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窪木がTTチャンピオン! 2018年全日本タイムトライアル、ブリヂストンサイクリングがワンツー

レース

窪木が2018年の全日本タイムトライアルを制す

1周回目の中間地点からずっとトップタイムで突き進んだ窪木
1周回目の中間地点からずっとトップタイムで突き進んだ窪木
第2ウェーブでトップタイムを叩き出した近谷
第2ウェーブでトップタイムを叩き出した近谷
第2ウェーブで2位になり、最終総合3位表彰台を獲得した小石
第2ウェーブで2位になり、最終総合3位表彰台を獲得した小石
6月17日(日)、石川県羽咋市志賀町で第22回全日本選手権個人・タイム・トライアル・ロード・レース大会が開催された。
天気は快晴。強い日差しが降り注いだ。

今年のタイムトライアルはアップダウンが多い1周13.1kmのコース。
カテゴリーによって周回数が異なり、エリート男子は3周の39.3kmで争われた。

エリート男子は3つのグループに分けられ、出走した。

第2グループで小石祐馬(チーム右京)が51分台のトップタイムを出すが、その3人後ろでスタートをした近谷涼(チームブリヂストンサイクリング)がタイムを上塗りする。

近谷がトップのまま第2グループが終了し、第3グループが出走を開始。

1周目の中間地点で近谷のタイムを上回ったのは同じチームの窪木一茂だった。
優勝候補であった昨年2位の佐野淳哉(マトリックスパワータグ)は最終走者。しかし、1周回目の途中で痛恨のチェーントラブル。タイムを落としてしまう。

計測地点でことごとく1位通過した窪木は、最終周回、一番早いラップタイムでゴールに飛び込んだ。
タイムは50分台。2位の近谷に1分以上の差を空けた。

窪木の後に出走した選手たちもタイムを更新することはできず。窪木は、3年前のロード全日本に続いて全日本タイムトライアルのタイトルも獲得した。
 

男子エリート優勝、窪木「想定通りの勝利」

今回のタイムトライアルは、「自分向きのコースだった」と話す窪木
今回のタイムトライアルは、「自分向きのコースだった」と話す窪木
CS:コースの印象はどうでしたか?

窪木:走る前から自分向けのコースだなと思っていました。

CS:優勝を狙って走った?

窪木:もちろんですね。想定通りの勝利でした。パフォーマンスも練習通り出せたし、コーチとも無線で連絡取り合いながら走れたし、良かったです。

CS:ペース配分はどうでしたか?

窪木:Wでずっと見ていたんですけど、自分の出せるギリギリのWでいけて、ラスト1周も一番速いペースで刻めたと思います。
本当に良かった。噛み合うんだなって思いました。うれしい。

CS:今シーズン、上り調子じゃないですか?

窪木:正直、今シーズン各チームで、(宇都宮)ブリッツェンが勝ったり、入部(正太朗)選手が勝ったり、愛三(工業レーシングチーム)が勝ったり、オリンピックに向けてステージ優勝してUCIポイントを獲得していたので、僕も欲しいなと思っていました。ここでUCIポイントを獲得できたので、少しだけホッとしています。

CS:来週は全日本ロードが控えていますが。

窪木:もちろん獲得したいです。本当に僕自身のパフォーマンスにもびっくりだけど、先に走り終えた近谷選手のパフォーマンスにびっくりです。2日前に自転車(TTバイク)乗って、誰も付いてないのに(サポートカーなし)51分で走って、「えっ⁈」って感じでした。

CS:正直プレッシャーでした?

窪木:プレッシャーでしたね(笑)。2周完了時で勝ってて、「あ、良かった」と思いました。だけど本当にこのチームにいて切磋琢磨できてるなと思います。

CS:トラック中心に活動する近谷選手などのメンバーがロードレースも走ることが多くなってきて、どんな影響がありましたか?

窪木:やっぱり意識の高い生活をして、意識の高い話をしているので、感化されて自分も気持ちが高ぶるというか、相乗効果を得られているので、すごくいいなと思います。

CS:今回のTTでは誰がライバルになると思っていましたか?

窪木:正直、最初からライバルとかじゃないと思っていました。自分の力を出し切って、それがダメだったらダメだなって思っていたので、誰がとかじゃなかったですね。自分のパフォーマンスだけで、外は見ていなかったです。

CS:今日のレース前、非常に落ち着いているように見えました。どうしてそこまで落ち着いていられるのでしょうか?

窪木:昨年までNIPPOで走っていたという経験が大きくて、ワールドツアーのレースとかタイムトライアルとかを走ってくると、今日以上のプレッシャーがあるんですよね。オリンピックも経験したし、それらを経験するともうこれ(全日本)はプレッシャーじゃないんです。

CS:慣れていくということ?

窪木:だって走ったら誰かが日本一になるわけで、勝ちか負けは必ずあります。勝てるかな?負けるかな?じゃなくて、しょうがないという風にそこはいつも割り切っているので。本当に報われる。NIPPOから帰ってきて、栄養士と理学療法士もつけて、ここまで来たんですよ。その効果が出ていると思います。

CS:そこまで徹底してきた?

窪木:はい。NIPPOで学んだことを実行して、国内でも活動しているからこの結果を得られたんだなって思うし、僕が勝ったってまだ信じられないですね。

全日本TT初出場で男子エリート2位、近谷「前だけ見て走った」

前年度TTチャンピオンの西薗良太と握手する近谷
前年度TTチャンピオンの西薗良太と握手する近谷
CS:走ってみてどうでしたか?

近谷:何よりも僕が全日本TTっていう大会にジュニアでもアンダーでもエリートでも一度も出たことがなくて、今回が初めてなんですよ。僕、TTってものを初めて走ったんですよ。あんまり経験もないので、正直わからなかったです。がむしゃらに走ったっていうのもあるんですけど、一番力になったのは、僕出身が富山県で、準地元っていうことで高校の頃にお世話になった方とか、関係者の方がたくさん来ていて、声援がたくさん聞こえたんです。そういう声援が力になって、最後踏み切れたのかなと思います。

CS:やはりロードのTTは違いますか?

近谷:今年はトラックの4kmなどで全日本とかアジアチャンピオンとかをとって、ロードのTTはやったことがなくて。全日本という大きい大会は初めて出て、こんな長い距離踏んだのも初めてですし、自分でも驚きです。

CS:練習はしました?

近谷:練習は全然してないです。普段はトラックかロードなので、TT(バイク)って普段乗らないんです。ほぼぶっつけ本番ですね。TTバイクも3日前に受け取ったばっかりなんですよ。

CS:試走は?

近谷:こっち来てちょっと走っただけです。自分でもびっくりです。

CS:ペース配分はどう考えましたか?

近谷:自分はいつも4kmという種目をやっていて、それが自分の本職で、4km、4分で終わるんですよね。その勢いで出しきっちゃうと後半タレちゃうので、いつもより冷静に走ろうと思って、序盤ちょっと落ち着いて、いつもより気持ち良く走って、中盤以降からどんどん踏んで行こうかなっていうイメージで行きました。

CS:走る前の目標はどこだったんですか?

近谷:正直、10位以内入ったら自分でも万々歳だなという気持ちで走りました。(順位の)半分もいかないかなと思っていました。周りからもそう言われていました。意外に表彰台乗っちゃって、びっくりしてます(笑)。

CS:コンディション的にはどうだったのでしょうか?

近谷:直前までトラック合宿をやってから来て、ロードはどうかなって感じだったんですけど、気持ちの面が大きかったですね。いつも気持ちでもっていくタイプで、いっぱいいっぱいになってからは自分との勝負なので。今日もパワーメーターもなく、無線もなく、チームの(出走)順番が悪くて、チームカーもなかったんですよね。パンクしたら終わりですし、無線もないので、もう自分との戦いでした。結果は二の次にして、とりあえず今の自分のベストを尽くそうと思って前だけ見て走りました。

CS:今後ロードも?

近谷:ロードもやっていきたいですね。今ロードも結構走ってきているので、来週全日本(ロードレース)も走りますし。ロードの方はまだまだですけど、僕なりにちょっとずつ成長していって、ロードの方でも常に上位に入れるようにやっていけたらなと思います。

CS:ブリヂストンのチームの雰囲気はどうですか?

近谷:窪木選手とワンツーで、窪木選手は表彰台常連なんですけど、同じ大学の先輩で、団体追い抜きとかもチーム一緒で走っていたので、いろいろ教えてもらっていて。こうやってワンツー取れたことはすごく嬉しいです。同じチームで、しかも全日本でワンツーってなかなか取れないので。先輩に追いつけるようにまた頑張っていきたいです。

エリート男子3位小石「結果は結果」

調子はいいという小石は、来週の全日本に向けても意気込みを語った
調子はいいという小石は、来週の全日本に向けても意気込みを語った
CS:走ってみてどうでしたか?

小石:とりあえず表彰台でホッとしています。結局1位に1分半離されちゃったのも事実なので。今までやってきたことと実力通りほぼほぼ出し切れたかなとは思います。

CS:コースの特性的にマッチしたと思いますか?

小石:時間が長いっていう点ではマッチしていると思うんですけど、やっぱり表彰台みると大きい選手、体重もある選手がいて、体重がある選手の方が有利なのかなっていうのもありますし、でも上りもあったので、そこで稼げるタイムもあったと思うので、結果は結果なので受け止めてまた精進します。

 

優勝候補最右翼、佐野、無念のメカトラ「これも含めて実力」

昨年2位という結果を受けて最終走者だった佐野
昨年2位という結果を受けて最終走者だった佐野
CS:佐野さんにとって、今回のコースをどう捉えていましたか?

佐野:コース的には、初めに試走した段階では、僕にはちょっと難しいかなと思ったんですけど、(レース当日までに)日にち重ねてくごとに、パワーがある方がいいなと思ったので、僕に絶対的有利っていうわけじゃないですけど、基本的には有利かなと思っていました。

CS:誰もが佐野さんを優勝候補として挙げていましたが、ライバルとなる選手は誰でしたか?

佐野:昨年の順位だけ言ったら一番近い位置にいるとは思っていたんですけど、今回勝った窪木選手は久しぶりにロードの方に戻ってきて、未知数というか、過去の戦歴を見たら十分ありえますし、脅威となる存在でもありました。ブリヂストンはチームとして特に僕も注目してみていました。

CS:チェーントラブルはいつ起こったのでしょうか?

佐野:1周目過ぎて、2回左に曲がるうちの二つ目のところでチェーンが脱落しました。

CS:チェーンリングは58Tを使っていましたね。

佐野:それでも十分踏めると思ったので。僕はそんなにケイデンスが上がらないので、重いギヤ踏んで行った方がいいかなと思ってまして。

CS:今回の結果、率直にどう受け止めていますか?

佐野:僕もできれば全力で走った挙句に負けたなら納得すべきですけど、今日みたいな形だと、メカトラブルがなければとかタラレバを考えてしまいます。でもそれも含めて機材スポーツなので。これも含めて実力じゃないかなと思います。

CS:これもタラレバになってしまいますが、勝てると思っていましたか?

佐野:可能性は十分にあると思いましたね。1周目のラップで、窪木選手とそこまで差が開いていなかったので、そこから粘っていけば僕にも分があるのかなと思いました。

CS:逆に、全日本TTで1位を取ることで競技人生に見切りをつけることになってしまうんじゃないでしょうか?

佐野:僕、TTで勝ったら引退の儀式考えてましたもん。山口百恵ばりに、僕はクランク置こうと思ったんです。まぁそれは冗談ですけど、取れる取れると言われて取れない状態で、僕の競技人生の中でも欲しいものの一個ですよね。

チェーンが落ちなかったらって思いますけど、何が起こるか分からないからみんなが見に来るんじゃないですか。
だから僕も辞められないんじゃないですかね。続けていて良かったと思いますけどね。
 

U17+U15優勝、津田「世界で戦える選手に」

U17+U15で最終走者だった津田が連覇
U17+U15で最終走者だった津田が連覇
CS:コースを走ってみてどうでしたか?

津田悠義(三好高校):思ったよりアップダウンがあって、最初にちょっと突っ込みすぎたかなという印象ですね。

​CS:もっと速く走れたと思います?

津田:まぁでも最初に突っ込んだのが結局良かったのか自分でもまだ整理できていないんですけど、うまいこと最後の上りもまとめられたかなと思います。

​CS:試走は結構されました?

津田:ちょうど2週間前に来て、このコースを試走した感じでは結構アップダウンがあって、上りを平坦のスピードでどうクリアするかが鍵となっていたかなと思います。

​CS:津田さんはTTで上りがしっかりあったほうが得意ですか?

津田:勢いで行く上りっていうよりちゃんと上りがあったほうが得意なので、今回のタイムトライアルでそれがあったら良かったなと思いますね。
今回は勢いで行ける上りだったので、やっぱりパワーが必要なんですけど、なんとかまとめられて良かったと思います。

​CS:昨年の自身と比べて、どんな違いがありましたか?

津田:まず昨年はノーマルバイクで、今回バイクが(TTバイクに)変わったことで、平坦で平均速度を上げることをすごく意識していましたね。上りはノーマルバイクで走ったほうが速いことはわかっていたので、平坦をどうペース上げられるかを考えていました。

​CS:TTバイクで練習し始めたのはいつ頃から?

津田:ちょうど1カ月前にTTバイクをいただいてからですね。

​CS:優勝した気持ちをお願いします。

津田:まだU23の方たちとのタイム差があるので、ジュニアとかU23、エリートに上がってもアドバンテージをしっかり持って、最終的には世界で戦える選手になりたいです。

各カテゴリーリザルト

女子エリートで優勝した與那嶺は2周で圧巻の差をつけて連覇を果たした
女子エリートで優勝した與那嶺は2周で圧巻の差をつけて連覇を果たした
U23では山本大喜が2周を踏み切り、優勝
U23では山本大喜が2周を踏み切り、優勝
今年TTバイクで初めて走った津田がU17+U15で圧倒勝利
今年TTバイクで初めて走った津田がU17+U15で圧倒勝利
●男子U17+U15

1位 津田悠義(三好高校) 17分37秒89
2位 寺田吉騎(VIVACE-掛川磐田北) +50秒33
3位 中村誠(SSPC-アスリート良山中学校) +52秒93


●女子ジュニア+U17

1位 石上夢乃(横浜創学館高校)
2位 増田たま(筑波大学附属坂戸高校)
3位 渡辺春雅(駒沢大学高校)


●男子ジュニア

1位 山本哲央(中央大学) 17分50秒66
2位 香山飛龍(横浜高校) +7秒52
3位 福田圭晃(横浜高校) +7秒93


●男子U23

1位 山本大喜(キナンサイクリングチーム) 34分14秒23
2位 石原悠希(順天堂大学) +13秒12
3位 中川拳(早稲田大学) +39秒09


●女子U23

1位 梶原悠未(筑波大学) 19分3秒32
2位 下山美寿々(早稲田大学) +1分13秒73


●女子エリート

1位 與那嶺恵理(Wiggle High5) 37分18秒17
2位 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) +1分49秒49
3位 伊藤杏菜(ライブガーデンビチステンレ) +3分23秒13


●男子エリート

1位 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング) 50分23秒92
2位 近谷涼(チームブリヂストンサイクリング) +1分2秒68
3位 小石祐馬(チーム右京) +1分30秒09