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G’day, Australia!~ブリスベンからの自転車だより Vol.7 オーストラリアでサイクルツーリズムを学ぼう&現場を覗いてみよう!

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こんにちは!オーストラリアのブリスベンに、相棒のリブ・エメとともに留学中のAyakaです。グリフィス大学での1学期も6月で無事に終了しました。今回は、1学期を振り返り、私が大学で自転車関連のどのようなことを学んだのか、また、クイーンズランド州政府観光部でのインターンシップを通して見えてきたサイクルツーリズム事情についてお届けします。
 

スポーツを取り巻く世界を学ぶ『スポーツマネジメント基礎』

1学期に私は、ツーリズム・スポーツ・ホテルマネジメント学部で、『スポーツマネジメント基礎』(Sport Management Principles)、『メジャースポーツイベント』(Organizing and Staging Major Sport Events)、『キャリア開発』(Career Development)の3科目を履修しました。学部2~3年生向けの授業ですが、日本と違うのは、学部といっても日本のように20歳前後の学生のみならず、社会人や主婦の方、一度社会を経験してから私のようにキャリアチェンジのため、新たな知識を得るために学びに来ている20代後半~30代の人も多い点です。私も授業を通し、現地の若いオーストラリア人学生はもちろん、大人の方や、ドイツやシンガポールなど各国から来た留学生たちと机を並べて学びました。
 
グリフィス大学ネイサンキャンパスの入り口。キャンパスは森に囲まれ、自然豊かな環境にあります
グリフィス大学ネイサンキャンパスの入り口。キャンパスは森に囲まれ、自然豊かな環境にあります
学内のブッシュウォークにはコアラに注意の看板が。一度は見てみたいのですが、私はまだ出遭えていません
学内のブッシュウォークにはコアラに注意の看板が。一度は見てみたいのですが、私はまだ出遭えていません
中でも『スポーツマネジメント基礎』は、スポーツ業界について多角的に掘り下げる授業。各プロスポーツはどのようなビジネスモデルで成り立っているのか?政府・地方行政団体・非営利組織・プロチーム・ファン・スポーンサーといったさまざまなステークホルダー(利害関係者)たちの健全な関係のあり方とは? 競技そのものを発展させつつ、かつ、スポーツを通して社会を発展させるには?…など、毎週さまざまなトピックで展開されました。教科書・課題文献をもとに教授が約2時間レクチャーをし、その後、約1時間教授やチューター(博士課程で勉強中の学生が主)のファシリテーションのもと、ケーススタディやディスカッションを行います。

授業では、ラグビー、サッカー、水泳、クリケットなどさまざまなオーストラリアのプロ・アマチュアスポーツの実例が取り上げられます。中でも、オーストラリアの自転車ムーブメントの課題として取り上げられたのは、多くの州単位の自転車競技連盟や非営利組織がメンバーシップの獲得・維持に苦心しているということ。日常的にバイクに乗り、レースやイベントにも出るサイクリストの中でも特定の団体の会員にはならず、レースやイベントごとに参加費を払う “Pay for Play” という風潮が起こってきるそう。オーストラリアの自転車ムーブメントは日本よりは盛んといえど、オーストラリア国内だけで見れば、どうしてもラグビーやサッカーといった「メジャースポーツ」よりも市場規模は劣ってしまい、政府やスポンサーから補助金を得づらいのも課題です。
 
担当のキャロライン教授はロードバイク乗りの1児のママ。小さいお子さんのいる女性教授陣が多く働いているのも、オーストラリアの大学の特徴です
担当のキャロライン教授はロードバイク乗りの1児のママ。小さいお子さんのいる女性教授陣が多く働いているのも、オーストラリアの大学の特徴です
テキストの表紙はロードレース!教科書は日本円で8000円~1万円近くするものも。高価なので、大学生協や大学のウェブ上で中古本の売買も行われています
テキストの表紙はロードレース!教科書は日本円で8000円~1万円近くするものも。高価なので、大学生協や大学のウェブ上で中古本の売買も行われています

ツール・ド・フランスが参考題材!『メジャースポーツイベント』

オリンピックやFIFAワールドカップといった国際的なスポーツイベントの舞台裏を学ぶのがこの『メジャースポーツイベント』。個人的に、今期一番面白かった授業です。

イベントがホスト国・地域にもたらす経済効果はいかほどか?イベントは社会にどのような物理的・精神的なレガシー(遺産)を残すか?といったことを毎回テーマ別に、世界中のイベントを素材に解説・検証する授業です。各国から留学生が集まっているので、「ドイツでのワールドカップはどうだった?」「2020年の東京オリンピックを、日本人はどう受け止めていると思う?」などリアルな声を互いに聞けるのもメリット。教授の人脈を生かし、2008年北京オリンピックボート男子かじなしペア金メダリストのダンカン・フリーさん、2000年シドニーオリンピック女性水球金メダリストのナオミ・マッカーシーさんをゲストスピーカーに迎え、選手村の裏話や、東京オリンピックに期待することをお話しいただいたのも貴重な機会となりました。

スポーツツーリズムの経済効果がテーマの回の題材はツール・ド・フランス。授業中に教授が2016年ツールのハイライト動画を流してくれたのですが、教室中で誰よりも食い入るように見とれていたのは間違いなく私でしょう…

また、クイーンズランド州では2018年4~5月にゴールドコーストでコモンウェルスゲームズが開催される予定です。コモンウェルスゲームズは、イギリスの旧植民地諸国が参加して4年に一度開催する競技大会で、クリケットやネットボールといった競技があるのが特徴です。もちろん、UCIのロードレース、トラック、MTBもあります。イギリス勢としてクリス・フルームが出場することを期待…!ゴールドコーストにもキャンパスを構えるグリフィス大学は、この大会の公式パートナーでもあります。そのため大学側からも学生ボランティアやインターンシップを派遣したり、大会開催の意義について考えさせたりと教育熱心です。
 
担当のミリセント教授はメジャースポーツイベントを専門に博士号を取得。「世界中の大会を観て回ったわ!楽しかったけど、お財布にはかなりきたわね(苦笑)」
担当のミリセント教授はメジャースポーツイベントを専門に博士号を取得。「世界中の大会を観て回ったわ!楽しかったけど、お財布にはかなりきたわね(苦笑)」
授業ではKahoot! というクイズアプリを使って小テストを行うこともしばしば。スマートフォンをリモコン代わりに、全員でスコアを競えるのでゲーム感覚で楽しいです
授業ではKahoot! というクイズアプリを使って小テストを行うこともしばしば。スマートフォンをリモコン代わりに、全員でスコアを競えるのでゲーム感覚で楽しいです

州政府のサイクルツーリズム政策検討部門に潜入!

『キャリア開発』担当のバリー先生。とにかく学生指導に熱心な先生!私は密かに心の中で「(松岡)修造先生」と呼んで慕っていました
『キャリア開発』担当のバリー先生。とにかく学生指導に熱心な先生!私は密かに心の中で「(松岡)修造先生」と呼んで慕っていました
就職のためのノウハウを学ぶ『キャリア開発』の授業では、実際に知識・理論だけでなくインターンシップ経験をすることが推奨されました。私も授業を通して、クイーンズランド州政府観光部のインターンシップに応募し、教授や周りのオーストラリア人の友達の特訓のおかげで書類審査と面接試験に無事に合格!今年4月から、週1回のペースで、観光部にあるDepartment of Tourism, Major Events, Small Business and the Commonwealth Games という大規模イベントや地元企業支援、コモンウェルスゲームズを統括する部署に勤務しています。中でも私が所属するのは、The Access and Infrastructure teamです。

現在は、主にサイクルツーリズムを盛り上げるための基礎調査や必要な施策の検討を行っています。私に最初に課されたお仕事は「オーストラリアとニュージーランド全土の自転車イベント・施策を調べて調査報告書にまとめること」。サイクルツーリズムについてのレポートを書くのは初めて、それも英語で…と最初は戦々恐々としていましたが、ベテランの上司や先輩職員がサポートしてくれるので、私も安心して日々業務にあたっています。
 
インターンシップ先の、チームリーダーのクリス。「最近、ちゃんと自転車で走っている?」とあいさつ代わりに確かめられます(笑)
インターンシップ先の、チームリーダーのクリス。「最近、ちゃんと自転車で走っている?」とあいさつ代わりに確かめられます(笑)
実はクイーンズランド州はサイクルツーリズム政策においてはまだまだこれから!という段階。メルボルンをはじめ、オーストラリアを代表するワイン生産地のヤラバレー、絶景のグレートオーシャンロードを含むビクトリア州が政策としては進んでいます。また、UCIのツアー・ダウンアウンダーはアデレード(南オーストラリア州)、レタップ・オーストラリア・バイ・ル・ツール・ド・フランスはスノーウィー・マウンテンズ(ニューサウスウェールズ州)と集客力の高いメジャーな自転車イベントが他州で開催されているのも事実。

とはいえ、クイーンズランド州でも今年9月5~10日にはケアンズUCIのMTBワールドカップがありますし、ケアンズや、サンシャインコーストではアイアンマンレースも開催されています。10月15日開催の南半球最大級のファンライドイベント、ブリスベン・トゥ・ゴールドコーストを始め、まだまだイベントの規模や知名度、自主企画でのおすすめ観光ライドコースの設定など、発展させられる余地はたくさんあります!
 
観光部のオフィスのキッチン。周辺の飲食店でランチをすると$10はかかるので、外食よりも、パンとお惣菜を自宅から持って来たり、簡単に調理して食べる人多数
観光部のオフィスのキッチン。周辺の飲食店でランチをすると$10はかかるので、外食よりも、パンとお惣菜を自宅から持って来たり、簡単に調理して食べる人多数
キッチンの一角にはチョコレートやスナック菓子、コーラの販売スペースも。皆小腹が空いたら、チョコやリンゴをかじりながらよく仕事をしています
キッチンの一角にはチョコレートやスナック菓子、コーラの販売スペースも。皆小腹が空いたら、チョコやリンゴをかじりながらよく仕事をしています
7月から始まる2学期では、私はグリフィス大学の大学院で、インターナショナル・マーケティングを専攻しています。インターンシップも続けるので、日本とオーストラリアのサイクルツーリズムの促進、そしてサイクリストたちの交流の懸け橋になれるよう、学んだことをどんどん現地で生かしていきたいと思います!
 

Ayaka

Cycle Evangelist、Writer。Z会で約6年間、英語教材の企画・開発を担当。ロードバイクで国内外各地のイベントやレースにも出場し、自転車メディアでも活動。「日本をもっと元気で楽しい場所にする!」を目標に、ビジネス留学を通し、スポーツツーリズム業界へのキャリアチェンジを目指し退職。オーストラリア クイーンズランド州ブリスベンにあるグリフィス大学 ビジネススクールに在学中。
 
HP:http://gdaybabyccino-ayaka.com/
Instagram:aya_p_14