有力チームが2枚、3枚と総合優勝に向けたカードを持った状態にある。2日目以降、このタイム差をひっくり返すような展開が発生しうるのか、また、集団ゴールとなった増田成幸(宇都宮ブリッツェン)のような超エース級の選手が総合を狙う選手たちの”最強のアシスト”として活躍する姿にも注目したい。

2日目はグリーンパークもてぎを10時にスタートし、道の駅那須高原友愛の森にフィニッシュする上り基調の102.3kmの行程だ。最後の直角コーナーを曲がってからおよそ2kmの上り基調の先にあるフィニッシュラインに一番に飛び込むのは一体誰か。現地に行けない人もFRESH!の中継で観戦を楽しんでみてはいかがだろうか。

•FRESH!サイクルロードレースTV:https://freshlive.tv/roadrace
■1日目 日光〜足利
https://freshlive.tv/roadrace/100036

■2日目 茂木〜那須
https://freshlive.tv/roadrace/100038

■3日目 矢板〜宇都宮
https://freshlive.tv/roadrace/100039



・第1ステージ順位
1位 サルバドール・グアルディオ ラ・トーラ (チーム右京) 2時間16分4秒
2位 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン ) +4秒
3位 ベンジャミン・ヒル (アタッキ・チーム・グスト ) +4秒
4位 ホセ・ヴィセンテ・トリビ オ・アルコレア (マトリックス パワータグ ) +4秒
5位 畑中 勇介(チーム右京)  +4秒


・総合順位(第1ステージ終了時点。ボーナスタイム含む)
1位 サルバドール・グアルディオ ラ・トーラ (チーム右京) 2時間15分54秒
2位 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン ) +6秒
3位 ベンジャミン・ヒル (アタッキ・チーム・グスト ) +7秒
4位 ジャイ・クロフォード (キナンサイクリングチーム ) +13秒
5位 ホセ・ヴィセンテ・トリビ オ・アルコレア (マトリックス パワータグ ) +14秒

・山岳賞(第1ステージ終了時点)
サルバドール・グアルディオ ラ・トーラ (チーム右京) 10pt

・ポイント賞(第1ステージ終了時点)
サルバドール・グアルディオ ラ・トーラ (チーム右京) 25pt

・U23順位(第1ステージ終了時点)
岡 篤志(宇都宮ブリッツェン )

・チーム総合(第1ステージ終了時点)
チーム右京