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G’day, Australia!~ブリスベンからの自転車だより vol.2 オージー流 出勤前ライドを体験してみた!

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こんにちは!オーストラリアのブリスベンに相棒のリブ・エメとともに留学中のAyakaです。今回は、ブリスベンの人たちの早朝出勤前ライドをレポートします!早朝ライドが苦手な私は、無事に付いていけるかしら.....。vol.1はこちら
 
2014年のG20の時に作られたブリスベンのモニュメント。日中は観光客の撮影スポットですが、早朝ライドで訪れるととっても静かです
2014年のG20の時に作られたブリスベンのモニュメント。日中は観光客の撮影スポットですが、早朝ライドで訪れるととっても静かです

一日の始まりはライドと一杯のコーヒーから

ブリスベンの自転車スタイルでまず驚いたのは、現地のサイクリストたちは平日早朝のライドをほぼ毎日楽しんでいるということ。例えば、地元のクラブライドは朝5時過ぎに集合し、7時過ぎまで40kmほど流した後、カフェで朝ごはんをとり、その後出勤。個人でも5時過ぎ~6時半には家を出て、ぷらぷらっとお散歩感覚でライドに行きます。そして、17~18時頃まで働いて帰宅、夜は早めに就寝というスタイル。留学前は「オージーはクラブやパーティーが大好き!!」とひたすら周りの友人から聞いて、ナイトライフが苦手な私は心配していたのですが、どうやらそれは20歳前後の学生のスタイルの模様で、完全な杞憂でした!

ブリスベンは亜熱帯性気候に属し、年間を通して過ごしやすいものの、日差しが強いのが困りもの。例えば、2~3月は日中の最高気温は30度Cほどまで上がるので、日中走り回るのはなかなかハードで紫外線も気になるところ。となると、みんな自然とライドは早朝になるようです。(中には朝に加えて仕事帰りに走る元気な人も!)「まずライドして、そこから一日が始まる」という考え方が根付いているみたい。

第1回で紹介した土曜日の早朝クラブライドもそう。ライド後のコーヒーを飲みながら「今日はこれから何をするの?」とパパさんライダーたちに聞くと、「今日は娘の大学の入寮日だから、引っ越しを手伝うよ!」、「家のここを直して、あれを買ってきてと、妻からのやることリストが溜まっているからねぇ...」と語ってくれました。家族との時間も大切に、でも、自分の好きなこともぞんぶんに。そのバランス感覚は私たちもぜひ見習いたいですね。
 
ブリスベン川にかかるグッドウィルブリッジの橋の上の真ん中にあるカフェ。朝6時台からサイクリストたちでにぎわっています。青空と川の間でいただく一杯はなんとも贅沢!
ブリスベン川にかかるグッドウィルブリッジの橋の上の真ん中にあるカフェ。朝6時台からサイクリストたちでにぎわっています。青空と川の間でいただく一杯はなんとも贅沢!

ブリスベンの定番コースを走ってみよう!

ブリスベンの隣町、ローガンサイクリングクラブの土曜早朝ライドでの一コマ。その週あった出来事や、週末の予定なんかを談笑しながら和気あいあいとした雰囲気で走ります
ブリスベンの隣町、ローガンサイクリングクラブの土曜早朝ライドでの一コマ。その週あった出来事や、週末の予定なんかを談笑しながら和気あいあいとした雰囲気で走ります
ブリスベンは自転車道がよく整備されていて、どこを走っても気持ちいいところばかりなのですが、定番は「ブリスベンリバーループ」と呼ばれる、ブリスベン川をシティ中心部~南部中心に35km~40kmほどの範囲でぐるっと1周するコースです。

ブリスベン市議会による自転車サイト「サイクリングブリスベン」でも、Brisbane's most well-known ride(ブリスベンの最もよく知られたライド)として紹介されています。私も実際に走ってみたら、平坦な川沿いや、適度なアップダウンのある公園の自転車道を走り抜けるコースで、爽やかな風と早朝の青空が気持ちいい、眠気も吹き飛ぶ楽しいコースでした!

そして、サイクリングブリスベンのサイトに This is one ride where you’ll want to enjoy a coffee after(走った後にコーヒーが飲みたくなるライド)と書かれているように、ライドのシメはやっぱりコーヒーで! マイルドなフラットホワイトに、あま~いバナナブレッドをいただけば、心も体も満足です♪
 
フラットホワイトとバナナブレッド。フラットホワイトはオセアニアで主流のエスプレッソベースのコーヒー。 エスプレッソに注がれたきめ細やかなスチームミルクは口当たりマイルド♪
フラットホワイトとバナナブレッド。フラットホワイトはオセアニアで主流のエスプレッソベースのコーヒー。 エスプレッソに注がれたきめ細やかなスチームミルクは口当たりマイルド♪

ヒルクラム朝練だってできちゃう!

「朝から上りたい!」というクライマーにおすすめなのは、「マウント・クーサヒルクライム」です。ブリスベンで一番高いマウント・クーサは標高287m。ふもとにボタニック・ガーデンが、頂上付近には展望台や見晴らしのよいカフェがあり、昼間は観光客に、夜は地元カップルに人気のスポットです。

ですが、早朝の雰囲気はちょっと異なります。まだ朝の6時台にもかかわらず、ダンシングで息を荒げながら坂を上るクライマーたちの姿が! 実際に上ってみると、山のふもとの入り口にちょっとキツめの坂があり、「朝からこれか.....」とややくじけそうになったものの、そこさえ越えてしまえば、比較的ゆったりとしたペダリングで上っていけました。マウント・クーサ全体では1周10kmほどなので、人によっては「調子がいい日は、3回上って出社する!」そうです。昼間や夜のにぎやかさとは異なる、静かなブリスベンの朝を展望台から見れば気分爽快!でも、さすがに3回はいいかな……。
 
マウント・クーサの坂道を上る。日本にいた頃はサイクルスカート着用でしたが、現地のサイクリストに倣い、できるだけシンプルにするようになりました!
マウント・クーサの坂道を上る。日本にいた頃はサイクルスカート着用でしたが、現地のサイクリストに倣い、できるだけシンプルにするようになりました!
マウント・クーサの展望台からは、ブリスベンの街が一望できます。森の中にビルが建ち、ブリスベン川がゆったりと流れている景色は、他にはないこの街ならではの魅力だと思います
マウント・クーサの展望台からは、ブリスベンの街が一望できます。森の中にビルが建ち、ブリスベン川がゆったりと流れている景色は、他にはないこの街ならではの魅力だと思います

ところで平日早朝からそんなに走って大丈夫?

日本では、ライドは仲間と週末の予定を調整して、一日がかりで「日帰り遠足」として楽しむのがほぼすべてと思っていました。平日の朝に出勤前から走るのはゴリゴリのレース志向のライダーで、自分のようなホビーライダーにはまったく無縁の話であると。けれどもそうではなく、ホビーライダーでも平日・休日問わずに毎日の生活の中で当たり前に走れる環境がここにはあります。
 
もともと朝から走るのは苦手だった私。「平日の早朝から走ったら、大学の講義中に絶対寝落ちしちゃう!」と思っていたのですが、これが意外といけることにびっくり!朝から皆が通勤や運動のために走っているので、「早朝に走るのが当たり前」という感覚になれるんです。日の出とともに朝日を浴びて走り、フラットホワイトでカフェインを、バナナブレッドやマフィンで糖分をチャージ。頭と体もすっかり目覚め、授業にも集中できました!夜は22時過ぎには眠くなり、自然と早寝早起きになります。

 

健康的かつ主体的に遊ぶ! ブリスベンスタイル

多くの企業のコアタイムは9時〜17時で、たいていは18時には退勤、19時退勤は遅いくらいだそうです。現地企業で働く日本人の知人たちは「『残業する人=仕事ができない人』という認識が根付いている」と口をそろえて言います。もちろん業界にもよりますが、週休2日も徹底しています。また、オーストラリアは車社会ですが、「1人1台」のマイカー通勤は渋滞のもと。ここ、ブリスベンでは渋滞緩和のために街をあげての自転車移動が推奨されており、郊外から街中への移動は電車・バスなどの公共機関の利用の促進、そして、都市部ではシティサイクルを導入するなど自転車での移動が呼びかけられています。

片道20km前後くらいまでは、自転車通勤する人が多いそう。中には片道25kmの通勤と組み合わせて、クラブライドでも30〜40km走ってから出勤する人、朝4時に出発し、100km近く走り込んでから出勤する強者もいるそうです!
 
2010年から、ブリスベンにもシティサイクルが導入されました。街中でも「自転車に乗ろう!」と呼びかける広告を頻繁に目にします
2010年から、ブリスベンにもシティサイクルが導入されました。街中でも「自転車に乗ろう!」と呼びかける広告を頻繁に目にします
ブリスベンはオーストラリア第3の都市でありながら、観光よりもビジネスや留学、ワーキングホリデーで訪れる人が多い街。「若い人の中には『ブリスベンはナイトクラブや娯楽施設が少なくて退屈!』と言う人も多い。たしかに『受動的な姿勢でも遊んでくれる場所』は少ない。だけど、『自らが主体的に遊ぶ場所』ならいくらでもあるんだよ」と地元の自転車仲間が語ってくれました。

確かに、ブリスベン中に張り巡らされた自転車道、サウスバンクの広々とした芝生、ブリスベン川沿いのランニングコース、夜空に輝く天の川に南十字星。快適な生活と美しい自然のバランスがとれたこの都市は、日々の運動や食事、家族や仲間との時間を楽しみ、心身共に健やかに過ごしたい人にはとても住みよい街なのでしょう。

そんなブリスベンの自転車都市としての魅力を今後もどんどんお伝えしていきます!次回もまたお楽しみに!

Ayaka

Cycle Evangelist、Writer。Z会で約6年間、英語教材の企画・開発を担当。ロードバイクで国内外各地のイベントやレースにも出場し、自転車メディアでも活動。「日本をもっと元気で楽しい場所にする!」を目標に、ビジネス留学を通し、スポーツツーリズム業界へのキャリアチェンジを目指し退職。オーストラリア クイーンズランド州ブリスベンにあるグリフィス大学 観光・スポーツ・ホテルマネジメント学部に在学中。
 
HP:http://gdaybabyccino-ayaka.com/
Instagram:aya_p_14