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牡鹿半島を走る 第1回イシノマキジェントルライド

イベント

“ジェントルマン”であれ

舞台は宮城県牡鹿半島

チェーンが外れてもチームメイトが直す!
チェーンが外れてもチームメイトが直す!
8月2日(日)、今回が初開催となった「イシノマキジェントルライド」。舞台は、宮城県の地図を見ると太平洋へつきだした部分、牡鹿半島だ。震災後、まだ訪れる人が少ないエリアを少しでも盛り上げたいと企画され、78㎞のコースと45kmのコースが用意された。

当日の天気は快晴で絶好のログライド日和。参加者は宮城県内を中心に約280人が集まった。このイベントは、ほかのロングライドイベントとは異なったルールが設けられている。2人から5人のチームでエントリーし、もしパンクなどのアクシデントが起きた場合はチーム内で助け合ってゴールを目指すというもの。”ジェントルマン”の精神が大切なのだ。

 

石巻市鮎川浜仮説商店会「おしかのれん街」が起点

スタートゴールとなるのは石巻市の鮎川浜仮説商店会「おしかのれん街」。先の震災で被災した鮎川浜にできた商店街だ。ここから牡鹿半島を反時計回りに1周する。

半島全体が山地で、その海岸線はリアス式海岸となっているので平地は少なく、コーナーとアップダウンが連続するなかなか走りごたえのあるコースだ。

7時から1チームずつスタートしていく。道中登場する上りは斜度も距離もさまざまで、はしっていても飽きが来ない。入江ひとつひとつがちがった雰囲気を持っているのに気づく。

それは津波の影響も同じだ。茶色い空き地が広がっているところもあれば、街が残っているところもある。”被災地”とはいえその状況は場所によってとても細かく違っているということを自転車のスピードだと感じる。

 
蒲鉾店でエイドステーションの「万石の里」
蒲鉾店でエイドステーションの「万石の里」
エイドでは氷水が用意され、参加者の多くがボトルに補給
エイドでは氷水が用意され、参加者の多くがボトルに補給
途中のエイドステーションは、折り返し地点の女川町にある「万石の里」という蒲鉾店1カ所。エイドの数が充実しているイベントが増えていくなかでめずらしい。

次回参加する人は自分の食い扶持は自分で用意するのを忘れないようにしたい。サイクリングの基本である。

後半は前半に比べると坂も短く地形的にはラク。だが、昼を越えた太陽がいよいよ本気を出して暑さとの闘いになった。多くの参加者が日陰を見つけては涼を取っていた。

 
鯨カレー、疲れた体においしい
鯨カレー、疲れた体においしい
ツブ貝の串焼き、家業を手伝う少年が焼いてくれた
ツブ貝の串焼き、家業を手伝う少年が焼いてくれた
14時前にはおしかのれん街にゴール。参加者に昼食として弁当が振る舞われたので、いくつかある中から鯨カレーをチョイス。鯨漁が行われている地域なのだ。肉の味がしっかりしていておいしい。

それだけでは足りず、ツブ貝の串焼きを買い食い。いい歯ごたえ。焼きホタテも人気だった。

 

仙國大介さん、陽也(はるや)くんチーム

お父さんの後ろをピッタリとトレインを組んで走っている姿をみかけ、思わず取材させてもらった仙國さん親子。

ロードバイクに乗り始めて、お父さんの大介さんは2年半ほど、息子の陽也くんは1年半ほどだという。普段は週末に40km〜50kmの練習に2人で出かけているそうだ。「アップダウンの連続がしんどかった」と語る陽也くんだが、いいペースでゴールしていた!

 

テクノ・マインド自転車競技部

「まさか1番とは驚きました!」と語るのは、今大会のチームゼッケン1番を獲得したテクノ・マインド自転車競技部の皆さん。仙台に本社を構えるIT企業で働く仲間で結成したチームとのこと。

「いちばんにスタートしたんですが、チームでパンク3回、チェーン落ち1回とトラブルの連続でフィニッシュしたのは最後の方になってしまいました。走っている時間は長かったから満喫したって事で!」としっかりとジェントルマン精神をたん能した様子だった。

 

取材を終えて

今回、取材のために東京からクルマで現地入りした。途中、福島県南相馬市や宮城県名取市など津波の被害を受けた地域を通過しながらの道程。そこで感じたのは、ひとつ隣町になるだけで被災状況やそこからの復興状況が異なっているということ。

復興が進んでいるところもあれば、まだ難しい状況なんだなと感じるところもあった。

東北被災地エリアでいくつかイベントがあるが、どこもその土地ごとの状況に思いを馳せれば走る気持ちが変わるだろう。

ただ、理由はそんなにかしこまっていなくていい。もう一度あのツブ貝が食べたいなとかそんなことでいいのだ。


■イシノマキジェントルライド